ターナー色彩株式会社

WEBマガジン「アクリル絵具の現場」

vol01:関本恵一
CHAOS 第60回記念二紀展 2006 第57回二紀展 2003 関本恵一氏の作品は金属である。金属と言っても重たい金属そのものではなく金属の重みを感じさすアクリル絵具が醸し出す画面である。彼が描く代表的な金属は「鉄」「アルミ」「鉄の鎖」である。どの金属も磨かれて光り輝いている金属ではなく、空気に触れ、水蒸気に触れて表面が鈍い色を呈したものである。多くの例は雨風にさらされて錆を出した金属の姿である。今にも錆の粉末が飛んできそうな作品と対面すると、見る者に、かの鉄さびの臭いを感じさす。後から「これはアクリル絵具で表現した物」だと教えられると、誰もがほとほと感心する。

関本が表現する金属の色はアクリルガッシュのメタリックカラーや少し粒子の粗い岩絵具に似せたジャパネスクカラーのメタリック色である。アクリルガッシュは言葉の通り不透明な色の集団である。不透明色の特色「下地を被覆する色」は幾度となく重ね塗りすると、硬い、無機質な色彩を発する。あるところは厚く、また、あるところは薄く塗るといかにも金属、特に鉄の場合、時間が経過した鉄の錆びた表面を創り出し、どっしりとした鉄になる。アルミの場合も黒ずんだアルミの錆び色を塗りつけると光沢があったときの軽快な感じがアルミの固まりとしての重たさを出す。

関本の絵はこんなに重く感じる作品であるが、実は平滑な金属の場合はアクリル絵具のモデリングペーストである。
モデリングペーストだけで描いた下絵を見ると軽るそうだが、その上に関本独特の塗り方でメタリックカラーを塗布していくと、がらりと変わり重たい金属の作品に一変する。
彼は歯科医師でもあるので、歯科材料の石膏を使い、三次元の表現をする。丸い砲丸のような金属の半球や重い起重機か船の錨につけられた鎖の祖型は見る者に落下するような危険を感じさし、思はず後ずさりさす。

関本のユーモアはこのような金属の重量感ある色で、リンゴやバナナを作ることがある、その作品となった果物は食べるものではなく、金属による標本として見る者に不思議なきもちにさし、ちぎって投げてみたくなるような思いを湧かせる。このようなユーモアを交えた作品で、昨年ニューヨークのチェルシーで個展をしたところ、多くのアメリカの作家や画商がつめかけ、大好評であった。

ニューヨークでの個展を回顧
夢としてずっと持ち続けていたニューヨークでの個展を2010年の4月13日より5月1日までチェルシーのCAELUM GALLERYにて開催することが出来た。開催に当たり、梱包や運送(空輸)の問題があり心配したが、開催の5日ほど前に、大きな作品(100号から130号)5点、小品20点、無事通関が終りギャラリーに到着した。私は、4月11日より1週間滞在した。アメリカでは原則、作家は個展のレセプションの時だけ在廊して、後は画廊のスタッフ居るのみである。

4月15日の午後6時よりレセプションがあり、果たしてどれくらいの人が来てくれるのか心配だったが、私の友人関係でアメリカ在住者が20人、全く知らない画廊関係者が60人ほど来てくれて、皆がワイン片手に楽しい会話をしながら2時間を過ごした。
まだ終わってから1年も経っていないが、また何年か先に機会があればニューヨークで個展がやれればなと思っている。