ロリ・ウィルソンのクローズアップ


マーク・ゴールデン:アーティストになりたいと思ったのはいつですか?

ロリ・ウィルソン:4歳のときでした。家で兄を見ていたときです。兄に塗り絵を手伝ってもらっていたとき、兄のように上手に塗りたいと思いました。

マーク:その気持ちは学校でどのように育まれたのですか?成長期をここニューベルリン地区で過ごしたのですよね?

ロリ:そうです。7年生のときから特に目をかけてもらうようになり、大いに励まされもしました。高校時代の美術の師であるカール・ホートン先生はシラキュース大学出身で、私は8年生のときから色の組成と色彩理論を習い始めました。先生のおかげでエンコースティックや油絵というものを知り、もちろんアクリル画も描きました。ゴールデン・アーティスト・カラーズ社が近くにあり、すぐに絵具が買えましたから。アクリル絵具はゴールデン社製のものしか使ったことがありません。

マーク:作品を拝見しましたが、とても洗練されていますね。すばらしい師に恵まれた何よりの証拠です。長年、ガラスをメインの画材にされていたそうですが、どこに魅力を感じたのですか?

ロリ:大学3年のとき、親友がガラス吹きのパートナーを探していたので受講することにしました。最初の数週間は楽しくはありませんでした。することといったらガラスを膨らませてコップを作るだけでしたから。ストレスがたまる作業でした。間もなく、客員教授のガラスアーティストがポンテ竿を使ってガラスで彫刻を作り始めました。空気を吹き込むのではなく、付加的な工程で、本当にワクワクしました。

マーク:卒業後もアートの勉強を続けたのですね。

ロリ:はい。働きながらマンチェスター大学の美術史科に入り、ガラスを専攻しましたが、しばらく働く必要があったので、ロータリー大使奨学金を受け、1年間の修士課程を修了しました。

マーク:とても早い時期にゴールデン社で仕事を始められたわけですが、そのきっかけを教えていただけますか?

ロリ:1994年、カラーチャートに色を塗り、容器に詰めるアルバイトとして雇われました。工場の仕事がこれほど楽しいとは思ってもみませんでしたが、カラーチャートに色を塗るのは本当に下手でした。なかなか慣れなかったので、詰める方を任され、こちらは上手くできました。1995年の秋に正社員になりました。翌年の夏に辞めて修士課程を修了し、復帰した時に何人かのマネージャーから自分の部署で働かないかと選択のチャンスをいただきました。

マーク:ゴールデン社ではいろいろな立場で仕事をしていたのですね。その間、アートの活動や勉強を続けることはできましたか?

ロリ:最初はできました。ここ以外にも2ヵ所で働いていましたが、アルバイトでしたので、その年はガラス工房に通う時間がありました。正社員になった後は思うように続けられなくなりましたが、今はバランスが取れています。

マーク:卒業と同時にニューベルリンに戻って来たのですね。卒業後、小さな共同体で生活しながらアーティストのコミュニティを見つけることは簡単だったでしょうか?

ロリ:最初は無理でした。会社の成長に伴い多くのアーティストを雇ったことが私の人生に価値を与えてくれました。仕事で非常に興味深い魅力的な画家と会うようになり、それも個人的な充実感につながっています。

マーク:2000年には仕事面で大きな変化がありましたね。業務アシスタントからアプリケーショングループのサポートという、ご自分のアート歴との関連性が深い仕事へと変わりました。その変化について、またそれがいかに有意義であったかを教えてください。

ロリ:仕事を始めたばかりの94年、ギャラリーにいた時、ダイアン・リッチがいくつかの技法を検討していました。

腰を下ろし、描かれたものを彼女と一緒に見て、すてきな仕事ですねと言いました。

当時、デコラティブペインティングという産業があることは知りませんでした。多くの大学生、特に画学生は、自立して絵を描くビジネスや、舞台装置専門店などのクリエイティブな職場で働けることを認識し、自分自身のスタジオ制作を続けるべきです。美術学修士号を取得したり、教師になったりするよりも選択肢は豊富です。大きな舞台装置専門店の店長から、第三世代のヨーロピアンデコラティブ職人やニューヨークで装飾画を展示して生計を立てる芸術家まで、多くの画家を取材しました。どれも同じ創造的な挑戦です。ある形の表現を創造するために材料や照明(部屋)を使った問題解決なのです。

私は用途開発の専門家としてここで技術グループと仕事をする機会を得ました。毎週、週1度のテクニカルフォーラム会議で過ごす時間は大好きな時間でした。会議に参加することで触発されますし、テーブルを囲む参加者の知恵や絵具の観察に注がれる膨大なエネルギーには目を瞠るばかりです。世界の誰も考えもしないだろうと思うようなレベルなのですから。

マーク:活力溢れるグループですね。アプリケーショングループの一員になって以来、当社で手がけてきたプロジェクトについて少し教えてください。

ロリ:カラートレンドのプレゼンテーションに取り組む時期は、1年のうち楽しみな時期の一つです。絵具に関する「頭脳オリンピック」ですね。自分の限界を超えて考え、材料に関する知識を総動員し、将来可能になる機能を発見するのです。

マーク:重労働でしょう。

ロリ:そうですね。ドアを閉めて、缶詰め状態になります。邪魔が入らないようにして、じっと考え込む必要があります。

マーク:芸術であれ、デコラティブアートであれ、電話をかけてくるアーティストを支援するための行動の一例として、実際に現場へ出かけ、並はずれたアーティストの手助けをし、一緒に作業をしたことがありますね。その話を聞かせていただけますか?

ロリ:画家を支援する方法を実践しつつ、自分が得たことやゴールデン社の目的を評価することがそうした経験になります。プロジェクトの一つ一つが、たとえば、ピエール・フィンケルステインのチームでの仕事など、キャリアと人生を変えるものでした。

マーク:それはどこでの話ですか?

ロリ:ピエールはイギリスのロンドンで、ケンジントン宮殿から通りを隔てたところにある宮殿を描く仕事をしていました。一見華やかそうですが、実際には、まるで画家のブートキャンプでした。デコラティブペインターにとっても、私にとっても、アメリカ海兵隊の訓練のような一味違う制作作業でした。朝7時15分に集合し、7時30分には仕事を開始します。休憩に10分、昼食に30分取る以外は、中断を余儀なくされるまで作業を続けました。描画、準備、サンディング、テーピング、掃除、修理です。世界で3番目に裕福な家族なら宮殿を買って済ませたでしょう。ピエールはドラッギング(溝模様)とフランス風古色の技法を考案し、それが実際にプロジェクトの一部となり、私たちはプロシードという新たな製品に関する配合を仕上げていました。使用方法を実地でテストしたのです。

マーク:では、その多くは、その後現場で他のアーティストをサポートできたという点で極めて有意義だったのですね。こうした仕事の一環として中国へ行ったこともあるのですね。

ロリ:ええ。ピエールと仕事をした後のことでした。というのも、彼と仕事をした時に現場でスタジオをセットする方法を見た経験があったからです。中国でも同じようにしました。上海に滞在していた時、中国にはデコラティブペインティングの市場がないため、ある会社と協力して市場を創りました。中国の伝統的文化は西洋文化とは全く違うものです。中国人は西洋を見てインスピレーションを得ようとしています。

今すぐほしいと言われても、訓練が必要です。だから我々はまず、混色や、ツールと基本材料の理解からスタートし、その後、高品質の材料に関する技術性の高い問題に移行しました。私の滞在中に彼らは実際に仕事を取ってきたため、1週間滞在を延長する必要がありました。素晴らしい経験でした。私のキャリアは次々訪れる経験のおかげで自然に確立されたと言えるでしょう。

マーク:あなたを頼る人は、あなたに材料の専門知識があるだけでなく、材料を使って専門的な仕事をした体験もあることを理解しているのだと思います。また、コミュニティのサポートに関してお話を伺うチャンスを逃すわけにはいきません。他にも熱心に取り組まれている活動についてお聞きしたいのですが。社会への還元ということについてはどうですか?

ロリ:リレー・フォー・ライフから米国赤十字社まで、多くのすばらしい組織があります。最も重要な関係があるのはユナイテッドウェイだと思います。隣人であるさまざまな個人を支援する素晴らしい組織です。

マーク: 将来のキャリアを目指す大学生や若い女性に教えるセミナーにも関わってきたそうですが、参加した活動について話していただけますか?

ロリ:「ウィメン・ヘルピング・ガールズ・メイク・デシジョンズ(少女の意思決定を女性が手助けする)」というイベントに参加しました。地元の学校が12歳の子供たちに興味のある仕事をしている地元の誰か(銀行員、アーティスト、獣医など)を訪ねるチャンスを与え、子供たちはそこで体験活動に参加し、学ぶべきさまざまな分野に関して話をするのです。

数字は常に重視されます。私はゴールデン社のテクニカルサポートでの1日を再現するという課題を与えられましたが、とても楽しいものでした。せっかくの土曜日を使ってバスに乗り、地元の大学に行き、初対面の人たちに会った彼女らは、明らかに、12歳にしては意識の高い子供たちです。私が12歳のときにこのようなチャンスがもらったら、別の選択をしたでしょう。

マーク:装飾画の材料に関して面白いと思うことを理解してもらうために、スタッフを対象とした講義やワークショップを行うことを目標にしたこともありましたね。それについて話していただけますか?

ロリ:他のスタッフにとって重要なことだと思いますし、皆、自分の作る画材が実際にどのような機能を持つのかを知りたいと言っていました。みんなが絵具に触れられる体験イベントを運営したことがあります。製造部署の人たちとの対話は最も楽しいものでした。彼らはクラックルペーストの亀裂を見たことがありませんでした。普段は絵具の状態でしか見ていないからです。なぜそんなに素晴らしいのか理解できず、製造サイドとの違いについて話し合いました。貴重な情報交換でした。

マーク:これまでずっと、いろいろな立場でアートを教えてこられたのですね。プロのアーティストやデコラティブアーティストのサポートもされています。社内では今は用途開発が専門ですが、アートを教えるだけでなく、仕事の環境について指導することも個人的な目標にされていたのですね。2009年には、ニューヨークとペンシルバニアを対象にしたESOP年間社員株主に選ばれました。

地域社会のさまざまなグループに参加して理事を務めたり、地域社会やアーティストのコミュニティでボランティア活動にも参加してきたそうですね。活動内容を読むだけでも大変ですが、あなたにとってはすべてが驚くほど活力になっているように見えます。これだけの活動をすべて実行するとアートのキャリアは二の次にならざるを得ないと思いますが、こうした活動すべてが活力源になっているように見えるのはなぜでしょうか?

ロリ:エネルギーになり、充電されるのだと思います。よい効果をもたらしてくれるのです。皆と交流するのは本当に楽しいですし、知識と経験も得られます。創作の仕事をしているため、スタジオでの制作活動もあります。あらゆる行為が他の行為の活力源になっているなんて、幸せですね。


Golden Artist Colors社


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