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  • プラスチックにアクリル絵具を塗る

    Vaikunt Raghavan, Ph.D.

    湿潤と接着の基礎

    液体と固体が接触すると、これらの異なる素材の間に新たな界面、すなわち境界が生まれます。アクリル絵具と固形プラスチックとの接着を促進または阻害する要因は多々ありますが、最も重要な要素は、塗付に際して液体が固体を「濡らす」能力です。プラスチックの上で水滴が玉状になっているのを見ると、表面張力の力学が働いていることがわかります。少し紛らわしいことは、液体に独自の表面張力(液体/空気の界面張力)があるだけでなく、塗付する固体にも独自の表面張力(固体/空気の界面張力または固体中の「表面エネルギー」)があるということです。実際には、液体を面全体に広げようとする固体の表面張力(γs)です。この広がりを妨ぐために2つの力が働きます。1つは液体の表面張力(γL)であり、液体の表面張力が高ければ高いほど、液体が凝集する力も大きくなり、表面積を小さくしようとします。広がりを妨ぐもう1つの力は界面張力(固体/液体‐γsL)と呼ばれるもので、固体と液体の接触面積を最小化しようとします。(注1)

    接触角(θ)が小さいとき(90度未満)、液体は固体の面全体に広がろうとし、適度な湿潤を示します。これは、液体の表面張力が固体より低いときに起きる現象です。
    接触角(θ)がゼロのとき、液体は自然に固体の面全体に広がろうとし、完璧な湿潤を示します。
    接触角(θ)が大きいとき(90度超)、液体が固体の上で玉状になる傾向が生じ、不十分な湿潤を示します。これは、液体の表面張力が固体より高いときに起きる現象です。簡単に言うと、液体が固体を十分に湿らせるには、固体の表面張力が液体の表面張力より高くなければなりません。

    コーティングは表面を十分かつ均一に湿らせるだけではなく、表面に十分に接着しなければなりません。したがって、拡張湿潤に加え、適切な「接着湿潤(WA)」も必要であり、これを数学的に定義すると下記のようになります。

    WA = γs + γL - γsL

    この等式からわかることは、接着湿潤(WA)を最大化するためには界面の表面張力γsLをできるだけ低く保たなければならないということです。

    この時点で話について来られなくなったとしても、心配はいりません。はっきり言えることは、画家は常に、ある面が別の面を湿らせることで材料同士の適度な接触、ひいては適度な接着が生まれるという問題に対処しなければならないということです。全く異質の材料を使う場合は特にそれが顕著です。多くの人は絵具が表面に溜まるケースや、連続した膜になるだろうと思っていたのにその上に小さな川が幾筋もできるケースを見たことがあるでしょう。あるいは、絵具を表面に留める、または浸透を高めるために、どれほど多くの人がアクリリックフローリリース(国内未発売品)や他の流動添加物を使用したことでしょう?これらは単純に言うと、上記の力と力の間に生まれた緊張のなせる業です。もっと真面目に理科の授業を受ければよかったと思っているのではありませんか?


        左図:不十分な湿潤、右図:適度な湿潤
    (注1) これらの力のバランスを数学的に表現すると次のようになる:γs = γsL + γ< /FONT > L (cos θ)。接触角(θ)とは液体が固体に接する角度である(図1)。この接触角は表面の「拡張湿潤」の尺度となる。

    プラスチックへの接着

    実際、表面張力にはダインまたはセンチメートルあたりダイン(dynes/cmと表記)と呼ばれる独自の計測単位があります。整備された金属の表面には、ほぼ400~1800 dynes/cm(アルミニウムの場合500以下、銅の場合1300以下、ニッケルの場合1800以下)の高い表面エネルギーがあり、表面張力が約40~50 dynes/cmと比較的低いアクリル樹脂(エマルション)で簡単に湿らせることができます。他方、プラスチックの表面を湿らせることは金属の表面を湿らせるよりはるかに複雑です。プラスチックは、無孔性、無極性または低極性、疎水性であり、表面エネルギーの低い材料であるため、画家にとってはもちろん、自動車、エレクトロニクス、医療業界においても接着困難な材料です。

    プラスチック面と絵具はいずれもポリマー材料であるため、表面張力も同程度です。図2に示すように、プラスチック支持体(20~50 dynes/cm)と水性アクリルエマルション(39~47 dynes/cm)の表面張力は狭い範囲でかなり似通っている、あるいは重複しています。絵具と支持体の接着は、表面張力の差、ホットとコールドに対する膨張の差、係数(剛性の尺度)の差、乾燥/硬化中の収縮、製法における溶剤の効果、化学構造など、多くの要因に依存しています。しかし、十分な接着を決定づける最も重要な要因は表面張力の差です。絵具とプラスチック支持体の臨界表面張力に大差がない場合、表面が接着不足になることが多く、時には全く接着しないこともあります。概して、適度な接着が達成されるのは、支持体の表面エネルギー(計測単位dynes/cm)が液体の表面張力より約10 dynes/cm大きいときです。この場合、液体が面を「湿らせている」、あるいは面に接着していると言えるでしょう。そうなるためには、支持体か絵具のいずれかの表面張力が図2の行き詰まりから脱しなければなりません。水性アクリル絵具に十分接着できる仮想プラスチック支持体の表面エネルギーを図3に例示します。ここに示すように、固形支持体の表面エネルギーが液体の表面張力より高ければ高いほど、湿潤性は高まり、接触角は小さくなります。

    接着力は一般的に基材とその界面の特性によって決まります。これらの界面を物理的に、また化学的に変えることにより接着力を最適化することができます。水性アクリル絵具の製法を決定する際、液体絵具の表面張力を下げるために表面活性調整剤(界面活性剤)の使用は欠かせません。界面活性剤がアクリルエマルションの表面張力を26~31 dynesに下げることにより、表面コーティングが困難な多くの材料を湿らせることができます。


    (図内)
    左:表面張力(dynes/cm)
    上:水性アクリル絵具、コーティング、インクの表面張力範囲(約42~47 dynes/cm)
    中央(左→右):
    エポキシ
    ポリエチレンテレフタレート(PETE)、ポリエステル、MylarR
    ポリ塩化ビニル(PVC)、ビニル、SintraR、Old SaranTM、一般的なラップ
    ポリメチルメタクリレート(PMMA)、PlexiglasR、LuciteR、PerspexR
    ポリスチレン(PS)、スチレン、StyrofoamTM
    ポリウレタン(PU)、ウレタン
    ポリビニルアセテート(PVAc)
    ポリエチルメタクリレート(PEMA)
    ポリエチレン(PE)、LDPE、HDPE、Plas-TexR、Moden SaranTM、一般的なラップ
    ポリカーボネート(PC)、LexanR、MakrolonR
    ポリプロピレン(PP)
    ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、TeflonR
    下:支持体となるプラスチック


    (図内)
    左:表面張力(dynes/cm)
    中央(上→下):
    水の表面張力=73 dynes/cm
    十分な接着
    配合設定によりコーティングの表面張力を下げる
    アクリル絵具、コーティング、インクの表面張力範囲(約42~47 dynes/cm)
    処理により支持体の表面張力を上げる
    十分な遊離
    下:仮想支持体


    コーティングの相溶性を高める

    クリーナー、油性洗浄剤

    コーティングの未熟な失敗の最も一般的な原因は表面の汚れです。埃、汚れ、遊離した粒子、トレースオイル、ワックス、グリース、シリコン、フィルム、酸化物、添加物、可塑剤、離型剤、時には指紋さえも除去する専用のクリーナーや油性洗浄剤はたくさんあり、低VOC製品から100%溶剤まで多種多様です。プラスチックの中には、軟質ビニルなど、時間をかけて気化する可塑剤を含むものもあり、その場合、アクリル絵具を塗布した表面に可塑剤が放出され、表面がベタつくという問題が生じます。

    プライマー、タイコート、添加剤

    プライマーの成分は通常、反応性化学物質または結合剤(樹脂)を溶剤に混ぜたものであり、支持体の表面に筆で塗ったり、スプレーしたりして使用されます。溶剤は蒸発しますが活性物質(添加剤)は残ります。プライマーの種類によって、表面がすぐに接着可能になるものもあれば、完全に乾くまで時間がかかるものもあります。プライマーは一般的にPET(MylarR)、ポリウレタン、シリコンに使用されます。タイコート(接着性向上のためのコーティング剤)は通常、プラスチックと絵具との化学架橋としての役割を果たします。単に溶剤/水に分散した低濃度の接着促進剤であることもあります。タイコートは通常、極く薄い膜として塗布されます。プラスチック面に直接塗ることで、目に見える傷がつきがちなスカッフィング(研磨)工程を省略することもできます。

    シラン類は、プラスチックが適切な官能基を持つ場合に使用される一般的な接着促進剤です。未処理のポリエチレン、ポリプリピレン、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)といったプラスチックに絵具、コーティング、インクを使う場合には、塩素化ポリオレフィン(CPO)と呼ばれる特殊な添加物も接着促進剤として使用されます。

    これらのCPOには少なくとも3種類の使用方法があります。

     ・ 支持体と後で塗るコーティングの間のプライマー
     ・ コーティング層間のタイコート
     ・ 絵具への添加物

    支持体適合性の改善

    プラスチック表面の準備や修正により絵具の許容性を大きく改善することができます。親水性と表面エネルギーの特性を高めることにより、結合力と官能度を劇的に改善することができ、それにより接着を促進し、作品と工程に価値を付加することができます。

    粗面処理

    これは画家にとって簡単で、多くのプラスチックにきわめて有効な方法です。プラスチック支持体の表面張力は変えられませんが、機械的インターロック箇所の数を増やすことで接着力が高まります。表面を荒らすことで膜や層や酸化物が除去され、接着に適した面積が増えます。荒らす前に表面の油を取り除くことが重要です。エッチング処理した面のいたる所からワックスや油を取り除くのは難しいからです。微粒子のサンドペーパーかエメリー布で荒らした後、必ず、ブラシか圧縮空気で遊離粒子をすべて取り除き、その後再び油脂を除去し、残留油脂と離型剤をすべて取り除きます。

    サンドペーパーやエッチングで表面を処理すると、アクリル絵具を付着させる小さな部分がたくさん現れますが、これは絵具の粘度(ベタベタからサラサラまで)やレオロジー(流動性)によって大きな影響を受けるかもしれません。粘度の高すぎる絵具はエッチング処理した表面の小さな窪みに浸透しないでしょうし、流動性の低い絵具はサンドペーパーでザラついた表面に容易に入り込めないでしょう。概して、粘度の低い製品は一般的に浸透性が高まるため、プラスチック面によく接着します。

    化学結合

    一般的なプラスチックと液状のアクリル絵具との化学結合はごくわずかです。電荷測定で陽か陰に分けられるプラスチック樹脂は「極性」と判断されます。電荷のないポリマーは「無極性」だといえます。多くのプラスチックは無極性であるため、接着の機会は非常に限られています。ポリエチレンやポリプロピレンは、特殊な処理(火炎処理など)をしない限り、表面エネルギーが非常に低いため接着はかなり制限されます。ポリエチレンシートはアクリル皮膜を作るためにはとても適した面です。接着が不十分であるため、乾燥後に絵具皮膜を簡単にはがすことができます。

    例えば、アクリル系プラスチック(PMMA)、ABSプラスチック、ポリカーボネートは極性プラスチックであるため、表面エネルギーが高く、アクリル絵具に対する接着度も高いのが普通です。

    コーティングとプラスチックとの接着向上のための他の処理

    絵具と各種プラスチックとの接着を高めるために様々な処理が使用されています。こうした支持体を処理するには産業的手法が必要です。たとえば火炎処理(注2)、熱処理(注3)、コロナ放電(注4)、プラズマ処理(注5)、クロム酸エッチング(注6)、接着剤研磨(注)などです。他にも、ヨウ素やナトリウムなどの処理、表面グラフトや結晶内成長やガンマ線や紫外線照射などの技法があり、資料にもあるように、これらをうまく使ってプラスチックの表面エネルギーを高めてきました。ほとんどの場合、これらは、ポリアミド、フッ素重合体、ポリオレフィンなど、工業環境において濡れにくい支持体に使われています。 
     

    1-一般的な支持体に対する絵具の準備およびプライマーに関する推奨

    発明

    商品化

    商業的・派生的製品

    素材の耐久性

    dynes/cm

    準備

    注記

    硝酸セルロース

    1862

    1872

    ピロキシリン、セルロイド、ラッカー、ニトロセルロース

    不十分

    42

    脆弱、亀裂

    ポリ塩化ビニル(PVCPVdC

    1872

    1928

    ビニル、一般的なラップ(古いサランラップなど)

    不十分~十分

    33-42

    イソプロピルアルコールを主成分とするクリーナー―タイコートを推奨

    軟質PVC(ビニル)は可塑剤が浸出(粘着する)。硬質PVCUVカット剤と顔料で保護可能

    ポリメチルメタクリレート(PMMA

    1877

    1933

    PlexiglasLucitePerspex

    十分~優れている

    41

    イソプロピルアルコールを主成分とするクリーナー

    アクリル絵具の接着は十分。やや極性の表面により絵具の接着が増す

    ポリスチレン(&発泡ポリスチレン)

    1839

    1937

    スチレン、発泡スチロール(Styrofoam)

    不十分

    34-41

    脆弱性軽減のために全体をカバーする必要あり

    脆弱化、崩壊

    ポリアミド

    1935

    1938

    ナイロン

    十分

    33-46

    表面を研磨。イソプロピルアルコールを主成分とするクリーナー

    絵具の接着は困難

    ポリエチレン

    1898

    1939

    一般的なラップ(最近のサランラップなど)、HDPELDPEPEPlas-TexR

    適正

    30-31

    イソプロピルアルコールを主成分とするクリーナー

    表面が濡れにくい。アクリル皮膜作成の剥離性下地に適している

    ポリエチレンテレフタレート

    1929

    1941

    PET、ポリエステル、Mylar

    十分~優れている

    41-44

    イソプロピルアルコールを主成分とするクリーナー

    特に研磨時に十分な接着

    アクリルニトリルブタジエンスチレン

    1948

    1950

    ABS

    適正~十分

    35-42

    イソプロピルアルコールを主成分とするクリーナー

    やや極性の表面により絵具の接着が増す

    ポリウレタン

    1937

    1952

    ウレタン、PU

    十分~優れている

    36-39

    表面を研磨。アセトンで脱脂

    接着のために表面を研磨する必要あり

    ポリプロピレン

    1954

    1957

    PP

    不十分

    29-30

    イソプロピルアルコールを主成分とするクリーナー

    紫外線で劣化
    接着困難

    ポリカーボネート

    1953

    1958

    Lexan Makrolon

    十分~優れている

    34-46

    イソプロピルアルコールを主成分とするクリーナー―タイコートを推奨

    やや極性の表面により絵具の接着が高まる

    エポキシ

    1927

    1947

    適正~十分

    33-52

    表面を研磨。アセトンで脱脂

    極性の表面により絵具の接着が高まる

    画家への推奨

    表1には、アクリル絵具とプラスチック支持体との接着を高めるための予備的推奨を記載しています(すべてを網羅しているわけでありません)。現代のプラスチックは硬質で軽量で滑らかな面を持ち、画家なら作品の支持体に使ってみたいと思うでしょう。画家は構造物や描画面の制作に際し、その権利としてあらゆるプラスチックを様々な形態で使うことができますし、実際に使うでしょう。様々なプラスチックの中から耐久性の高い作品を作れそうなものを選んで使うことが可能です。アクリル、ポリカーボネート、ポリエステル(PET)、ウレタンプラスチック、硬質PVCプラスチックの一部は間違いなく含まれるでしょう。画家が一般的に使う他のプラスチックには、様々なビニルや、ポリプリピレン製の面が含まれます。技術は常に進歩し、新たなプラスチック複合材や表面処理が可能になり、コーティングとの親和性高まっています。こうした新素材が生まれることで、制作に際しますます多くの可能性を模索することが可能になるでしょう。しかし、当然、すべてのプラスチックが同じように作られている訳ではありませんので、たとえ魅力的であっても、必ず適材適所で選ぶようにしてください。

    プラスチックの分類

    平坦、軽量、半硬質、半透明あるいは透明なこの材料は絵画の支持体として魅力的に見えるため、使用に際し「ご自分のリスクでお使いください」という警告が必要です。この記事は、使える支持体をすべて提示しようとするものではなく、アクリル系の絵具とメディウムをこうした支持体に接着させるというコンセプトに関した資料で価値があると思われるものを提供するものです。各プラスチック支持体のさまざまな特徴についての説明については次の記事をお待ちください。

    参考資料
    ・ 高温コーティングにおける湿潤性、拡散、界面現象 JOM-e, 52(1) (2000)、鉱物・金属・材料協会出版物
    ・ SpecialChem4Adhesives-接着ガイド http://www.specialchem4adhesives.com
    ・ プラスチックの接着に関するLoctiteデザインガイド第6巻 http://www.henkelna.com
    ・ プラスチック面の調整‐表面の処理、装飾、接着 Rory A. Wolf著 2010年Hanser Publishers出版
    ・ Eastman水性CPO接着促進剤の配合設定 http://www.eastman.com
    ・ 接着‐産業リソースおよびコネクション http://www.adhesionbonding.com
    ・ Enercon‐プラズマ表面処理システム http://www.enerconind.com
    ・ Matthew絵画支持体準備ガイド http://www.matthewspaint.com
    ・ 接着剤のための表面準備ガイド http://www.adhesive.com
    ・ プラスチックコーティングの傾向 Lawrence C. Van Iseghem著 Van Technologies, Inc.
    ・ 保護的コーティング Clive H. Hare著 Technology Publishing Company ペンシルベニア州ピッツバーグ
    ・ 界面活性剤および界面現象 M.J. Rosen著 John Wiley & Sons
    ・ Accu Dyne Test‐ポリマー表面特性表 http://www.accudynetest.com

    注2) 火炎処理:支持体の表面を短時間炎に当てることで酸化させ、官能基を導入する工程。これにより表面エネルギーが高まり、接着力が高まる。断熱火炎温度は約1800° C。火炎処理された表面はコロナ処理された表面より安定した老化を維持することが多く、火炎処理はPE、PP、PETの処理に使用される。

    注3) 熱処理:熱処理は火炎処理とよく似ているが、表面を酸化させるために支持体を火炎ではなく約500° Cの熱風に当てるところが異なる。表面の架橋結合と分子鎖切断を伴うフリーラジカル機構も関与するため、湿潤と接着が高まる。

    注4) コロナ放電:ギャップを通して高電圧で支持体を粗面処理することにより、反応場を導入し、空気が存在する場において大気圧コロナ放電を行うことにより機械的インターロックを促進する工程。効果は永久的ではないため、処理後すぐ塗るのがベスト。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルに効果的。

    注5) プラズマ処理:イオン化空気を使って無孔性で無極性のプラスチック支持体の表面張力を高めることにより、絵具、コーティング、接着剤、インクの湿潤と接着を高める電気的工程。空気プラズマ放電において、電子は高エネルギーで表面に衝突し、表面の分子結合を破壊する。その結果生じる遊離基は表面の分子鎖においてすぐ反応し、架橋結合が発生する。表面に極性基が生じた結果、酸化効果が表面エネルギーを高める。湿度と温度により処理はすぐ劣化するため、必ず短時間に、通常数分以内に表面をコートすること。扱いやすく、持ち運び可能な、携帯式プラズマ処理器が市販されており、繊細な面に理想的な弱低温プラズマを発生させる。

    注6) クロム酸エッチング:カルボン酸/ヒドロキシル基/カルボニル基、ケミカルエッチングなど、支持体の表面に反応性の高い官能部位を導入することにより、機械的インターロックを促進し、結合性を高める工程。ポリプロピレンとポリスチレンに適している。

    注7) 接着剤研磨:接着剤がある状態で支持体、特にテフロンの表面を磨くことにより、接着剤そのものに反応する遊離基を発生させる工程。

    Golden Artist Colors社


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