マークをつける

エイミー・マッキノン

マークをつけますか?消しますか?それが可能ですか?退色しないでしょうか?頑固に誇り高く留まるのでしょうか?すべてを拭い去り、過去を物語る染みだけを残すのでしょうか?はじめから存在しなかったかのように消失するでしょうか?かつてそこにあったのでしょうか?染みをつけ、騒々しい噂のように広がり、遭遇するあらゆるものに浸み込んでいくのでしょうか?床板からの隙間風に吹かれ、飛散するのでしょうか?所々で持ちこたえ、表面から別の場所へと這い出すでしょうか?塗った面に亀裂を生じさせ、破壊するのでしょうか?印をつける。筆を走らせる。塗りつける。染みをつける。ハッチングする。混ぜる。点描する。走り書きする。どのような塗り方であれ、絵画にはしばしば否応なくドローイングが入ります。絵画は、たとえこの上なく表現豊かな方法であっても、木炭で手描きした画面と比べると、計画され、計算されたものに感じられます。ドローイングには他の画材がほとんど表現しえない臨場感と郷愁があります。ドローイングは、私たちの人間性や、気持ちを伝え表現したいという欲求に語りかけ、心が筋肉に命じることを目に見える形で表現したものです。ドローイング用の画材を使うことで、アーティストは筆では作ることができない、筆痕とはことなるマークをつけることができるのです。



パレットをサプライキャビネット代わりにして仕事をしている方であれば、おそらく材料同士の予期せぬ相互作用に出くわしたことがあるはずです。楽しい発見もあれば、理想的な解決とは言えない結果になったこともあるはずです。アクリルはさまざまなドローイング画材を塗布することができる安定した下地になりえますが、アクリルによっては他の材料より受容度が高くなることもあります。さまざまなアクリル面を用意し、多くのドローイング画材をアクリル面に塗布して、画材がどのくらいそれらの面に定着するかを評価しました。アクリルがどの程度ドローイング画材を受容したかを見た後、マーク(描線)に手を加えて、どのように反応したかを確認しました。

わかったことは、大部分のドローイング画材は多くのアクリル面に使えるということでした。つけたマークのほとんどは面に定着しました。硬さとざらつきの点からアクリル面を測定すると、画材がアクリル面にどのように作用するかがはっきり示されました。硬質であれ、軟質であれ、ざらつきのあるアクリルは、テストしたドローイング画材のすべてとはいえないものの、ほとんどに対して接着力の強い表面になったようです(図1a、1b)。硬さとざらつきを併せ持つアクリル膜が作り出す表面をじっくり観察すると、たくさんの尖った岩がある微細な情景に似ています。何らかのものが表面で引きずられ、押し広げられているため、画材の多くはその粗い場所にからまり、残留するでしょう。

図1a:GAC 200 (国内未発売)は典型的な硬く滑らかな表面である。 図1b:パステル用アクリリックグラウンドは硬くザラザラした表面を示している。


図2a:ファイバーペースト(国内未発売)の上に描くとその跡が点描になる。 図2b:ファインパミスゲルの上に描くとその跡が連続した線になる。


図3:レギュラーゲル(グロス)の上にウェットメディア(後述)。 図4:グラスビーズゲル(国内未発売)は割れ目にウェットメディアを保つ傾向がある一方で、グラスビーズの上面がきれいに拭き取られる。 


硬くザラザラした表面といっても、そのテクスチャはファイバーペーストからファインパミスゲルまで多様です。ファイバーペースト(図2a)の上に描くと、手漉き紙に似た感じになり、テクスチャが粗いため点描が現れますが、対照的にファインパミスゲル(図2b)では連続した線になります。厚く柔らかい膜は、硬い画材から受けるダメージがはるかに大きくなります。たとえば、ライトモデリングペーストとクラックルペーストは、どちらも厚塗りに適しており、バイン木炭とドライパステルに適した柔らかい面になりますが、黒鉛やConteRクレヨンのような画材はアクリル面に刻み目をつけるものの画材そのものは残りません。

滑らかでツヤのあるアクリル面には、ドライ系の画材よりもウェット系の画材の方が定着します(図3)。マーカー、インク、オイルを主成分とする画材は塗りやすかったものの、ついたマークは束の間の融合であると判明することもありました。ツヤのある硬い面は、塗布されたほとんどの画材を受容しましたが、こすったり、濡れたりすると、その多くは取り除かれることがあります。表面が滑らかすぎて接着しなかったのです。しかし、最も硬い鉛筆は支持しました。柔らかいアクリル膜にこの鉛筆を使うと、多くの場合、膜が傷つき破損しました。硬くツヤのある面のテクスチャは時に独自のざらつきを生じさせ、ウェット系の柔らかい画材を使って興味深い操作ができることがあります。このような面ができる例は、グラスビーズゲルまたはクリアーグラニュアーゲル(いずれも国内未発売)で、ざらついたテクスチャと滑らかな面を同時に提供するように思われます。膜の窪みに画材が入り込みますが、グラスビーズと微粒子のツヤのある上面がきれいに拭き取られることになりました(図4)。ツヤのある柔らかい面は十分な粘着性があるため、ツヤのある硬い面よりも少し接着度が高くなりました。

図5:水(左)とアルコール(右)で濡らしたコースモデリングペースト。 図6:アブソーベントプライマーはすべての画材を受容し、簡単に操作できた。

ドローイング用の画材を見ると、可能性はほぼ無限です。アーティストが使いそうな一般的な選択肢をいくつか見ることにしました。テスト対象は、バイン木炭と圧縮木炭、5H、2B、9Bの鉛筆、ConteRクレヨン、紅殻コンテ、ワックスクレヨン、パステルペンシル、水溶性オイルパステル、水溶性色鉛筆、ドライパステル、オイルパステル、マーカー、インクです。それぞれの画材を使って24のアクリル面に短い線を連続して描きました。各画材がアクリル面に塗られて接着した時にどのように反応するか、その性質に注目しました。ドローイング画材一つ一つを使って24のアクリル面それぞれに短い線を連続して打った後、こする、水で洗う、アルコールで洗うという方法で手を加えました。最初に描いたマークがどのように面に乗ったか、アクリルのテクスチャにどのように反応したか、アクリル面にどの程度定着したかを観察しました。こすった部分は主に2つの目的に役立ちました。すなわち、力学的にこすることで画材がはがれるか、接着したままであるかを見ること、そして混ぜたり汚したりしたときにどのように反応するかを見ることです。均一に混ざるか?つけたマークの跡は僅かしか残らないのか?それとも何も起きないのか?水で濡らした部分は、画材が水にどのように反応したか、どのように拡散したか、ウェット系の画材がどのようにアクリル面に受容されたかを示しました。アルコールで濡らした部分は、画材の溶解性と、アクリル面にどのように反応したか、どのように拡散したか、画材の性質を変えたかどうかを示しました(図5)。

ドローイング画材を24種類のアクリル面に塗りました。24の面は特徴によって大まかに6区分に分類することができます。第1グループは下地剤で、通常、吸収性が高くザラザラしていてさまざまな材料を受容するように配合された面です。第2グループはアクリル絵具で、フルイドアクリリックスとマットフルイドアクリリックス(国内未発売)を選択しました。第3グループには、乾燥すると光沢が出て仕上がりがかなり硬くなるリキッド系のメディウムが含まれました。第4グループは非常にマット(ツヤ消し)でザラザラした面で構成されました。第5グループはソフトで柔軟な膜で構成され、最終グループはペーストで、これは最も幅広いテクスチャと面、硬度、柔らかさを提供する傾向にありましたが、すべては不透明で、かなり多孔質でざらついたものでした。

ドローイング画材は、多くの異なる基準、すなわち硬さと柔らかさ、成分または顔料、媒体の有無(液状か固形か)、紙に対する反応に基づき分類することができます。硬さと柔らかさ、次に媒体に基づきドローイング画材を分類することが最も論理的であるとされています。媒体つまりその溶剤による分類は、手を加えた時に媒体または溶剤が触媒になると想定できる場合にのみ利用可能です。木炭(バインと圧縮)と紅殻コンテが第1グループを構成しました。第2グループは5H、2B、9Bの鉛筆、第3グループはConteRクレヨンとワックスクレヨンです。第4グループはオイルクレヨンとオイルパステル、第5グループは水性または水溶性の色鉛筆、チョークパステル、パステルペンシルで構成されました。第6グループにはマーカー、インクなど、ウェット系画材すべてが含まれました。

このテストに使用したゴールデンのアクリリックグラウンドは、ジェッソ、サンダブルハードジェッソ(国内未発売)、アブソーベントプライマー、シルバーポイント/ドローインググラウンド(特注販売)、ジェッソとライトモデリングペーストとハードモデリングペーストを3分の1ずつ混ぜたもの(合成の白亜地)でした。これらの下地は、塗布されたドローイング画材をすべて受容し、悪い結果は出ませんでした。多孔質の下地の方がうまく混ざりました。最も吸湿性が高く柔軟すぎないアブソーベントプライマーでは、すべての画材でつけたマークがうまく受け入れられただけでなく、画材に手を加えるのも簡単でした(図6)。木炭やパステルのような乾燥したもろい画材は、均一に混ざって染まり、アブソーベントプライマーによく接着しました。アブソーベントプライマーの特徴であるスポンジのような吸収性と柔軟すぎない性質により、水やアルコールはマークのいくつかをウォッシュ状に拡散させましたが、跡形なく消し去ったわけではありません。耐水性インクの場合、ウォッシュを作るのに最も有効なものはアルコールであり、水だとマークは影響を受けませんでした。

図7:ペーパーがけをしたサンダブルハードジェッソの硬質で無孔質の面では、シャープでパリッとしたラインができた。
図8:合成白亜地の吸収性の高いスポンジのような面では、特に木炭やパステルのような柔らかい画材を使用した時に混合度が高まった。
図9:シルバーポイント/ドローインググラウンドをアルコールでこすると少量のチタニウムホワイトを溶かす傾向が生じた。

ジェッソ、サンダブルハードジェッソ、合成白亜地は、同じような反応を示し、ほんのわずかな違いしかありませんでした。サンダブルハードジェッソは画材を塗る前にウェット・サンディングでペーパーがけをして表面を磨きました。硬質で滑らかなほどシャープでパリッとしたラインができました(図7)。こうして引いた線を混ぜても柔らかいエッジが生まれる傾向は低く、もともとのマークを除去してしまう可能性が高くなりました。吸収性の高いスポンジのような面を持つ合成白亜地は他の2つよりも画材を受容し、柔らかく幅広いマークを残しました。合成白亜地上で画材を混ぜると非常に柔らかくうまく混ざった部分が残り、特に木炭やパステルのように柔らかい画材のときにその傾向が顕著でした(図8)。3つの面で画材を水とアルコールでこすると、塗布した周辺でにじみが最も少なかったのはサンダブルハードジェッソで、最も多かったのは合成白亜地でした。これらの混合物については、表面が硬くなればなるほど、硬質な画材に対する反応は高くなりました。表面が柔らかくなればなるほど、鉛筆など硬質の画材を使ったときに刻み込まれる可能性は高くなりました。シルバーポイント/ドローインググラウンドは、ジェッソと比べると、どんな場合にも同様にドローイング画材を受容しました。シルバーポイント/ドローインググランドをアルコールでこすると、下地剤の中の少量のチタニウムホワイトを溶解する傾向が生じ、使用したドローイング画材の色が淡くなりました(図9)。この例外を除けば、シルバーポイント/ドローインググラウンドはドローイング画材にとって最適な受容面の一つでした。


図10:フルイドセルリアンブルーディープ(左)とマットフルイドセルリアンブルー(クロム)(右)の比較


次のグループには、ヘビーボディやフルイドアクリリックスなど、一般的に下地とは思われていない製品が含まれました。これらの絵具は個々の顔料が自然の光沢を維持するようにできています。光沢のある絵具は、マットの絵具と同じ状態でドローイング画材を保つ傾向は低くなります。よりマットな面を作るために配合されたマットヘビーボディとマットフルイドアクリリックスは、顔料の自然の光沢に関わらず、全体にすぐれた接着性が可能になります(図10)。絵具に光沢があるほど、木炭、パステル、紅殻コンテなどの柔らかくもろいドローイング画材を受容する傾向が低くなり、その結果、水やアルコールを混ぜたり、それらで濡らしたりすると色落ちしやすくなります。したがって、絵具の上にドローイング画材を塗った結果に関して、それらがすべてドローイング画材を受容したとしても、光沢のある面ではもろくなり、保護が必要になると思います。



.第3グループは、硬質でツヤがある滑らかな面で構成し、このグループにはグロスメディウムとGAC 200を含みました。グロスメディウムはGAC 200より柔らかく柔軟でどちらも画材を受容しましたが、いずれもより硬質の画材は容易に混ざりませんでした(図11)。グロスメディウムはワックスクレヨンを受け入れず、鉛筆もほとんど受け入れませんでしたが、GAC 200はほとんど受け入れました。ウェット系画材はこれらの面ではうまく行きましたが、マークはイソプロピルアルコールで簡単に洗い落とされるように思われました。



図12:スーパーローデッドマットメディウム(左:国内未発売)とファインパミスゲル(右)は鉛筆とクレヨンをよく保持した。

マットな面は接着力のある描画面として最適の候補です。ポリマーに含まれるツヤ消し剤がザラザラの面を作る一因となり、その面がドローイング画材を物理的に保持しよく接着するために、混合をより制御し耐久性を高めることが可能になります。このグループでテストしたマット面はすべて、透明度はまちまちです。マットメディウム、フルイドマットメディウム、パステル用アクリリックグラウンドはいずれも透き通ってはいませんが、かなりの透明度を提供し、ドローイング画材を塗布する場合は色に加え、または色の上に使うことができます。フルイドマットメディウムは鉛筆とワックスクレヨンをあまり保持せず、表面の残留物は簡単に拭き取られました。パステル用アクリリックグラウンドは、塗布した時も手を加えた時も美しく発色し、次に美しかったのはファインパミスゲルとスーパーローデッドマットメディウムでした(図12)。


図13:レギュラーゲル(セミグロス)とレギュラーゲル(マット)。マットゲルは柔らかく柔軟なグループの中で最適な描画面であった。

柔らかく柔軟なゲルで構成される第5グループは、ドローイング画材を保持する傾向が最も低いグループです。このグループに使用したアクリルは、レギュラーゲル(グロス)、レギュラーゲル(セミグロス)、レギュラーゲル(マット)、グラスビーズゲルでした。第4グループと同様、レギュラーゲル(マット)はこの4つのゲルの中で最適の描画面になりましたが、柔軟であるために鉛筆などの硬質の画材はあまり接着しませんでした(図13)。レギュラーゲル(グロスおよびセミグロス)は一部のドローイング画材とは接着性が低いことがわかりました。グロスビーズゲルの作用は他の面とは違っており、画材によって異なる結果が出ました。ゲルのツヤとグラスビーズの平滑性はあらゆる画材に反発するように思われましたが、そのテクスチャのおかげでドライ系のもろい画材と、ウェット系画材との接着が可能になりました。しかし、鉛筆のマークは混ぜるまで現れないでしょう。画材をグラスビーズゲル上で混ぜたとき、色や顔料は膜の溝に残るでしょうが、ビーズの頂点はきれいに拭い取られ、興味深い結果が生まれます(図14)。ゲルについては、混合により除去される可能性が高く、特にツヤのあるさまざまなゲルではその傾向は顕著です。ウェット系の画材はこのような面に最適な働きをしましたが、手を加えることはできないか、完全に色落ちする結果なりました。


図14:グラスビーズゲルの作用は他の画材とは異なっており、拭い取られた後も溝に色が残っていました。

最終グループはさまざまなテクスチャのペーストで構成しました。ペーストは不透明で、それぞれ独自のテクスチャ、硬度、多孔性を備えています。ライトモデリングペーストやクラックルペーストなどの柔らかくスポンジのような面は、柔らかくもろい画材だけでなく、マーカーや水溶性のオイルパステルも受け入れましたが、鉛筆、ワックスクレヨン、ConteRクレヨンなどの硬質の画材は面に傷をつけ、描画手段の跡を残しませんでした(図15)。手漉き紙のようなテクスチャを持つファイバーペーストは、鉛筆で描いたパリッとした線を保ちませんでしたが、描かれたものをソフトに混ぜ合わせることはできました(図16)。テクスチャの凹凸面のほとんどの点はほとんどの画材を保持し、その上に描くと、でこぼこのテクスチャが一層強調されました。


図15:ライトモデリングペースト(左)とクラックルペースト(右)のような柔らかくスポンジのような面は、ほとんどの画材を受容したが、それでもなお独自のテクスチャを現した。



図16:ファイバーペーストはでこぼこのテクスチャにより鋭い線を保たなかった。

モデリングペースト:ライト、レギュラー、ハード、コースはすべて、画材がよく接着しました。ライトとレギュラーの場合はコントロールされて均一に混ざり、コースの場合は非常に拡散した柔らかに混ざったエッジができました。ハードは他のモデリングペーストと同様に簡単に混ざりませんでしたが、最初に描いたマークの多くを保ちました。モデリングペーストを水やイソプロピルアルコールでこすると均一に混ざりましたが、ハードの場合は例外で、水が数珠のようにつながる部分もあれば、画材が完全に剥がれ落ちる部分もありました。ここでも、硬質で平滑な面は水や溶剤でこすると接着性が低いことがわかりました。
最後に、使おうとする画材、描こうとする面、望む結果によって達成できる結果はさまざまです。絵画、彫刻またはアクリル膜を塗布することができるあらゆる面に適切な描画面を作るために容易にアクリルを利用できることで、アーティストは、支持体や利用可能な面をそのまま使うだけではできるとは限らないコミュニケーション言語を拡大することができます。一部のアーティストにとって、臨場感や親近感やアイデンティティを表現するためにドローイングを利用することはどうしても必要であり、これらは使用した材料と材料を塗布するために使用した方法の永久性や保存性と同じくらい作品にとって不可欠です。明確に文書化されていない材料や方法と同様、実験とテストは、より良い結果を与え、驚きを減らし、すばらしい発見をもたらします。使用する材料の性質を理解することは、しばしば直感に頼らないという以上の価値あるツールです。知らないということは、これまでの考えや予測を超えて材料を学び、身につけ、理解するチャンスです。

テストした画材に関する完全な研究については、下記のサイトをご覧ください。http://www.goldenpaints.com/justpaint/index.php

Golden Artist Colors社


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