Golden History

Just Paint issue 9
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偶像:物質と魂(Santos: Substance & Soul)

Anita Romero Jones(アニタ・ロメロ・ジョーンズ)

Our Lady of Guadalupe(ガダルペの淑女), 1978

アルバカーキ美術館の厚意による

(美術館購入、NEA購入助成金)

PC1979.92.1

プレゼンテーション−木部におけるアクリルの性能

20018月、スミソニアン材料研究教育センター(SCMRE)において、移動展覧会「偶像:物質と魂(Santos: Substance & Soul)」との併催で4日間のセミナーが開かれました。セミナーには、スミソニアン・ラティーノ自主センター(Smithsonian Center for Latino Initiatives)、サンタフェ大学、国立ヒスパニック文化センター、スパニッシュコロニアル美術館が協賛しました。一流のアーティスト、修復家、美術史家、そして絵具メーカーのロバート・ギャンブリンといった顔ぶれに交じって、私は木部におけるアクリル絵具の性能を中心とした講演を行いました。ゴールデン社の研究開発チームは、講演用のサンプル類の準備を通じてアーティストが木部表面にアクリルを塗る場合に対処すべき問題を研究する機会を得ました。私自身はこの伝統的で敬虔な美術作品を創作する多くのSantero(偶像彫刻家)が使っている多様な材料を学ぶ機会を得ました。豊富な知識・貴重な時間と労力・芸術的手腕を提供された多くの発表者の方々、この機会を与えてくださったSCMRE、そしてプロジェクトリーダーであるSCMRE上級絵画修復 Jai-sun Tsangに感謝いたします。

 

アクリルの木への接着

アクリルは、木を使う様々な美術作家や工芸作家に勧められる絵具の一つです。当社は木製彫像、彫刻、家具そして木造建築や機能性木製品、そしてもちろん木製パネル絵画に従事する作家と交わるさまざまな機会に恵まれました。どの場合もアクリルエマルジョン絵具は卓越した接着性、鮮明な発色性、耐光性という優れた性能を示しました。最近の研究において当社はアクリル絵具やメディウムの木部表面での性能や可能性を細かく検証しました。

特筆すべき最大の特徴は、水を含むエマルジョンのアクリルと、水を含まないミネラルスピリッツやアルコールのような溶剤に混合されたアクリル溶液との違いです。

アクリルエマルジョンポリマーは、絵具に配合される前は少なくとも40%の水分を含んでいます。添加剤や顔料を濡らすために水が加えられるのです。プライマーや塗料(絵具)に水が含まれる場合、水は木目をケバ立たせ膨潤させる作用をします。たとえ木部専用サンディングシーラーであっても水性塗料は著しい木目のケバ立ちを起こします。一旦、アクリル絵具やメディウムで木が膨潤すると、その上に水性アクリルを塗ってもケバ立ちはそれほど大きくはなりません。乾燥したアクリルは固着して導管部にしっかりと結合する傾向があるからです。

作家が毛髪や羽などの非常に微細な彫り物をしているとき、水性プライマー・シーラーを使うと微細な部分がかなり損われます。このような微細な加工がいらない場合は木部表面に直接アクリルを塗ることができます。アクリルエマルジョン絵具(あるいは通常単にアクリルと呼んでいるもの)は木を膨潤させます。もしこれで作品が損なわれないなら手始めとして適切な手段です。事実、膨潤はアクリル塗膜周辺の繊維の接触と結合を確かなものにします。一回目の塗装後にサンディングをすると、続く塗装では目立ったケバ立ちはなくなります。

木のケバ立ちを完全に防ぐには、MSAワニスや絵具(ミネラルスピリットで希釈)などのアクリル溶液、あるいは着色シェラックが向いています。これらはエマルジョン塗料(絵具)の下地に適していてケバ立ちを抑えます。無着色シェラックは上塗りの水性アクリルとの接着性が不十分だったことが当社の研究で分かりました。もし木肌の色を生かすために無着色シェラックを使う必要がある場合は、シェラックが乾燥した後にサンディングすると大幅に接着性が改善されます。シェラックは何層も厚く塗り重ねてはいけません。

木工芸作家が直面するもう一つの問題は塗装面を変色させる著しいヤニです。どの木も同じように変色するわけではありません。このような症状は、シダーやレッドオークあるいは特にヤニの多いオレンジオーセージやマホガニーなどの樹木で顕著です。エマルジョンアクリルも溶液アクリル系もどちらも、このような樹木の油分や水溶性成分が塗装表面に移動することで起こる変色を防ぐことはできません。変色は特に透明色で目立ちます。もっと困るのは不透明色で起こる斑点のようなシミです。

これらの樹木で最も効果的なヤニ止めは着色シェラック系です。市販品としてはBIN®Kilz®などの商品があります。これらのプライマーはケバ立ちがほとんどなくサンディングも容易です。これらはヤニに対する完全な解決策ではありませんが、状況を大幅に改善します。

アクリルジェッソは同じく水性アクリルエマルジョンで作られていますから、木繊維を膨潤させ、ヤニを止められないことが分かります。こうした材料は多孔質なので水分はどちらの方向にも透過します。事実、アクリルジェッソはかなり多孔質で吸収性があるので表面にシミができる可能性が高くなります。イエローパインのような木は、アクリルエマルジョン絵具でも変色のシミができないので問題なく使うことができます。

10秒ごとの映像:未塗装のアスペン(ポプラ)に水滴を落とす。1ミリの切り込みが水を吸収するにつれ閉じていく。アクリルエマルジョンを木に直接塗った場合、木の硬さやアクリルエマルジョンポリマーの硬さに関係なく、同様の結果が起こる。

当社の試験や他の資料などから、木部塗装のための「最良の手順」を用意しました。まず木をサンディングするか削るかして、ゆるんだ繊維質を取り除いて導管を開きプライマーが浸透するようにします。拭き取りペーパー(タッククロス)できれいにふき取ると木に余分な木屑粉が残りません。着色シェラック、MSAワニス、溶剤系着色アルキドプライマーのいずれかで下塗りします。乾燥させ軽くサンディングします。アクリルジェッソを二回塗りして下地を十分に隠し表面を保護します。必要なら塗り重ねの間にサンディングします。

これで品質のよいアクリル絵具ならどの商品でも表面に接着します。実際のところ、失敗する場合はまずアクリル絵具が木繊維を立たせてしまいます。

最後にアクリル絵具で作業する場合の推奨事項を挙げます。もしこの下地の吸収性が高すぎるなら、ジェッソにアクリルメディウムを加えるか、ソフトゲルのマットまたはセミグロスをごく薄く塗ります。これで絵具は表面を滑るようになり筆を引っ張ることはありません。

流動性のある絵具は木や吸収性の高い下塗りに浸透する傾向がありますが、この時点では材料の特性よりも美的な問題です。基本ルールは、薄めるほど塗り重ねでの浸透が高くなるということです。薄い材料はすき間に入りこみ、固い絵具と同じように橋かけをします。

アクリルは一般に多孔性の膜で、取り扱い時に汚れを取り込みやすいものです。ですから最後にワニスをかけるのが適当です。特に藻やカビの心配がある湿度の高い環境に作品をおくことを考えている場合はなおさらです。

作品を機能的なものとしても扱う場合は溶剤系アクリルワニスをお勧めします。作品が汚れにくく、クリーニングも容易になります。作品がもっと実用的な場合はポリウレタンでコーティングする必要があるでしょう。椅子など常に使用するようなものの場合は特にお勧めします。カウンターとして使う場合は、水性アクリルで起こる白化を避けるために絶対にウレタン仕上げが必要です。最近は耐黄変性の水性ウレタンが出ています。溶剤系脂肪族ウレタンは最も保護作用がありますが、毒性の恐れのある化学物質が使われているので注意書きを念入りに調べる必要があります。重要なことなので覚えておいていただきたいのですが、塗装を傷つけずに仕上げコーティングを取り除くことはできません。ワックス(Renaissance Wax®)、あるいはおそらく他の合成ワニスをアクリルの上に使うことは適当な手段でしょうし、何人かの作家や木工修復家が勧めています。

Santosの発表はMark Goldenによる。

 

 

 

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