ターナー色彩株式会社

WEBマガジン「アクリル絵具の現場」

vol03:中村光幸
CHAOS

ーアクリル絵の具との出会い

アクリル絵の具との出会いは、40年も前のことになるが美術大学での課題制作に使用したときからだと記憶している。当初はアクリル絵の具の性質は、油彩とは大きく異なり、違和感があった。また、油彩画の歴史に比べ歴史が浅く1920年代頃より使われだしたアクリル絵の具は20世紀の絵の具といえるが、歴史的には油絵の具のように400年の歴史に比べ20世紀の絵の具であるアクリル絵の具には歴史的には耐久性はまだ証明されておらず、危惧する声もあった。

ーアクリル絵の具による制作

私が、本格的にアクリル絵の具を使用しだしたのは、20年ほど以前になるが、独立展への出品作を通してであった。従来のように油絵の具でマチエールを付け表現の工夫をしようとするときには、絵の具の性質上亀裂や剥落が起こりやすくなる。また、日本の湿気と乾燥が繰り返される環境においては、キャンバスの伸縮が激しく、油絵の具の亀裂を誘発しやすい。130号などの大作において、様々なマチエールを使用した表現は、キャンバス上では、亀裂や剥落を起こし、ひどく作品が傷ついた。工夫した結果は、手作りのパネルの上に綿布等を接着剤で直張りし、基底材を作る方法で、その上にゴールデンのマチエール材を塗り、アクリル絵の具でのアンダーペインティングを行うという方法で、その上に油絵の具を塗り重ねると亀裂や剥落を完全に防ぐことができるようになった。そのころから本格的にアクリル絵の具を使用するようになった。

ー透明水彩のようにゴールデンアクリル絵の具を使う

また、それと平行して透明水彩のようにアクリル絵の具を使用してアルシュ水彩紙に描くことを行った。ゴールデンアクリル絵の具の発色の良さは、そのような表現には最適で、多くの季節の花を描くことになった。

ー画期的なゴールデンオープンアクリリクスの使用

アクリル絵の具は、乾燥が早く、作業が早く、スピーディな制作が可能で、油彩画とは比較できない良さがあったが、逆にそれが欠点にもなった。早く乾くということは画面上での色むらを生じやすく色を統一するのに意外なほど時間がかかったり、塗れた状態と乾いた状態では色の違いが発生するなど、長所もあるが使いにくいところがあるのも事実である。ところが、ゴールデンオープンアクリリクスという新製品を使ってみると以下のような特徴があり、画期的な絵の具であることがわかる。

① 乾きが遅いのでぼかしがスムーズに表現できる。
② ウエットな表現が可能で、従来のアクリル絵の具ではなかなか表現できないところでした。
③ 乾きが遅いため絵の具の厚みが出てくる。
④ 無駄になる絵の具の量がかなり少ないのではないか。
⑤ 感触としてはアクリル絵の具よりは油彩画に近い感じで、画期的です。

まだ、数多くの作品を描いているわけではないが、いくつか描いた作品を紹介しておきたい。今後とも制作の工夫をし、魅力的な作品を多く制作していきたいと思っている。