ゴールデンアクリリックス
ゴールデンフルイド

AboutGolden

この日記はゴールデン社
aboutMarkGolden
更新履歴
2006年の日記
2006.11.27
冬支度
2006.3.28
試作品
2006.2.26
品質の対価
2006.1.31
絵具セット
2006.1.17
私と絵具
2006.9.29
自然分解する画材
ゴールデン社で直面する課題の多くは、生産する材料(絵具)の耐久性に関係しています。これらの材料が、どのくらい永くどのくらい良好に持続できるかという限界を押し広げて行くことです。

しかし長期間の耐久性がない材料を、という要望が過去にいくつかありました。企画されたショーや展示会が終わったら、短期間の内に分解する絵具です。これは、インスタレーション作品を展示後は廃棄するはずだったのに、誰かが将来の教育や展示目的で地下室に保管していてそれを持ち出されてしまった、という経験のあるアーティストには特に有益でしょう。

自然分解する画材というのはアーティストにとって本当に必要なのでしょうか。一体、どんなときに使うのでしょうか。耐久性のない画材に価値はあるのでしょうか。
オリジナルページに書き込まれた
アーティストからのコメント
私のような現代作家にとって、崩壊する製品は全く新しい表現手段を代表するものだ。この五年間、私は時間経過の象徴として劣化するが、しかし主張を創り出すためにある点でそれが停止する、という材料をあやつることをしてきた。 こうした実験は個人的なものだと思うし、作家が何を提示しようとしているかに全く関係している。ほとんどの人はそのような材料を使おうとはしないだろう。加えて、私自身は崩壊する絵具を要求したことはない、それは楽しみは実験することであり、それは新しい創造だからだ。
予め用意された素材がないということは、我々の作品をより面白いものにする、少なくとも私にとっては。しかしゴールデンが開発する新製品なら喜んで試してみたい。いつものことだが、全く違った使い方をすると思うが。
新しいクラックルペーストがあるとうれしい。透明で、ゲルかあるいはメディウムのようなもので、絵具がひび割れた色のように見えるもの。ちょうど油絵の具を過剰のターペンタインで薄めてそのままにしたときのような効果がでれば、素晴らしい。

*クラックルペースト:画面にヒビ割れを意図的に起こすメディウム(国内未発売)

マークさんの返事
おっしゃる通りです。必要以上にやりすぎると、何か発見があったりします。材料が使われる新しい手法が見つかることをいつも願っています、あるいはうまくいかない手法も(うまくいかないときのほうが楽しいことが多いのですが)。私も油絵具が這っていくような描写やエンコースティックの波模様が好きです。こうした現象は塗膜欠陥と考えられることは知っていますが、そのような欠陥を創意工夫して使いこなしているのを見て、それが私たちの材料では再現できないと、とてもねたましく思います。こうしたことが私たちを忙しくするのです。

Gottsegen教授のコメント
「エンコースティックの波模様」、それは塗膜欠陥ではなく、塗り方か保管の問題ではないかと思うが。

*エンコースティック:蜜蝋を溶かして顔料で着色し、それで描画する手法
アーティストからのコメント
アーティストの中には作品コンセプトの一部として自然分解性の材料を使ってみたい人もいるだろうが、アクリル絵具がそうである必要はないと思う。食品や血など、自然分解する素材はいくらでもある。最も耐久性のある材料を取り出して、それに逆の性質を与える理由は見当たらない。 短期間に分解する材料で作品を作ろうというときにアクリル絵具を選ぶのは、直感に反する。 あるいは、アクリルという画材の中に自然分解性の製品を含めるというのは、初心者にとっては不明な部分が出てきて不親切だ。それでなくても、初心者は現状のアクリル画材にも十分に混乱しているだろう。 ウワサは野火のように広がるということを考えると、店員が初心者に「アクリルの中には短期間に分解するものがあると聞いたから、油絵具を使った方がいい」というのは目に見えている。 それでもそのような製品が作られるなら、アクリルとは完全に隔離した別の商品として、またその性質を明らかにしておくべきだ。

アーティストからのコメント
分解するようなものを作品に使うことなど考えられない。作品が手元に帰ってくる前提で展示を行うこともとても想像しにくい。道路標識などでやがて消えるというような用途は考えられるが、私ならば普通の材料を使って、用が済んだら上から塗りつぶすと思う。
アーティストからのコメント
かつて自分だけが作品を見ることが出来るようにしていた時期がある。展示もせず写真も撮らず、後の制作の参考として、あるいは自分の進歩状況の確認だけに使っていた。自分の作品が遠い将来に愚かな収集家の手に渡るようなことはしたくなかったので、最終的には急激に劣化することを目論んで、作品はすべて、まずキャンバスに亜麻仁油を何度か塗り、表面が乾いた程度でアクリルプライマーを塗り、そしてその上に直接、描画した。 このとんでもない混合技法がいくらかでも安定した状態に硬化する前に、水性のツヤ消しポリウレタンコートを塗った。これは単に表面の光沢を均一にしたかったからだ。 これまでのところ、これらの作品に不都合なことは起こっていないが、悲惨なことになるという自信はある。少なくともこれまで習ってきた適切な絵画の構造というものが正しければそうなるだろう。そしてやはりそれは確かだと思う。

マークさんの返事
面白い組み合わせですね!新しい脂肪族水性ポリウレタンはますます良くなっています。今までなら、あなたの失敗創造の解決策に賭けたところですが、今では何ともいえません。しかしすごい実験のようですね。
アーティストからのコメント
やれやれ、我々、アクリル画家に必要なのは、偉大なる絵具に対する議論だ。もし自然分解する絵具が作られるなら、人々はアクリルを一時的な絵具とみるだろう。骨の折れる戦いの連続だ−アクリル画家はプラスチック材料を使うからと二流扱いされることに、本当に疲れ、飽き飽きしている。もし一時的な絵具が出てくるなら、敵側につかなくてはならないだろう。そんな評判が広がってしまえば、油彩画家には太刀打ちできないからだ。そうなれば、私は後悔するだろう、なぜなら私は油絵の具が嫌いだが、同時に今までのように噂や無知と戦い続ける代わりに画家として尊敬されるようになるだろうから。

マークさんの返事
申し訳ありません。私たちがそのような製品を作るとか、アクリルでそうした製品を作るという意図はなかったのです。しかし私たちのいくつかのプロジェクトの中で、倫理的に全く異なるアプローチが必要なものがあったからです。 私たちが参加したいくつかのプロジェクトでは、アーティストにとり作品が自然に分解していくような材料で制作をしたいという現場環境があったからです。彼らは、材料がどのように分解していき、地球環境に有害なものを残すことがないことを確認しようと考えていたのです。また特定の現場での作品が展示後に取り除かれ分解されることをアーティストが本当に望んでいるのか知りたかったのです。作品を捨てるなり壊すなりすることはその現場特有の意図だったかもしれませんが、結局は保管され、その後に倫理的ジレンマとなってしまうのです。 私にとっては、発想の機会だったのです。こうしたことは常に新しいアイデアの肥沃な耕地になります。発想を転換してみることです。 おっしゃる通り、多くの噂や無知が広がっていますが、アクリルの時代が到来したと私は言いましょう。ますます多くの作品がこの画材で作られるようになっていることは、作品が永く残ることを欲するアーティストにとってアクリルが選りすぐりの画材であるということを示しています。