ゴールデンアクリリックス
ゴールデンフルイド

AboutGolden

この日記はゴールデン社
aboutMarkGolden
更新履歴
2006年の日記
2006.11.27
冬支度
2006.3.28
試作品
2006.2.26
品質の対価
2006.1.31
絵具セット
2006.1.17
私と絵具
2006.8.30
ヒュー(色相)の真実
ある先生からお電話をいただいたのですが、生徒たちに画材店で絵具を買う際に、ヒューと表示された色は買わないように指導したとのことです。だから彼らは当社の伝統色(ヒストリカルカラー)シリーズの、サップグリーン・ヒューやアリザリンクリムソン・ヒュー、インデアンイエロー・ヒューなどは通り過ぎて、ヒュー表示のない絵具が本物だと考えて購入したそうです。それを聞くと、何と不正確な情報が蔓延し、それに人々が依存しているのかを思い起こしました。

私たちは、正しい情報が伝わるよう、ラベル表示には細心の注意を払っています。果たしてアーティストは、インデアンイエローという色を買う場合に、マンゴーの葉だけを食べさせた婆羅門の牛の尿から作ったと本当に考えるのでしょうか。もしそうした伝統的な顔料が、倫理的に許されるもので耐久性があり水性絵具に安全に使えるものならば、すぐにでも使うでしょう。私は色が大好きです、オリジナルの色が。しかしもっと重要なことは、製品の一貫性です。他のブランド製品は、マーケティングの道具として、実際に使っていない顔料の名前を安易に並べるでしょう。そのようなことは止めていくスケジュールになっていると思っていました。かつて、1984年にASTM委員会の科学者のメンバーたちが実際に市場にある多くの絵具製品の顔料成分を分析し、多くの製品が表示された色名の顔料を使っていないことを示しました。それ以来20年以上かかって作られてきたASTM品質規格に、多くのメーカーが従っているものと思っていました。

世界中に数ある専門家用絵具メーカーのどのくらいが、この規格に従って表示していると思いますか?たった2社です。私の父、サムは画材はブラックボックスだといいました、アーティストはその中に何が含まれているかほとんど知る術はないのです。

ヒューと表示された多くの色は、高価な色の色相と彩度の安価なイミテーションであることが多いことは承知しています。事実、当社もカドミウムやコバルト顔料を代替するヒューカラーを作っています。これらは、特にカドミウムやコバルトなどの重金属が廃水に入ってはならない大学には重要な色です。真性のコバルト色やカドミウム色と、代替色であるヒューカラーには使用上での明らかな違いがあります。先生が真性のものを生徒に使わせようというのは素晴らしいことです。しかし、教授の方々、どうぞ生徒たちにフッカーズグリーン・ヒューは、古い耐光性のない真性のフッカーズグリーンよりもずっとよい選択だと教えてください。古いフッカーズを手に入れることは今ではできないとは思いますが…幸いなことに。そして、もしフッカーズグリーンと表示されたチューブを見つけたとしても、それにはかつてフッカーズに使われたオリジナルのビグメントグリーンBという顔料は含まれていないでしょう。

ですから、どうか、「ヒュー」と表示されているからといって、それが安価なイミテーションとは限らないことを知ってください。実際、当社の伝統色はオリジナルの顔料と比較するとずっと耐光性と均一性に優れたものに作られているのです。これらの色は真摯なパレット(色組み)の意義ある部分を提供しており、決して二流品ではないのです。

注)インデアンイエローは、かつてはインドでマンゴーの葉だけを食べさせた牛の尿から作られていたが、牛は極度の栄養失調になり早死にするため、製法が残酷だとして禁止された。画家フェルメールを題材にした映画「真珠の耳飾りの少女」にも挿話として出てくる。
オリジナルページに書き込まれた
Mark Gottsegen教授からのコメント
このメッセージは、ASTM D01.57「専門家用絵具および関連材料」小委員会の議長の帽子を被って応えよう。 ゴールデン氏のいうことは正しい。「ヒュー」という言葉に何ら問題はない。その意味は「その名で色を呼ぶ」ことで、着色剤、つまり顔料とは関係がない。 「ヒューの絵具を買うな」という教員は材料や色彩理論/実技について全く知識不足ではないか。ゴールデンの技術部員は、そうした質問者やライターにそのことを話したり、教育したりできるだろう。あるいは私に連絡をくれれば喜んで教えよう。 アクリル絵具のASTM規格D5098を採用しているメーカー数については、これだけの年月にも拘わらず数少ないのは残念だ。しかし、我々の規格に合致しているというメーカーがあっても、実際にどうなっているのかは分からないのが実情だ。ASTMの使命は自主的な規格を作ることだ。ASTMは、自主的な共同作業で規格を作り、それを採用するかどうかも自主的なものだから、強制するものではない。ただし、安全性に関する規格D4236は連邦法で強制されている。 色名と実際の成分に関する試験は、今も続いている。未だに顔料の名称を使いながら、明らかに別の顔料を使っているメーカーがある。ひどい例として、「ウルトラマリンブルー」という色名を使いながら、色材は一日で色褪せてしまう青色染料を使っているものがある(耐光性試験規格D4303による)。明らかにウルトラマリンブルーではない。恥ずかしいことだ。 あるいは「しかし我々の製品は確かにASTM規格に合致している」といってD4236ラベルを示す営業担当がいる。私の答は、「それじゃない、それは表示しなければならい安全規格だ。私のいっているのは品質と性能規格のことだ」。彼らの反応は、まるでヘッドライトが当たったときの鹿のような馬鹿面だ。 ASTM規格は最低限のものだ。どんなメーカーでも採用でき、さらにその最小限の規格を上回る製品を作ることも可能だ。そして「この絵具はASTM D5098に合致し、それを超える」というようなことを表示することもできる。頭がよければマーケティングでそうするだろう。 教員や生徒は画材の表示だけでなく、ASTMについても教育しなければならないだろう。
アーティストからの質問
ASTMアクリル絵具規格を表示している絵具メーカーは2社だけだということだが、ゴールデン以外にどこがあるのか、よかったら教えて欲しい。

マークさんの返事
リキテックスがASTMアクリル絵具の規格D5096の表示をしていたはずだ。ただし姉妹品はしていないと思う。

Mark Gottsegen教授からのコメント
アクリル絵具以外でいうと、ギャンブリンとグラハムが油絵具規格D4302を表示しており、グラハムはアクリル絵具でも表示している。

注)ギャンブリン、グラハムはともにアメリカの絵具メーカー
アーティストからのコメント1
先生が「ヒューを買うな」というのは正しい。もし色組みが6色から9色の限られた範囲しかないなら、たくさんの混色が必要だ。ヒュー・カラーは既に何色かで混色した色だから、混色について学ぶ際に障害になる(注:すでに混色された色をまた混色するため、どんな色の組み合わせがどんな結果になるか不明になるという意味)。ただ生徒はいずれにしろ、経験により理解していくものだ。

マークさんの返事1
おっしゃることは、絵具の色が単一顔料ばかりで作られている場合には正しいといえます。例えば、オリジナルのフッカーズ・グリーン(オリジナルの色は混色で作られた色で、ついで耐光性の弱いピグメント・グリーンBで作られるようになった)を作っているメーカーはほとんどありません。だから顔料名を表示しているからといって、その顔料が含まれているとは限りません。その意味であなたはメーカーに一貫性があることを望んでいるのでしょう。当社の伝統色は専門家用あるいは生徒用としてのアクリル絵具としては、最良で最も耐久性があり、本来の顔料の色に近いものになっています。純粋なカドミウムやコバルト色を使うのはヒュー色を使うのとは違った体験ですが、大半の伝統色は様々な理由から入手できなくなっており、その意味でヒュー色は価値のある選択です。

アーティストからのコメント2
もう少し付け加えると、生徒に何でもよいというと、彼らは必ずクラフトショップの安価な絵具を買うだろう。将来のピカソやレンブラントが、パンプキンオレンジとかファイヤエンジンレッド、アップルグリーンなどといった名前の絵具を使い、彼らの作品は2年後にはすっかり駄目になるだろう。材料について教えている美術系の学校はほとんどない。

マークさんの返事2
おっしゃる通り、画材について教えている学校はほとんどありません。だからあなたに賛成しなければならないでしょう。もし私が述べたようなことを、生徒たちが使っている道具を本当に理解しているかどうかを見るためのレッスンとして先生方がやっているのなら、ブラボーといえるでしょうが。どうもコメントをありがとうございました。