最新ラベル情報


ベン・ギャベット


2001年4月発行のJust Paint 8号で、ゴールデンアクリリックスの「現実的なラベル表示」と記した報告をしてからの10年間、多くのことがありました。当時、当社は、ラベルには「大半の化学物質の慢性毒性は十分には試験されていない」ことを示すとともに「有害性の報告はない」という表示は製品が「無害」であることを保証しているわけではない、ということをユーザーに対しアドバイスする決定をしたことを発表しました。同時に、「カリフォルニア州Prop65警告文」をラベルに導入する説明をしましたが、それはユーザーに対し「カリフォルニア州では、発ガン性、奇形、その他の生殖有害性があるとされる」ある種の化学物質の存在を警告するものです。予想した通り、この文言は製品そのものも同じ健康問題を引き起こすと解釈されるという経験をしました。


カリフォルニア州に関する限り、問題となる製品のリストは増えていきました。カリフォルニアはカーボンブラック顔料をリストに加えましたが、この記事を書いている時点で酸化チタン(チタニウムホワイトの顔料)をリストに加える意向という発表がありました。これら両顔料は「吸引性サイズの浮遊粒子(脚注)」に適用される警告という条件でリストに載っています。両顔料は当社のエアブラシ、フルイド、ヘビーボディー製品に含まれます。エアブラシは通常、フルイドはしばしば、ヘビーボディーは時として、スプレー技法に使われ、スプレー粒子のごく一部は吸引性サイズとなるでしょうから、私たちは進んで問題となる製品に警告文を載せます。心配するユーザーからの電話やEメールに対する準備をしますが、警告があっても、スプレーミストを吸い込まないように十分な注意をすれば、毒物学的には有害性はありそうにないことを繰り返し説明していきます。


私たちの経験では、カリフォルニア州民はこうした警告表示に対し多くの場合は慣れて、無関心だったり冷淡だったりします。しかしながら、製造業者としてはProp65警告文を、合衆国連邦規制だけでなく他国のものとも調性する義務があります。相反する表示を羅列するような問題ではなく、意味のある表示にする必要があります。有害性について、世界のどの国に向けてでも一定のラベル表示内容はあるのでしょうか。そして可能な限り、表示内容が完璧で正確となるようなメカニズムはあるのでしょうか。この問題に関するよい兆候としては、この10年の間に出てきた、ヨーロッパのREACH規則と、安全データシートおよび健康有害性の製品表示に関するGHS(グローバルハーモナイズドシステム:化学品の分類および表示に関する世界調和システム)の展開です。


REACHは、「化学物質の登録、評価、認定と規制」の英語頭文字をとったものですが、これはヨーロッパ社会における化学物質導入およびそれに続く商業利用に関する長期的な欠陥を是正するための素晴らしい努力です。繰り返し見られたことですが、市場に相当長期間にわたって存在した化学物質による製品が、重篤な健康被害をもたらすと判明したことがしばしばあります。その原因は、重要な規制の見落としというよりは、革新にたいする経済的要求であり、またおそらくは慢性毒性を特定する方法論の不完全さにあります。

賞賛すべきことに、ヨーロッパ議会は、REACHのもとに複合的な一連の規制を発行することで、これらの欠陥を克服しようと世界をリードしています。そこでは、製造業者及び輸入業者に対しては、欧州共同体市場に投入される各化学物質の量を登録することを要求し、また販売責任業者に対しては、化学物質がそのままであろうと、あるいは加工された製品としてであろうと、その毒性及び環境影響の十分に精査されたデータを収集することを要求しています。同時に規制は、工程を速め、完全にし、動物実験の重複を避けるために、データを関連業者間で共有することを要求しています。データは収集され、管轄局で評価され、非合理的な健康および環境リスクがなければ、認定されます。もしリスクがあれば、大きな社会的利益があるとされる用途にのみ認定されるか、さもなければ禁止されます。これはまだ評価段階の工程にあります。それが完成するまでには、「大半の化学物質の慢性毒性は十分には試験されていない」と表示する必要性はずっと少なくなるでしょう。


GHSは、国連によるもので、安全データシートの内容とフォーマットおよび製品ラベルの警告文とシンボルマークを、各国間で統一しようというものです。そのために、ガイドラインが開発され、参加各国の労働安全衛生、輸送、消費者向けラベルに関する関係省庁による採用を待っています。


ここでもヨーロッパがGHSの採用で先んじています。純物質に関する要求事項は2010年に実施され、調性物(混合物)については2015年に実施されます。米国ではOSHA(労働安全衛生局)がGHSを有害性に関する基準(the Hazard Communication Standard)に取り込もうとしていますが、CPSC(消費者安全衛生委員会)では現在のところ、消費者向けラベル規制に関する更新がほとんど進んでいません。しかし、カナダでは実施に向けて進めています。


当社製品は世界市場では比較的ニッチな製品ですが、常に相反する表示要求事項を調性しようとしています。そしてこうした二つの動向は、忍耐を要するほどに動きは遅いものの世界的に統一された毒物学的精査と適切な製品ラベル表示に向かうものとして、前向きにとらえています。


前述のように、GHSの成果は消費者向けラベルの有害性マークの統一です。ヨーロッパは以前より黒のXマークを使っていますが、米国は慢性や致死に近い毒性に対するマークはなく、カナダは急性毒性には独自のマークがありますが慢性についてはありません。10年前の当社の記事で述べたように、当社の製品の世界市場向けには黒のXマークを使っていますが、これは特定の製品については消費者の注意を喚起しラベルを読んで注意書きに従っていただく必要がすぐにもあると感じたからです。そうした製品には、MSAワニス、アクリリックフローリリース(国内未発売)、カドミウム色などがあります。このマークはGHSマークではないため、2015年までには廃止し、国際的なマークに変更していきます。


          上:黒のXマーク、下:GHSマーク

一方で、当社は国際的な要求事項にあった安全データシート(MSDS)にしようとしています。まず、必要なことはMSDSの文言を反映したラベルで、製品の中で有害警告のある製品のラベルについて中間的な変更を加えます。ここでヨーロッパでは、定型の文言しか使えないことになるかもしれないため、それは簡単とも難しいともいえます。そのリスクと安全の文言はそれぞれ18ヶ国語で公開されますので、世界的に最も適切で理解できる、厳密で正確な文言となるため、表示は容易になります。しかしお分かりのように、すべての使用状況を想定しているわけではなく、過去には当社製品のユーザーに最も適していると判断される情報となるようにそうした警告文を調性したことがあります。急いでヨーロッパや世界に合わせる必要性と同時に、黒Xマークがヨーロッパの公式な有害性マークでやめることが出来ないことから、当社の表示は現在のところ移行期にあります。

黒Xマークを使う場合、ヨーロッパの公式警告文言から外れるわけにはいきませんが、適当と判断される「補足ラベル情報」を入れることは可能です。これは、言語間の障壁を除くために図柄を使うことが増えることと共に、ゴールデン製品の表示の短期的な変更につながります。

カドミウム色:黒Xマークの使用は廃止し、スプレー用途は使うべきではないことを示す当社独自のデザインを使う。


  カドミウム色について、スプレー用途は使うべきではないことを示す図案

※以下の製品は国内未発売です。

アクリリックフローリリース:黒Xマークは継続し、スプレー用途は使うべきではないことを示す図案を加える。


 


  黒Xマークと、スプレー用途は使うべきではないことを示す図案を加える

GAC 900:黒Xマークの使用は廃止し、換気をしながら使うべきことを示す図案を加える:熱硬化させる場合に微量のホルムアルデヒドを放散するため。換気をしないと、スタジオ内で数ppmにさらされることになる。この値は慢性的には問題ではないが、この成分に敏感な人は影響を受ける。
 


        換気をしながら使うべきことを示す図案

ゲルトップコート:欧州要求事項に合わせるため、既に黒Xマークを廃止:理論的なアレルギー反応の可能性は、この製品の成分に既に相当量暴露されて過敏となっているユーザーに限られるため。


これらの変更に加えて、ヨーロッパにおける、アクリリックフローリリース、MSAワニス、アーカイバルワニスの危険・安全性文言の一部に、最近の欧州向けMSDSに関する見直しと製品のEU市場への広がりに合わせて、若干の修正があるのをお気づきになるかと思います。こうした努力は、また危険・安全性表示を多国語で表示する必要性から、製品によっては使用方法の表示を削除しなければならなくなりました。使用方法は、必要な場合は、同様に多国語で別に用意します。


現在はGHSへの過渡期にあるので、製品ラベル表示に関する作業は、習得、教育および取組手段の修練を意味します。それ以上に私たちのゴールは、ユーザーに対し当社の製品をいかに安全に使うかについての決定事項情報を提供し続けることです。


(脚注):吸引性粒子とは、直径10ミクロン未満のもの。エアブラシではこれ以下の噴霧粒子があり得る。顔料粒子は多くの場合、直径1ミクロン以下。

Golden Artist Colors社


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