ユリシーズ・ジャクソンのクローズアップ


マーク・ゴールデン:ユリシーズ、少年時代の話とアートの世界との関わりについて少し教えてください。

ユリシーズ・ジャクソン:家族と過ごした子供時代には、確かにアートが大きな部分を占めていました。最初からビジュアルアーティストになりたかったわけではないと思います。ミュージシャンになろうと思っていたのですが、たまたまある時点で、ミュージシャンを目指していたにもかかわらず、アートが現れ、次第に人生の大きな部分を占めるようになりました。

マーク
:高校生か大学生の頃ですか?

ユリシーズ
:高校時代に確かにその兆しはありましたが、作品に打ち込むための一人の時間ができたのは間違いなく大学時代の環境でした。当時は本当に夢中になりました。まさにアートの「虫」でした。

マーク: どこの学校へ行ったのですか?

ユリシーズ:タンパの南フロリダ大学です。

マーク:もともとは音楽の勉強をするつもりだったのですね?

ユリシーズ:はい。実験音楽の作曲と音響の勉強をするために入りました。大学時代は音楽業界の仕事をしていて、夏休みには映画やいろいろなミュージシャンの音響の仕事を経験しました。マーサズ・ヴィニヤードで音声の仕事もたくさんしましたし、音響技師会社でも働きました。

マーク:その間、絵を描いていましたか?

ユリシーズ:その頃までには毎日たくさん、かなり多く描いていました。

マーク:では、昼間は音響の仕事をして、夜描いていたのですね?

ユリシーズ:その通りです。ある意味、昼間ずっと他人の音楽を聞かなければならないので、夜自分の音楽を聞こうとするよりもむしろ、もっと描きたいという気持ちになるのです。それでも音楽は好きですし、騒々しくて最悪な自分のバンドもあるのですが、絵を描く方が楽しくなったのは確かです。

マーク:それで、卒業後、国中を旅しようと決めたのですね。

ユリシーズ:そうです。多くの学生が卒業する頃にわかることですが、自分は何がしたいのか私も全く手がかりがなかったのです。そしてそのまま旅に出のです。私たちは自分で思うほどには、本当に何もわかっていないのです。

マーク:当時どこに住んでいたのですか?

ユリシーズ:タンパです。卒業後、稼ぐために少しの間ノースカロライナに戻りました。知人という知人にメールを送りましたし、「嵐の中の港」になってくれる気がないかどうかを確かめるために手紙を書いたこともありました。
その後、1年間、自分探しの旅に出たのですが、これはとても刺激的で自分を成長させてくれました。描くことを学んだと実感したのはそのときです。チャンスがあれば描いていましたし、旅の途中で本当にさまざまな新しい刺激や人々の出会いがありましたから。

マーク:我々もそうした港の一つとして、ほんの短い期間とはいえ、その旅の際におもてなしをできて幸いです。

ユリシーズ:本当に楽しい港でした!あなたのおかげで私はここにいるのですね。バーバラに工場を楽しく見学させてもらい、こう思いました。「ああ、本当に素敵な職場のようだ。いつかここで働きたくなるかもしれない」。その時はここに求職することになろうとは思いませんでしたが、後でそうなりました。

マーク:それで全米を周る旅を続けたのですね。

ユリシーズ:丸1年かけて50州のうち35州を巡りました。とうとう旅に疲れ、スタジオが恋しくなったことが旅を終えた理由です。その時点で、どこに腰を落ち着けようと思い始め、この会社に履歴書を送りました。ラボが開設されたときで、ちょっとした仕事を試験的に与えられました。

マーク:ラボで働いてくれたこともよかったですが、それ以上に製品開発チームに提供するものを持っていましたね。あなたがグループ全体にもたらす創造性は実にレベルの高いものです。電話をかけてあなたと話ができたアーティストもそれを楽しめたでしょう。電話やメールに対応する仕事はどうですか?日々のやりとりはどんな感じですか?

ユリシーズ:そうですね。実に楽しい経験です。確かにアーティストは制作について話すのが好きですね。我々社員は皆、材料に深く関わり合っていますから、それぞれの業務からアーティストの求めるものが理解できますし、それだけでなく我々の方もアーティストから方向性を得て新たなことを学んでいます。
すぐに答えられない質問を受けることもあります。どんなことでもわかると言いたいところですが、現実にはわからない場合もあります。そんなときは、調査という列車に乗って旅に出るいい機会です。あるお客様の質問に答えることで新たなアイディアや方法を思いつくこともありますから。

マーク:材料の技術面に常に関わっていた、あるいは常に興味があったのですか?それが常に仕事の一部だったのですか?それとも初めての仕事でしたか?

ユリシーズ:初めての仕事でした。率直に言うと、ゴールデンのラボで働くようになり、色について本当に無知だったと少し恥ずかしく思いました。配合の仕事で絵具の科学的な面を見るせいでしょう。仕事をするうちにますます興味が募りました。

マーク:いや、驚きました。画材に関して膨大な知識をお持ちで、皆の情報源であるあなたにとって初めての仕事だったとは驚きです。間違いなく優秀な生徒ですね。

ユリシーズ:確かに材料の用途となるといつも興味が湧きました。だから、スタジオでの経験から得た情報を持ち込み、毎日ここで提供される途方もない資源を活用して情報を育てています。

マーク:なるほど。あなたが当社にもたらしたものは、学び、驚嘆する、まさにそのセンスだと思います。それによって我々全員が―どれほど長くここにいる者であっても―活性化されています。あなたのおかげですよ。

ユリシーズ:こちらこそ感謝しています。

マーク:では、多くのさまざまな画材とともにラボで過ごすことによって、制作や手法や作品に対する考え方に影響はありましたか?

ユリシーズ:ゴールデンで働くようになった時は、このようにとてもソフトで静かな風景画を描いていました。完璧に滑らかな面に集中していました。その後、ラボで最初に着手したことの一つがさまざまな色のドローダウン(訳注:フィルムアプリケーターで試験紙に絵具を塗付した色見本)の作成でした。
ドローダウンは美しいですが、本質的には絵具の膜を一定の厚さで塗り延ばすスキージです。これを何千回も繰り返した後、家に帰って完璧な膜を作る気にはならないでしょう。そこで絵具の膜を擦るようになったのです。現在の私の作品は未乾燥の絵具と同様に乾燥後の絵具を扱う能力にも関係があります。色と顔料の働きによるあらゆるニュアンスを学ぶことで、ある種の光の遊びを生み出すことができます。これを面白いと思う画家が他にもいるかもしれません。

マーク:驚くべきことは、当社が扱う材料はとてもたくさんあり、選択肢が多すぎると思うのですが、その多くの材料を素早く会得したことだと思います。あなたはすべての材料をまるで魔法のように働かせています。

ユリシーズ:そうでしょうか。ありがとうございます。

マーク:会社で求められるすべての仕事とご自分のキャリアとのバランスをどのように取っているのですか?実際にかなり成功したキャリアだったでしょう?

ユリシーズ:2つのバランスに関する限り、作品と画材のことで頭がいっぱいとは幸せなことです。妻も画家ですので、その原動力を理解してくれています。どちらかが会う必要性を感じた時に2つのスタジオの間にある廊下で会ってお茶を飲むという具合です。しかし実際、1日に16時間以上画材と共に過ごしたいというのは変わっていますね。

マーク:あなたの熱心な仕事ぶりと作品にそれが如実に表れています。ところで、変わった電話や、珍しい内容の電話を受けたり、テクニカルサポートの一環で、受けた要求に対応しなければならなかったことはありますか?

ユリシーズ:ええ、確かにたくさんありました。ある意味、奇妙であればあるほど、興味がそそられることがあります。些細でも思いがけないことを発見できたときの小さな興奮の中に、あるいは依頼内容を理解して目的達成の方法を説明できるときに得られる大きな興奮の中に、常にそうした喜びがあります。
最近起こったある出来事を思い出しました。私なら決して風変りだとは呼ばないでしょう。あるアーティストから電話があり、いろいろな物を見つけてはそれを使って制作しているとのことでした。森である物を見つけ、彫刻に使おうと思っていたのに壊れてしまい、どうすれば元通りになるかという質問でした。
より安定させる方法についていくつかのさまざまな選択肢を検討しました。この物体の説明を聞くうちに森を散歩した記憶が蘇り始め、「これはどんな木だろう」と考えました。そして溶剤を主成分とする隠蔽剤について話しながら、同時にさまざまな種子の形状を眺め始めたところ、プラタナスの種子のさやである可能性が高いと考えました。
この物体を安定させる方法を話し合った後、壊れてしまったのなら、他のプラタナスの種子のさやを探してはどうかとアーティストに言いました。彼らはおおむね丁寧に礼を述べ、電話を切りました。約2秒後、カスタマーサービスから電話があり、テクニカルサポートで種子のさやの作品について話をしていたのは誰かと聞かれました。この女性は非常に熱心で、実際我々も驚いたのですが、本当にプラタナスの種子のさやだったのです。実に楽しかったです。

マーク:それは楽しいですね。我々のところに来るアレッと首をかしげるような質問が実は、アーティストの直面する問題をとても楽しく考えさせてくれるということがよくあります。その場合、熟考の必要があると思えば、「折り返しお電話します」とか「社内で相談し、他にも回答として提示できることがあるかどうか確認します」と言う必要がありますが。

ユリシーズ:その通りです。我々はすべてを解明しようとしますからね。

マーク:あらゆる種類の用途を行ったり来たりしていますね。あなたの役割は、会社の真の技術革新チームの一員であると同時に、アーティスト向けのサービスも提供するという独自の役割ですね。新製品の革新における役割について少し話していただけますか?

ユリシーズ:新製品の多くは新製品開発グループから生まれます。我々は夜もスタジオで遅くまで必要な絵具製品について考えます。それから仕事を始めるのですが、スプレッドシートがあり、誰でもアクセスして新たなアイディアを入力することができるようになっています。社内で生まれるアイディアもありますし、社外のアーティストから提供されるアイディアもあります。それを選り分け、最も面白いチャンスにたどり着いたら、試作品の制作に着手する工程に入ります。特注製品の中には数日で開発されるものもあれば、数年かかるものもあります。

マーク:ユリシーズ、まさにそのレベルの好奇心や創造性や興奮をあなたは我々にもたらし、そのおかげで我々は皆、前に進み続けています。あなたがより多くの情報を得て多くのアイディアを与えてくれるので、皆もっとワクワクできると思います。

ユリシーズ:両方向に作用します。皆がワクワクすればするほど、我々も張り切って働けます!

Golden Artist Colors社


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