(左)初雪
(右)ゴールデン基金レジデンスでのオープンスタジオにおけるLynette Stephensonのスタジオ


ザ・バーン

By Emma Golden

リンリン。「ゴールデン基金のエマです。何かご用ですか?」
「ええ、バーンの件でお電話したのですが...」
「ゴールデン基金レジデンスのことですか?」
「そうです。バーン…えっ、どこですって?」

ザ・バーン(納屋)。レジデンスと名づけたにもかかわらず、アーティストたちはそう呼んでいます。バーンでの1年目は何という年だったでしょう!世界中からアーティストたちが集まり、祝福してくれました。30年前、祖父母がシェナンゴ郡の丘陵の小屋にアーティストが暮らし、制作空間を持つことを思い描いたときには夢物語にしか思えなかったことです。しかし、祖父Samの本当の願いは画家仲間を作ることでした。祖父は同じようなやや大きい納屋で画材を作っていたからです。

アーティストたちと関わり、彼らの要望を聞いて特注の画材を作り、彼らのニーズを満たすために顔料と樹脂の混合物を作るという生涯をかけた旅の中でSamが共有した興奮と情熱が私にもやっとわかるようになってきました。1年目のレジデンス制度の運営は多くの意味でSamの旅に似ていました。今は、初年度の滞在アーティストであるJennifer Anne Norman、Erin Treacy、Elizabeth Blau、Karima Klasen、Mel Prest、Lynette Stephenson、Kevin M. Witzkeの助けを借りて、リスニングスキルを再調整し、技術支援の目標予定を作成し、特に4週間の滞在期間内にできるだけ多くのチャンスとリソースを柔軟に提供する方法を学んでいるところです。両親も私も、Samの遺産、すなわちアーティストがいる場所にいられるという贈り物の相続人であることを嬉しく思っています。

今年の4週間にわたるバーン滞在期間はどのようなものだったでしょうか?休む暇はほとんどなく、アイディアや材料の実験と探求に多くの時間を費しました。エレベーターと借りてきた運搬車のおかげで、アーティストの到着日に荷物を解き、部屋とスタジオスペースを選ぶお手伝いができ、最初の食事を共にすることもできました。

素晴らしいアーティストたちの励ましのおかげでSamとAdeleの構想を実現し、彼らの経験と意見に基づき、すばらしいシステムを構築できたことに感謝しています。

Mel Prest:「スタジオの軟らかい木の床と照明がとても気に入りました。外を眺めては、アカギツネ、ワイルドターキーの群れ、タカ、鹿、小さなカエル、蝶など、そこに住むさまざまな動物を見ていたものです」

Erin Treacy:「レジデンスでは、毎朝目覚めるとコーヒーを飲み、ベッドルームのガラス戸の外にある小さなプライベート空間に座って本を読んで過ごしました。それから部屋の大きな製図机で簡単なスケッチをした後、スタジオへ向かうのが常でした。スタジオは想像以上で、ゆったりしたスペースに照明も画材も豊富でした。出身のニューヨーク市ではスペースが極端に狭かったため、室内外の広々したスペースは制作意欲を高めてくれただけでなく、大きな作品に取り組み、空間の一部になるチャンスも与えてくれました」

レジデンスに落ち着いた後、第1回テクニカルミーティングのために会社まで一緒に歩いていく時も、新しい環境のショックと畏敬の念は続いていました。技術者のMike TownsendやUlysses Jacksonは水性材料の調査概要から始めました。「概要」は控えめな表現です。この材料調査プロセスはレジデンス制度の期間中継続し、アーティストのニーズに基づき個々の要求に応じた包括的な打ち合わせになることもよくあったからです。たとえば、今年の追加要求では、アクリル用と油用の下塗り剤の開発と表面の準備、エアブラシ技法、ワニスに充填を置きました。

当社の実験室のスタッフは、常に新材料の革新を行っているため、滞在アーティストは、多くの未発売製品も含めて新製品の開発に関する見識を深めることができました。絵具製造と材料開発の革新的工程を内部から見ることができたからです。

2012年度のレジデンス制度は水性画材による制作に限定しましたが、だからといってテクニカルサポートサービス部スーパーバイザーSarah SandsとのWilliamsburg Oilsに関するテクニカルレビューの予定を取り消すことはしませんでした(嬉しいお知らせとして、今年は油絵具も使って安全に制作できる設備を備える予定です)。

塗装の専門家であるLori Wilsonは、特殊塗装の業界において販売されている最新の商業的ツールと芸術的ツールを再確認しました。世界の有名なデコラティブペインターとの共同作業は、彫刻、カービング、打撃、盛り上げ、(上塗りの)除去、(下塗りの)露呈などができる面や層を作る際の深い理解に役立ちます。

 
オープンスタジオでJustin Hodgeと話すMel Prest(左)
Jennifer Anne Normanのスタジオ(右)


技術者であるAmy McKinnonは、アルミ箔からプラスチック、繊維、アクリル皮膜に至るまで、さまざまな面におけるデジタルグラウンド開発の最新技術だけでなく、アクリル転写工程における補足情報も提供し、工程を改善し促進するための研究を続けています。

材料の化学的側面をもっと理解したいと思う滞在アーティストのために、Ulysses Jacksonはアクリルと油の固有の特性に関する集中技術セッションを行い、アーティストたちはそこで成功と失敗を経験します。

Mel Prest:「技術者との出会いは特に刺激的でした。あこがれの絵具マニアの方々ですから。彼らの知識と経験はレジデンスでの経験にかけがえのないものでした」「知識が豊富な人たちと一緒に作業ができたことは本当に素晴らしいことでした」「8年分に相当することを学んだ気がします。8年間余分に画家人生を送ったようなものです。ゴールデン基金で過ごした時間ほど、絵の世界で私を成長させてくれたものを思いつくことはできません。大学院を入れてもです」

Elizabeth Blau:「チュートリアルの構成、さらにプログラミングの柔軟性がとてもいいと思いました。気分的にプレッシャーが少ないことが自由なスタジオ制作に役立ちました。」

Jennifer Anne Norman:「工場を訪問し、絵具の製造に真剣に取り組む人たちに会った後、スタジオに戻り、それまでとは違う方法で絵具を使ったことはとても勉強になりました。」

アーティストが滞在中に必要な画材をすべて入手できることはお話したでしょうか?テクニカルミーティングには乾燥した膜と面に関する実践的な材料の実験と探求も含まれていましたので、アーティストたちには希望製品のリストを書くよう依頼し、24時間以内に材料をスタジオに届けました。ボックスを届けた時の彼らの嬉しそうな顔を見ると私も嬉しかったです。

Karima Klasen:「ゴールデン基金は望みうるすべての支援を提供してくれました。本当に制作に関わるものでしたし、アーティストが制作に打ち込める場所を作ってくれました。手伝ってくれる人や知恵を貸してくれる人が周りにたくさんいることがわかっていましたので、何も心配する必要はありませんでした。自分の疑問や懸念がつまらない問題だと感じたことはありませんでした。常に話を聞いてくれる人がいたからです。」

Elizabeth Blau:「画材を使った制作は計り知れない贈り物でした。絵具の消費を心配することなく作品を制作することができました。」

レジデンスは材料を探求し、製品を使って無制限に遊べる場所ですので、滞在期間が終わるまでに作品を完成させる必要はありません。滞在期間の最後の夜に各グループがオープンスタジオを提供し、地元の州北部の個人、会社、画廊、近隣住民のアートコミュニティが驚くほどサポートしてくれました。

ゴールデン基金への申し込みを希望される方は、公示期限までにオンラインで申込書をご提出ください。ハリケーン・サンディのために、2013年度レジデンスの申込期限は1週間延期されました。今年はプログラムの規模が2倍になり、最大18名のアーティストが参加できることは嬉しいお知らせです。世界中から申し込みがあり、独立した選考委員会が作品の質に基づき参加者を選びました。選考委員および2013年度の滞在アーティストについては、まもなくwww.goldenfoundation.orgで発表します。

プログラムを育て、ゴールデン基金の寄付金が増えた今、私たちの目標は滞在アーティストたちに惜しみなく提供することです。滞在費の金銭的支援もそのひとつです。

昨年の旅を振り返り、私たちも「ザ・バーン」と呼ぶ日が来るような気がします。



Kevin M. Witzkeの新作。当社の技術者が手伝って作成した器具を使って制作された。

Golden Artist Colors社


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