Golden History

Just Paint issue 8
GOLDEN Artist Colors, Inc.
188 Bell Road
New Berlin, NY 13411-9527

Phone: 607-847-6154
Fax: 607-847-6767
E-mail: techsupport@goldenpaints.com
www.goldenpaints.com

 

 

ゴールデン・カスタム・ラボ

オーダーメードの絵具によるソリューション

 ゴールデン社のカスタム・ラボは、アーティスト個々の要望に基づく仕様で絵具を製造する唯一の施設です。アーティストの基準に合った製品の開発力は、当社の創業以来の主要な命題でした。実際それは、Leonard BocourとSam Goldenが1930年代前半から1970年代後半にかけてBocour Artist Colors社が発展を遂げる中で受け継いだモデルです。アーティストたちは頻繁にマンハッタンのBocourショップを訪れ、特別仕様の色や製品を手に入れたものです。手持ちの道具や画材の機能には限界があるため創作活動の壁にぶつかるのです。画材を使って何をしたいのかははっきりわかっているのに、それを実現するための道具がないことを痛感するアーティストは数多くいます。

 

MSAカラーはSmithsonian Freer Gallery of Art のthe Peacock RoomやKnox Martinマンハッタン壁画の修復など、独自のプロジェクトに使用されてきました。

 Sam Goldenのもの作りの基本的な考え方は、アーティストの望む画材の仕様について常に彼らと対話し続けることでした。製品がどのように機能し、あるいは機能しないのか、どうすれば希望通りの効果、仕上がり、機能特性を得られるのか、アーティストたちと話し合いを重ねた結果、当社の専門家用製品が生み出されてきました。当社では現在、ヘビーボディアクリル、フルーイドアクリル、マットアクリル、エアブラシカラー、ハイロードアクリル、グレーズカラーといった、6種類の専門家用絵具を製造しています。さらに、MSA(ミネラル・スピリッツ・アクリル)絵具とPVA(ポリビニール・アセテート)絵具を、修復団体向けに特注製造しています。ゴールデン社では、ペースト絵具とフルーイドマットアクリルの2種類の特注絵具の製造を続けています。これ以外にも40種類以上のゲル、メディウム、下塗り剤を製造しています。これらの製品のほとんどは、個々のアーティストが直面した障壁を乗り越えたいという依頼から創作されたものです。

 20年以上前からゴールデン社では、創造的な顧客の個々のニーズに合った1,000以上の特注製品を製造してきました。この独自の施設を通して、特別な塗装剤に関心を持つアーティスト、修復家、デザイナー、建築家、製造業者、その他の顧客は、さまざまな創作の可能性を模索することができます。

アーティストたちはしばしば、技術的障害を克服するのに役に立つ画材がないことを感じています。アートはえてして孤独な作業になりがちですから、アーティストは一般に独自の解決法を編み出そうとします。中には完成度の高い素晴らしいものもたくさんありますが、それでもまだ困難が付きまとっています。こうした解決法につきものの問題は、絵具の配合という複雑な作業をマスターするだけの技術的経験のないアーティストが多いということです(Just Paint 7の”JUST MAKE PAINT”(絵具をつくってみよう)参照)。信頼できる絵具を配合するための、機器、設備、資材がないことも問題です。アーティストが目指す美を達成するための解決法はたくさんあるとしても、保存性、再現性、安全性が不十分なことが多いのです。

ゴールデン・カスタム・ラボは、品質に妥協することなく、より安全な画材を製造しようと努めています。アーティストは専門的な換気設備のない空間で制作することが多いので、できるだけ安全な画材を使用し、こうした画材が健康問題に関わる場合は十分な情報を公開することが重要です。

工場で特注絵具と塗装剤製造に従事するスタッフ 2001年ゴールデン社

 

 1987年よりゴールデン社では、特注絵具製造専用の設備を別区画に建設し始めました。2000年までにその規模は90平米以上に拡大し、その中ではスタッフが特注品の工程に従事しています。新しいことをするには資源を充実させる必要があると当社は常に考えています。

 当社は、より使いやすい絵具を追及しようとするアーティストを技術面と絵具配合の面でサポートしてきました。13年以上ゴ−ルデン社の技術部長を勤めるJim Hayes指導のもと、Mike Townsend率いるテクニカルサポートグループが積極的な活動を続けてきました。こうした支援は画材の限界を押し広げようとするアーティストにとって欠かせないものです。当社は、アーティストが自分の創作スタイルの限界を模索する中で要求する新しい絵具を、彼らと共同で開発していくことに情熱を傾けてきました。

 

ゴールデン社の特注絵具の製造

最適に調合された特注絵具により、アーティストは画材を気にせず、創作活動に専念できます。ゴールデン社がアーティストのために製造する特注絵具の分量は、30ml以下から数百リットル単位になることもあります。特注品の製造を始めるのは、実際にはとても簡単です。まず技術部門がアーティストや画材専門店と話し合い、ゴールデン製品のうち特定の要求に合致した物があるかどうかを確認します。既存の製品に目的の性能があることがわかれば、カスタマーサービスからその製品のサンプルや色見本を配送します。通常このサンプルを叩き台にして、アーティストとの話し合いの中から、その製品の特性や仕上がりの微調整あるいは大幅な調整をすることになります。また、アーティストが添加剤・色材・バインダーを加えたり混ぜ合わせるだけで充分な性能が発揮できるかどうかを技術部門で検討します。

 クライアントが新製品を必要とすることがわかれば、カスタム・ラボ・グループが特注製品の製造計画書や予算書を作ります。

 

特注品の必要性の認識

 こうした認識を当然とするクライアントもいます。手作業で絵具を配合するための時間、金額、煩わしさを考えてみるとわかります。アーティストのほとんどは、特定の色相や混合物を苦もなく混ぜ合わせる十分な技量を持っています。しかし、リットル単位の量となると大変費用がかかりますし、配合分量を知らなければなおさらです。大きなプロジェクトの為に1ガロン(約3.8リットル)のヘビーボディーアクリル絵具を混ぜる作業は、この作業に適した撹拌機がなければなおさらのこと非常に困難で、時間がかかります。正確な配合量が決まっていなければ、必要量以上の絵具を作ってしまい費用が無駄になることも珍しくありません。当社の工場で所定量を生産します。必要であれば大量生産を開始する前にクライアントの承認を得るためにカスタム・ラボからサンプルをお送りします。

 

分光光度計

調色

 特注サービスの中で最も多い依頼は調色です。全ての特注品について、将来の参考用に塗り見本と試作サンプルを製品の配合と一緒にゴールデン資料室のファイルに保管しています。ゴールデン社は、クライアントの希望する品質の絵具でプロ仕様の調色を提供します。専門スタッフは分光光度計と熟練した目を使って、原色もしくは色あし、不透明度、ツヤ、費用、その他アーティストの要求に影響する要素を全て勘案して調色を行っています。

 

 まず、クライアントから実際の絵具あるいは色見本(紙に筆塗りしたもの、布、色見本帳、LAB Plot=色を図示したグラフ)で、調色すべき色の見本を提出していただきます。次に、希望の品質の絵具で色を調合します。量産前にクライアントの承認を受けるため、色見本あるいは絵具そのものを提出させていただきます。

 

特注品

 ゴールデン社では、広範囲にわたる専門家用の製品と多数の独自のメディウムやゲルを製造していますが、当社の標準製品では対応できない製品のニーズや特性もあるかもしれません。その場合は画材を特注していただくことが最善の方法でしょう。特注品は、いくつかのカテゴリー(絵具、メディウム、添加剤、下塗り剤、ワニス)に分類されます。

 

特注絵具

 特注絵具とは、着色製品をさします。これまでの要求としては、顔料のレベルやタイプの様々な変更、絵具の粘性(固さ)や流動性(垂れまたはレベリング)の変更、絵具の仕上がり感やテクスチャーの変更、乾燥塗膜の硬さの変更、絵具の機能特性の変更などがあります。

 

特注のメディウムとゲル

 特注のメディウムやゲルは、単独であるいは他の絵具やメディウムと混ぜて使用される無着色製品をさします。特注メディウムは、粘度や流動性の変化など、ある種の特性を展開するのに必要です。ツヤ、透明度、硬さ、収縮性、粘着性、塗膜の盛り上げ具合の変更は、クライアントの要求に合わせて変えることができます。

 

特注下塗り剤

 アーティストが絵具の塗膜特性を変えたいと思うことはよくあります。吸収性の増減、ざらつき感の増減、不透明度や透明度の程度を変えたり、塗膜を滑らかにあるいは引っかかりがあるようにしたいと思うかもしれません。様々な下地を使って創作しているアーティストたちは、これら下地に接着させるための特殊な材料が必要なこともあります。いろいろなタイプの絵具や、独特の塗り方に適した表面にするためにこうした要求がなされることも多いのです。その範囲は、アクリル絵具を使用するアーティストからパステル、油性絵具、水彩絵具、鉛筆を使用するアーティスト、さらには、コンピュータによるCG画像を扱うアーティストまで、さまざまです。

 

特注添加剤

 添加剤は概して、アーティスト用の特注製品としては最も理解されておらず取扱いが難しいものです。添加剤とは、アクリル絵具の機能特性を変更することはできますが、仕上がり塗膜に固着力を加えることはできない材料です。これらの製品は使いすぎると、塗膜の耐久性を弱めてしまう恐れがあります。添加剤は絵具の特性を変えることができます。添加剤は、製品を滑らかにしたり、乾燥を遅らせたり、絵具の泡を増減させます。添加剤は製品の働きや性質を著しく変化させることができます。

 

特注ワニス

 特注ワニスのうちのいくつかは当社の既製品になっています。これらは、表面のツヤを整え、下の絵具層を保護します。ゴールデン社では、アクリル塗面から除去できる上に、紫外線保護機能もあるワニスも作りました。特殊な環境で制作しているアーティストから特定のワニスが求められることもあります。化学的に厳しい環境や高温多湿の環境下ではそうした条件に耐えられる特注ワニスが求められます。

 

カスタム・ラボの試験機器:耐光性試験(左)と照明ブース(右)

その他の特注サービス

 ゴールデン社では、特注絵具の製造以上のサービスも提供しております。ゴールデン・ラボでは、耐光性、接着性、安定性、塗付試験など特性に関する様々なレベルの試験が可能です。画材がもつ通常の性能の限界を超える環境下で作業する必要がある場合には、これらのサポートサービスが必要です。

 

耐光性試験

 耐光性、つまり画材が日光に曝されたときの色あせや変質に対する耐性は、画材による作品が保管に耐えるかどうかの重要な判断基準となります。幸いこれは、制御された方法で試験し分光光度計の計測で定量化できる特性です。製造業者にとって、こうした試験の実施は、新製品の開発および製品化にとって最も重要な部分です。ゴールデン社製品の製造過程で使われるすべての顔料とバインダーは、入念な評価がなされています。サンプルを検証する際のガイドラインとしては、ASTM規格などの標準試験条件が使われています。この基準には、下地剤の選定、塗膜の厚み、顔料の濃度などの要素が含まれています。さらに当社では使用法に従った製品試験も行っていますが、絶えず斬新な方法での製品使用例が持ち込まれるのが現状です。特殊な組合せ、支持体、特殊な材料の追加、過酷な環境などによって、美術品の耐久性に懸念が生じます。クライアントに対して耐光性試験を提案するのはこのような理由によるものです。そうすることでクライアントは、安心して自分の制作で、試験に合格した画材や手法を実行できるのです。これらの試験にはかなり時間がかかることがあるので、特注製品が使われる前に耐光性試験の必要性をよく考える必要があります。

 

接着性試験

 斬新な使用方法で失敗する一般的な原因としてもう一つ挙げられるのは、絵具塗膜と下地材との接着不良です。こうした失敗が起こりうるかどうかは、ASTM接着性試験規格によるサンプル試験によって判定できます。この試験により、下地材の準備、プライマー、中塗りなどを決定する際に、クライアントは最適な選択ができます。ゴールデン社では、送られてきたサンプルでの試験もできますし、当社の特注施設で作ったサンプルで試験することもできます。

 

使用方法試験

 アーティストが新しい下地材や材料、あるいは新しい使用方法で創作する場合、完成品の塗膜の耐久性が劣化するのではないかという懸念が出てきます。ご検討中の新しい下地材のサンプルを提出していただければ、ゴ−ルデン・カスタム・ラボで黄変や色あせに対する耐性といった重要項目に関して、制作に必要な塗付手順を使って試験することができます。この試験では、スプレー、スクリーン印刷、その他の使用方法が実行されます。耐光性試験については完全を期するために、これらの手順に時間がかかることもよくあります。

 

新製品開発

 アーティストが要求する製品は特殊なものが多く、標準的な絵具、ゲル、メディウム、添加剤、その他の一般の製品ではその仕様に合わないことがあります。このような製品が適切な性能を持ち保存性もよいと確認できるまでには、膨大な試験とたくさんの試作が必要です。そのような製品開発では何度も試作品が配合されますが、要求される全ての特性の決定にはクライアントからの助言が重要です。要求を満たす試験には、UV安定性、接着性、凍結・解凍安定性、柔軟性、耐久性などがあります。新製品作りは、複雑で時間のかかる工程です。開発過程でアーティストに参加してもらうと良いものができます。ゴールデン社は、他の方法では得られない広範囲な特注サービスを提供することで、多くのアーティストや企業の制作過程に参加できることを誇りに感じています。

 

 

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