Golden History

 

Gesso Survey Results Insightful for Subcommittee

ジェッソ調査結果、小委員会に見通し

Just Paint4でのASTM画材小委員会によるジェッソ調査に対し、300近くのお返事をいただきました。

Just Paint4のジェッソ調査書に記入し返送してくださったアーティストの多くは、この機会に当社の製品や冊子Just Paintに関してのコメントや質問もお寄せくださいました。また調査の結果がどうなるかに大いに興味をもたれています。参加いただいた300名近い方々にお礼を申し上げます。ここにその結果とともに、よくあるご質問やコメントに対するお応えも掲載いたします。

調査の目的
調査の目的は、現在の支持体の準備に関する情報収集です。絵画におけるサイズ引きや下塗り層は、支持体と描画層の間にある重要な境界面です。アクリルのジェッソは油絵でもアクリル画でもよく使われる下地です。このため、アメリカ試験・材料協会(ASTM)における画材小委員会のメンバーは、アクリルジェッソに関する品質や性能の自主規格を作ることを考えました。現在、いくつかの画材に関するASTM規格があります。例えば「ASTM D 4236に適合」という製品ラベル表示は、その製品は潜在的な急性および慢性の健康被害に関する評価がなされていることを意味します。また様々なタイプの画材に対しASTM品質規格があり、現在はアクリル絵具(D5098)、油絵具/レジン・オイル絵具(D4302)、水彩絵具(D5067)、ガッシュ絵具(D5724)などの規格があります。これらいずれかに適合すると表示していれば、そのメーカーはその絵具について耐光性、ラベル表示、使用顔料情報の開示などをユーザーに対し自主的に保証しているということです。こうした規格を使うことで、アーティストは最高度に保存性ある品質の材料を選ぶことが出来るのです。

アクリルジェッソが使われる場所や方法や用法実技、アーティストが重要と考える特性などを理解すれば、ASTMアクリルジェッソ規格は可能な限り多くのニーズを考慮したものにできるのです。ただし、これはブランドに関わらない一般的な一つの製品であらゆる用途に適したものを生むということではありません。それでもなお、規格に適合した製品は、研磨性(サンドペーパーのかけやすさ)、色調、吸収性、画肌(テクスチャー)、塗付性などのバランスに優れた製品となります。耐光性や安定性、そして「アクリル」ジェッソについては100%アクリル樹脂の使用、というような普遍的な性能が適切であれば、適合した全ての製品は同様の品質を持つことになります。ASTMの画材品質規格開発においては、保存性に影響する要因を熟慮する一方で、ブランドごとの製品にそれぞれの多様性を持つ余裕を十分に残すことが大きなテーマとなっています。支持体や材料が広範囲にわたり使われることから、どの製品も規格に適合するからといって全ての用途に適しているとは限りません。より適切なことは、メーカーが規格適合製品に対し、(調査で明らかになったような)色々な使用シナリオにおける製品試験に基づいた推奨使用法を明瞭、正確に表示することです。例えば規格の要求事項として、もしアクリルジェッソが油彩画に推奨されるのなら、絵具層間接着性に関連した要求事項を満たす必要があり、使用説明には油絵具の支持体への浸透を防ぐための塗り方が記載されていなければなりません。

ASTM規格の利点
ASTMにおいてこの規格開発を進める主な利点は、委員会が様々な視点を持つメンバーから構成されたグループであることです。このプロジェクトに協力しているのは、アーティストや画材メーカー、修復科学者などです。

修復科学者たちからは、様々な材料で構成されたことが作品の経年変化特性におよぼす影響に対処するという、より困難な問題に対する援助が期待できます。そのため、プロジェクトではサンプルの経年変化模擬試験およびそれに続く修復研究室での管理された劣化研究が計画されています。もう一つの重要な研究は、油絵具とアクリル下地というような異なる化学組成を持つ絵具層の境界面メカニズムに焦点を当てることになるでしょう。この作業の正味の結果が想定されるタイプの絵具に対する、支持体、サイジング、下地の「理想的な」組み合わせを示すものとなることが望まれています。

調査結果概要
1.使用する材料については、ほとんどの種類の絵具のユーザーから返事が寄せられました。内容は、油絵具、アクリル絵具、水彩、ガッシュ、エンカウスティック、インク、カゼイン絵具、ウレタン、卵テンペラ、パステル。

当社のメールリストであるという特性のためか、アクリル絵具30%、油絵具5%、それ以外の大半は油、アクリル、水彩の組み合わせでした。

2.および7.報告の90%以上は、自分で用意した支持体に自分でキャンバスを張るのが最も一般的で、続いて硬い支持体、ついで紙でした。

また30%が市販の塗装済みキャンバスを使っていると報告しています(質問7)。

3.油彩画家の半分以上が、油絵の下塗りにアクリルを使っていると答えました。

一般論として、この方法は油絵具の接着不良を起こす懸念があります。それはアクリル絵具の画面は、上塗りが十分な機械的食いつきができるだけの表面粗さがないからです。アクリルジェッソはこれとは違って、接着性をよくするために食いつきのよい粗さがでるように配合されています。

4.および6.サイズは施すか?

サイズの定義として「多孔質の支持体に対する絵具の吸い込みを防ぐために塗る、薄めた材料」としました。これは油彩画に一番関係があることで、支持体は油の浸透から守られねばなりませんが、それは油の酸性の性質が劣化の原因になる可能性があるためです。アクリル絵画の下地としても「サイズ」は有効です。もしアクリル絵具を比較的透明でありながら厚く塗る場合には、「SID(支持体起因の変色)」をサイズが防ぐことになります。SIDとは、絵具に含まれる水分や界面活性剤が支持体の成分を洗い出して画面表面まで移動して画面を変色させる現象です。

全画家の半分以上がサイズをしないと答えています。アクリル画作家の3分の1がサイズを施し、大半はポリマーメディウム(グロスメディウム)を使っています。

数人がウサギ皮のニカワを使っています。ニカワは恒久的に水溶性のため、当社はこれを推奨していません。高湿度の条件下では、キャンバスのような多孔質の支持体では湿度が高い時は湿気がニカワ層に浸透して膨潤し、湿度が下がると収縮します。これが繰り返されると、接着不良につながる可能性があります。皮ニカワは柔軟性がないため、扱いが悪いとヒビ割れを起こす可能性が高く、そのヒビは上層の画面にも波及することになります。

興味深いのは、大半の油彩画家がサイズを使わないと答えていることです。油の浸透をブロックするだけでなく、サイズは柔らかい支持体を硬くし、生地の張りによる「跳ね返り」を幾分かは緩和して筆さばきをよくする機能があります。硬質で耐久性のあるサイズならば生地の寸法安定性が増すので、周囲環境の変化や搬送や取り扱いによるヒビ割れの可能性を低減します。当社の試験によると、アクリルジェッソを十分に重ねている場合、支持体への油の浸透を防ぎますが、硬質にする効果はほとんどありません。油彩画を柔軟な支持体にする場合は、サイズを施す利点はなおあると言えるでしょう。これには、ゴールデン社のGAC400(国内未発売)という柔軟性のないアクリルメディウムをお勧めしています。

5.下塗り(プライマー)をするか?

大半の画家が調査レポートに対しアクリルで下塗りをすると答えました。約7%が場合によって鉛白(シルバーホワイト)のプライマーを塗り、2-3%が建築用塗料でした。特に油絵との組み合わせでアクリルのジェッソを使うという傾向が見られたことによりASTM委員会では、アクリルジェッソに必要な最良特性や伝統的な油性下地との比べての経時的な耐久性に関する疑問に対し、より決定的な答えを見出そうという意思を強くしました。

8.温度と湿度の変化に対する耐久性が、プライマーの特性として最重要と位置づけられました。これに次ぐのは順に、柔軟性、不透明性、塗りやすさ、耐光性、地肌、明るさ、吸収性、価格、透明性でした。

9.剥離がありましたか?

この質問は、プライマーやサイズの欠陥の程度とタイプを検証するためにされました。何らかの剥離が見られたという回答が多くあり、大半は支持体とプライマー、またはプライマーと絵具の間でしたが、問題のキーを見極めるための材料タイプに関する情報が不足していました。

水彩画家が要望する吸収性のジェッソについては、当社はゴールデンアブソーベントプライマーを推奨します。これにはホワイトとキャンバス色があります。水彩紙を使うのと同じような顕著な吸収性がでるように配合されています。吸収性の程度はこのプライマーを塗り重ねる回数により決まります。

次に多かったのは、テクスチャーのあるジェッソの希望でした。これには、ゴールデンのパステル用プライマーを試してみるとよいでしょう。どのような面でも、これを塗ればパステルが均一に描けるだけの十分な食いつきを備えます。これは半透明なので下地が透けて見えます。用途によっては標準のアクリルジェッソや絵具の上に塗ることも出来ます。テクスチャーのある下地を作るもう一つの方法は、ゴールデンのジェッソにゴールデンファインマミスゲルかコースパミスゲルを組み合わせる法です。

最後に、サンドペーペーをかけて非常に滑らかな面を作りたいユーザーに対しては、ゴールデンノサンダブルハードジェッソを勧めています。これはホワイトのみで、レギュラージェッソよりももう少し吸収性があります。曲げるとヒビが入る傾向があるので硬い支持体にしか使えませんが、研磨すればきれいに磨き上げた面になります。

ジェッソ調査により、全ての人々の要求に答えるには一種類のジェッソでは不可能なことが明確になりました。ほとんどの用途で伝統的な不透明下地が求められましたが、時には透明であると同時に支持体をシールし、なおかつ上に塗る絵具が十分に食いつく下塗り材の要望がありました。色やテクスチャー、粘度の異なるものも求められています。硬度に研磨可能な面の方が、それに相対する柔軟性という性質以上に求められています。こうしたニーズには、一つの製品ではなく様々な製品からの選択あるいはそれらの組み合わせで効果的に対応可能です。ユーザーはそれぞれの製品の限界と特質を理解することが重要です。それは、例えば油絵具は多孔質なアクリル下地を透過する可能性があること、サンダブルハードジェッソは曲げるとヒビ割れることなどです。支持体の準備は絵画の寿命に対する大きな要素です。用途にあった製品をあつらえることで、構造的な強度というニーズを満たしつつアーティストの要望に応えることが可能となります。

ここで取り上げた下地材、メディウム、ゲルなどを試したい場合や、この情報に対し質問やコメントがある場合は、ゴールデン社にご連絡ください。

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