絵画用支持体としての合板

By Mark D. Gottsegen

合板の原形は、紀元前3400年頃、造船用の品質の良い木材が不足していた時代に地中海でエジプト人により発明されました。Immanuel Nobel(アルフレッド・ノーベルの父)は合板製造用の材木からベニヤを剥ぐために使う回転ナイフを発明し、1856年には近代的合板に対する最初の特許が発行されました。

19世紀に出現した合板は、軟材(トウヒ、マツ、スギ)のベニヤ(プライとも言います)を3枚から5枚、各ベニヤの木目が隣接するベニヤの木目と垂直方向になるように接着するという比較的単純な構造で作られていました。各プライの厚みは回転ナイフを扱う者と顧客の要求により決定されていました。表層単板は心板より薄かったかもしれませんが、1枚の板は最低3枚のパイル(厚さ1.5~4.5mm)でできており、標準サイズは1.25 x 2.4 mです(特注品の中には0.9 x 1.5 mまたは1.5 x 1.5 mのものもあります)。このような複合構成のメリットは、合板のエッジ近くを固定すると、分離、たわみ、亀裂、断裂が起こりにくいことです。また、厚みが増すと曲がりにくくなります。

合板の最初の用途は船と建物の建設でした。今では、構造から装飾や特殊製品(湾曲可能に設計された特殊な合板など)にいたるまで実にさまざまな用途に使われています。アーティストも彫刻の構成素材や絵画の支持体として合板を使用しています。

大前提として、ほとんどのアーティストは少なくとも自分の死後も残る作品を作りたいと思っているでしょう。また、多くのアーティストは、その作品が美術館で、あるいは大規模な所蔵品の一部として丁寧に扱われることを望んでいると思います。しかし、現実には、ほとんどの作品は美術館に展示されるわけでも所蔵品として丁寧に扱われるわけでもありません。作品が飾られるのは一般的な家庭で、環境(温度、湿度、照明)が十分に管理されているとは言えません。したがって、耐久性のあるものを選びたければ作品の質を考慮することが重要です。支持体を強化し、保護するために一定の処置を施せば、最高とは言えない品質の材料でも何とかなるかもしれません。

以下は、入手可能な各種合板の簡単なリストとそれぞれの概要です。

1. 軟材合板:マツ、トウヒ、スギ、アメリカスギの心板と表層単板でできた合板。最も一般的に見かける合板の厚さは6~30mm。
 
2. 硬材合板:バーチ製が多いが、セイヨウトネリコ、オーク、アカガシワ、カエデ、マホガニー、フィリピンマホガニー(本物のマホガニーではなくルーアン)も使われる。最もよく見かけるのは厚さ18 mmのバーチ製
 
3. 航空機用合板:バーチまたはカエデ製。特殊な高強度接着剤を使用。
 
4. 装飾用またはキャビネット等級の合板:主にセイヨウトネリコ、バーチ、オーク、アカガシワ、カエデ、マホガニー、フィリピンマホガニー(本物のマホガニーではなくルーアン)、ローズウッド、チーク、その他、通常厚さ18 mmのもの。天板用のこの種の合板には、Formica製などの水に強く傷がつきにくいプラスチック材が使われることもある。
 
5. 海洋合板:水と高温に強い特殊な接着剤を使った隙間のない心板の硬材合板すべて。厚さはさまざま。
 
6. その他:耐火性、耐湿性、サイングレード、圧力処理されたもの。これらはすべて特定用途のために特殊な化学薬品で処理され、厚さはさまざま。

高品質パネル

合板に関して避けられない質問は、「絵画用の高品質パネルはどのように選べばよいですか?」(高品質を求めていると想定)と「絵画用のパネルはどのように準備すればよいですか?」などです。
絵画用に適したパネルは、片面(Aとします)の表面が滑らかで、節や隙間や埋め木(節穴を埋めた痕)や継ぎ目がないものです。裏面(B)はそこまで完璧でなくてもよいのですが(埋め木に紙やすりをかけたくらいは大丈夫です)、Aがまあまあでも(必ずしも、やや劣るという意味ではありません)、B面が非常にお粗末ということもあります。
4ヵ所のエッジもすべて点検しましょう。隙間があってはならず、切り口がきれいで表面に対し垂直でなければなりません。6mmのパネルを使う予定なら、おそらく軟材ベニヤ(マツかルーアン)になるでしょう。それより厚い、すなわち18mmのパネルを使おうとしているのなら、おそらくバーチが最も入手しやすい硬材ベニヤでしょう。さらに、バーチの合板は木目も目立たず非常に目の詰まった滑らかな面を持つため、やすりがけや下塗りが楽です。.ただし、バーチ合板の品質は種によって異なる可能性がありますので、パネルをよく確認してください。

筋違パネル
 
硬質の支持体の重ね継ぎでは、すべての継ぎ目をネジでとめるか、糊で接着します。
18mmより薄い(6mmまで)パネルを使う予定なら、パネルを平らに保つために筋違をする必要があります。30 x 30cmから約15 x 15cmのパネルは外周を支えるだけで大丈夫です。15 x 15cmのパネルは通常、パネルの両面を同じ回数コーティングして表面の緊張を均等に保てる限り、筋違の必要はありません。30 x 30cmより大きいパネルは外周の支えとX字筋違が必要になるでしょう。X字筋違は水平と垂直の両方向に30cmごとに行います。

筋違と呼ぶこうした「補助サポート」は、パネルとは別のユニットとして組み立て、その後パネルに当てはめます。材木の通常サイズは5 x 10cm(定格2.5 x 5cm)ですが、大きなパネル(2.4 x 1.2mまで)には5 x 20cm (2.5 x 10cm)のスティックを使用しました。ほとんどの画家は5 x 10cmの市販のパイン材を使いますが、仕事でこのパネルを作っている同僚は、たわむ可能性が高いと考え、厚さ18mmの合板から独自に8mm x 10cmの材をカットする方が良いと考えています。製造に使用する糊と構造の性質から、その方がたわみにくいからです。

2本の木材が接するとき、一般的に画家/木工労働者にとって最も簡単な接合は重ね継ぎです。X字筋違が交差するときは二重の重ね継ぎを使用します。筋違に必要な道具は、差し金、バックソー、タガネなどです。材を切断し、接続し、大工が使う黄色い脂肪族木工用ボンドで補助サポートを組み立て、一晩乾燥させます。私が作業するときは乾燥を早めるために建設用接着剤(コーキングチューブ入り)も使いました。フレームが乾燥したら、パネルの裏側に単一ユニットとして貼り付けることができます。その場合、建設用接着剤ではなく黄色い木工用ボンドをお勧めします。こちらの方が長持ちします。パネルと筋違をしっかり接着させるために、パネルを床に置き、表面に重石を乗せ、一晩寝かせます。簡単なネジ式のクランプがいくつかあれば、パネルと筋違を固定し、その珍妙な物体を邪魔にならないよう立てておいてもよいでしょう。

面の補強

油絵の場合は間違いなく硬質の支持体を推奨しますが、多くの画家は、合板であれ、他の製品であれ、ツルツルした硬い面を好みません。表面を少し柔らかくしてテクスチャを出すために、麻、綿、紙、美術館仕様のボード面をパネルの表面に貼り付けてもよいでしょう。その際、私はアクリルのゲルメディウムを使用しています。材料を再配置するために十分な作業時間を取ることができるからです。

布をパネルとほぼ同じ大きさに(トリミング部分を少し残して)カットしてもよいし、パネルや筋違の背面エッジ周辺を包むために十分な布が残るよう縦横約10cm大きめにカットしてもよいでしょう。こうすると、装飾などをしたいときに適切なエッジになります。紙で覆うこともできますが、機械漉きの紙には紙目があり、湾曲に抵抗するため難しいでしょう。

その後、筆やローラーやスパチュラを使ってパネルの表面にゲルメディウムを約1mmの厚さに塗ります。その上に布を乗せ、全てのエッジから均等に垂れ下がるように配置します。しわがある所は、中心からエッジに向けて外側に手で伸ばします。材料の位置に納得したら、ゴムのブレイヤー(ハンドローラー)を使って再び中心からエッジに向けて布を伸ばします。こうすることで気泡を取り除けるだけでなく、材料とパネル面をしっかり接着させられます。メディウムによってはエッジのあたりに溜まることもあります。材料を貼り付ける前に両面をコーティングすると有効です。その際、合板の切り口にも保護のためにコーティングするとよいでしょう。

パネルのエッジと同一平面で材料のトリミングをする場合は、ゲルメディウムが乾く前に行ってください。片刃かみそりか万能ナイフを使うとよいでしょう。

布をエッジの向こうに折り込んでいる場合、対象物をひっくり返し、表を下にして清潔な面に置きます。エッジとパネル裏面のわずかな部分にゲルメディウムを塗り、材料を持ち上げ、エッジの方向に引っ張り、裏面に貼り付けます。縫い目が角に当たるよう(そうするとフレーミングがはるかに楽になります)、布の四隅をきちんと四角くなるように切って、膨らみのないきれいな角を作るのがよいと思います。パネルを立てて一晩乾燥させます。

油性地下塗り材で油絵用の布を準備するときは、専用のアクリル分散メディウムで布をサイジングし、油性下塗り材(伝統的な油のシルバーホワイト、チタニウムホワイトを含む油/アルキド、オランダ法で作られた顔料によるシルバーホワイトの油性下塗り材)を塗ります。炭酸鉛(シルバーホワイト)を含む下塗り材を使う場合は必ずメーカーの取扱説明書と健康上の注意事項を守ってください。プライマー/下塗り材を薄めたものを1回より2回塗る方がよいでしょう。シンナーとして無臭の石油スピリットを使用し、必ず十分に換気するか、保護マスクを着用してください。温暖な環境で通常3~7日間、触れるくらいまで乾燥させます。

アクリル絵具で描くための布を準備するときは、支持体に起因する変色(SID)を防ぐために作られたアクリルメディウムでにじみ止めをします。GAC 100が適しています。その後、高品質のアクリルプライマー/下塗り材を2~4回塗ります。

むき出しの合板の面に描きたい場合でも、にじみ止めは必要です。木材表面の吸湿性はムラがありますので、サイズ剤を塗ると一定になるでしょう。その後、油性下塗り材(伝統的な油のシルバーホワイト、チタニウムホワイトを含む油/アルキド、オランダ法で作られた顔料によるシルバーホワイトの油性下塗り材)を塗るとよいでしょう。上記の注意事項に従い少なくとも2回塗ります。

アクリルプライマー/下塗り材を使う場合、SIDを防ぐためにGAC 100などでにじみ止めをした後、高品質のアクリルプライマー/下塗り材を2~4回塗ります。

卵テンペラで描こうと思っているとしましょう。最新のニカワ/白亜ジェッソを作り、にじみ止めをしたパネルに5~10回塗布します。その際、ジェッソの意味を考えましょう。ジェッソは「しっくい」または「石膏」を意味するイタリア語です。

最後の検討項目は、絵画の保管に関してクライアントを教育する方法です。ラベルはよき指導者となります。支持体の構成から、サイズ剤、下塗り材、絵具、最終面のコーティングの成分にいたるまで、できればブランド名を使って絵画に関するあらゆる情報を記載できるからです。さらに、保管/展示に最適の環境を作るために紫外線を排除し、温度を24℃+/- 5°に、相対湿度を約45% +/- 15%に保つようクライアントに伝えるとよいでしょう。ほとんどの家庭で温度要件は達成できますが、美術館並みの相対湿度を満たすには非常に費用がかかりますので、大げさにしない方がよいと思います。何よりも、クライアントにはできるだけ長く作品を楽しんでいただきたいものですね。


参照文献
1.Michael Reid O'Halloran, 1975, Plywood in Hostile Environments: Physical Properties and Applications, American Plywood Association.
2.Handbook of Finnish Plywood, Finnish Forest Industries Federation, 2002, ISBN 952-9506-63-5 [1]
3.Engineered Wood Products Association of Australasia.
4.Pro Woodworking Tips.com.
5.For the metric conversions, Dashboard on an iMac computer.
6.Joyce, Ernes. 1970. The Technique of Furniture Making. London: B. T. Batsford Limited.
7.Wikipedia, the free online encyclopedia
8.www.woodweb.com
9.Look up "plywood" in Wiktionary, the free dictionary.
10.Canadian Plywood Association - CANPLY
11.The Conservation and Art Materials Encyclopedia Online (www.cameo.mfa.org, a free resource from the Boston Museum of Fine Arts
12.The Art Materials Information and Education Association (www.amien.org), an unbiased source of information about art materials. AMIEN is a resource for artists dedicated to providing the most comprehensive, up-to-date, accurate, and factual information about artists' materials. AMIEN is a 501(c)3 non-profit, charitable organization.  

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