ゴールデンアクリリックス
ゴールデンフルイド

Golden History

How to Test for Lightfastness

耐光性試験法

画家や写真家、印刷業者、その他、色材に関わるユーザーは自分たちの作品の素材がどのくらい耐光性があるかを知っておく必要があります。素材の中には強い光の下で何十年置かれても色がほとんど変化しないものもあります。あるいは数年で変化し始めるものもあります。絵具の場合、特に油絵具やアクリル絵具では情報は製品ラベルに書かれていることが多く、それはASTM(米国試験・材料協会)の耐光性ランクのI(堅牢)、II(良好)で示されます(注1)。画材全般で見ると、信頼性が一定しない他のランク付けも見られ、あるいは全く表示されていないものも多くあります。

幸い、ユーザー自身が耐光性ランクをつけたり、メーカー情報を確認することができます。これは退色を起こすメカニズムを使った実験で行います。つまりサンプルを強い直射光に比較的短時間当てることで、人工あるいは天然の光源に長期間さらされた場合の結果を予測します。最も単純な方法は、試験する材料を適切な支持体に塗ってそれを半分にカットし、片方を出来るだけ強い太陽光が当たる窓の室内側にさらしておきます(暴露する)。もう片方はあらゆる光が当たらない場所に保管します。数ヵ月後に、光にさらされたサンプルと保管したサンプルでの色の変化を観察すれば、その材料を直射光を避けた壁に何年間か掛けた場合にどうなるかの指標になります(注2)。

この方法の限界は、日々あるいは季節、年毎の窓越しに射す太陽光の強さや時間が一定しないために、再現性のある結果を得にくいということにあります。地理的な違いも大きな差の原因になります。例えば、夏に北東面で行った場合には退色が見られても、冬に同じ期間の試験をした場合には変色が見られないこともあります。しかし、もしフロリダで同じ期間の試験をすれば、冬でも大きく退色するでしょう。

総暴露量を一定のレベルに保つというこの課題は、耐光性が分かっている標準になるサンプルを材料と同時に暴露し、標準が予め決められたところまで退色したら試験を終えるという手段で解決できます。画材については、この試験は染色された8枚のブルーウール布(注3)を使います。8枚のブルーウールは耐光性の強い順に並んでいます。「ブルーウール#1」と同じように退色した材料は「1」にランク付けします。一方で、「ブルーウール#1〜7」のような退色が全くなかった材料は「8」とランク付けします。もし試験材料よりも先に「ブルーウール#6」が退色し始めたら、それはASTMランクのII(良好)に相当し、その材料は長期保存すべき作品に使えるだけの耐久性があると考えられるでしょう。もし「ブルーウール#7」が退色し始めてもその材料が変化していない場合は、ASTMランクI(堅牢)と同等といえるでしょう。

この試験の精度を上げるには、一つの試験片の半分をカバーして太陽光を遮断します。こうすると同じ試験片で、光にさらされた部分と遮断された部分が隣り合うことになり、色変化の判断がしやすくなります。様々な他の要因があり、特にサンプルをどのように見てランク付けするかによって試験の再現性は向上します。どのように精度を上げるかについては多くの努力が払われ、これはASTM試験法として出版されました(注4)。

この試験法開発作業の終了後、「ブルーウール」や適切な支持体の入手、試験方法説明、試験サンプルの設置法などは画材ユーザーにとって面倒なことのように思われました。

ゴールデン社では「耐光性試験システム」を開発しています。これは自分の材料を試験するに必要なもの全てがワンパッケージに収められ、他には何も用意する必要がありません(国内未発売)。これはまた教材やデモ用としても優れています。

注1:美術館内での暴露条件で、ASTM耐光性II(良好)の材料は約100年間変化しないとされる。IIよりも下位(III以下)の材料は長期保存を目的とした作品には勧められない。

注2:自分でさらに耐光性試験法について調べたい場合は、The Painter’s Handbook改訂版(Gottsegen著、Watson-Guptill, 2006) p.143-145を参照。

注3:国内では、(財)日本規格協会からブルーウール同等のブルースケールが販売されている。またブルーウールも同協会から入手可能。

注4:Practice for the Visual Determination of the Lightfastness of Art Materials by the User (ASTM D 5398)(ユーザーによる画材の耐光性目視試験法)および、Practice for the Visual Determination of the Lightfastness of Art Materials by Art Technologists (ASTM D 5383)(画材技術者による画材目視試験法) ASTM International, 1916 Race St., Philadelphia, PA 19103

謝辞−「ゴールデン耐光性試験システム」が採用しているASTM試験法は画家であり教育者でもあるJoy Turner Luke氏の成果の結果に大きく基づいています。

(C) Golden Artist Colors, Inc.