アーティストと対談

マーク・ゴールデン

新製品であるオープンアクリリックスの独自の性質を正しく説明するには、実際に試し、何かを発見し、開発に参加してきたアーティストにそれぞれ独自の視点から意見を述べてもらうしかありません。ゴールデン社は、この絵具を使って制作する経験を共有した100人を超えるアーティストの力を借りて、配合の修正、変更、調整を行い、遂に独自の特性を正しく配合したと確信するにいたりました。今回は、制作スタイルが全く異なる4人のアーティストにオープンアクリリックスで制作するチャンスと課題をそれぞれの視点から述べていただきました。
取材対象は、ゴールデン社創業以来の顧客の一人で、画家であり、Bocour社におけるサムとレナードの共同制作者でもあるジョン・グリーフェン、熟練した画家で、スタジオアートの教授であり、オープンアクリリックスの初期バージョンを最初に試した一人であるパトリック・フィオーレ、油絵肖像画の授業にオープンアクリリックスの導入を許可してくれたすばらしく度胸のある教師バーバラ・ディッカーソン、そして最後にオープンアクリリックスの可能性に関して多くの意見を提供してくれた実に心の広い外光派画家ジェイミー・グロスマンです。
アーティストのニーズは独特で、1つの材料がすべての要求を満たすことなどありえないことはこのプロセスの当初からわかっていました。伝統的な油絵画家の場合、従来の油絵具の特徴であるオープンタイムの長さと顔料濃度の高さを好む傾向が強いのは明らかです。アクリル画家の場合、大抵、絵具の速乾性と非常に厚塗りで柔軟な筆痕を残す性質を活かす手法を考案しました。しかし、このプロセスでもう一つわかったことは、古い手法を捨て、新しい手法を学ぼうとする冒険心のあるこれらのアーティストにとって、オープンアクリリックスは信じられないほど新しく刺激的な機会を提供するだろうということです。4人のアーティストが見識を提供してくれたことに感謝し、そのことがこの独自性の高い製品ラインの有益な紹介になることを願っています。

マーク・ゴールデンとジョン・グリーフェン
2008年5月22日

マーク・ゴールデン:ジョン、あなたに取材できることはまたとない機会です。感謝しています。初期の頃からアクリルメディウムで制作されていましたが、実は伝統的な油絵画家でもあると知って驚く人がいるかもしれませんね。オープンアクリリックスをお送りした時、この絵具に関するあなたの意見の概要が聞けると思っただけでわくわくしました。最初の感想を教えていただけますか?

ジョン・グリーフェン:ええ、面白いですね。最初に思ったことは、他の絵具と比較してみようということでしたが、それは間違いだったかもしれないと思います。全く別物ですから。ありのまま試してみることにしました。私にとって絵具は単なる目的達成の手段ではありません。以前、私のインスピレーションはあなただと言ったことがありますよね。それは、長年あなたや(それ以前は)先代のもとに通い、「どんな新製品ができましたか」と尋ねていたからです。新しいメディウムや色は私の制作意欲をかき立てました。絵や材料や手法といったことではないのです。そういう発想は好きではありません。描きたいものはわかっている、ただもっと良い方法を見つける必要がある、そういうときに新しい色と材料は刺激になります。
 
マーク:その熱意のおかげで新製品のテストができるのですね。本当に感謝しています。

ジョン:その意味でもたくさん描いてみましたが、油絵具に似ているか、アクリル絵具に似ているかを見ようとするのではなく、単に絵具の機能を見たいと思いました。実際、オープンには油絵具にもアクリル絵具にもない機能が備わっていることがわかりました。アクリル絵具より乾燥時間が長く、脂っぽいのですが、ある程度ドライ感もあります。一方、油絵具よりはるかにクリーンで、別の言い方をするとツルツルしています。

マーク:我々もそれを感じました。しかし、ほとんどの場合、「うーん、ちょっと違うな」で終わってしまいます。違いを比較する必要性が全くないが、それはそれで新たな問題が出てきます。では、どのように使いましたか?

ジョン:そうですね。これは他の絵具から生まれたニーズに対応していると思います。その一つは乾燥時間を長くするというニーズです。アクリル絵具の中には、一部の画家にとって乾燥時間が短すぎるものがあります。実際に使ってみた感覚にすぎませんが、さまざまな点で油絵具より安全です。

マーク:普段のアクリル絵具での制作方法を考慮した上で、新製品を取り入れる余地はありますか?

ジョン:ええ。私もその点について考えていました。大きな絵の場合、速乾性は重要です。オープンだと作業がやりにくくなるかもしれません。

マーク:普段の制作工程では切実な問題になるかもしれませんね。

ジョン:もっと使い慣れたら、どうなるかわかりません。 興味深いですね。具象派の画家が主題から刺激を受けるのと似ています。材料を探すのは、描きたいものを描くためではありません。私が絵具を使うのは、描くのを助けてもらうためです。昔から、正しい仕事をするためには正しい道具を使えと言いますが、繰り返し言うと、私はそういうことを話しているのではないのです。芸術の世界では、その仕事に不向きな道具を使うことがあり、実際、そのことでいい結果が出ることもあります。おそらく、新しい材料と色が入り込む場所はそういう部分なのでしょう。

マーク:アクリル絵具や油絵具に馴染んだ画家に、オープンがそのどちらでもなく、別のものであことを何とか認識してもらうにはどうすればいいでしょう。

ジョン:そうですね。明らかなのは時間が延びることです。ウィリアムズタウンで夏期講習をしていた時のことを思い出しました。大人のグループ(誰かがこの種の言葉を声高に叫んでいましたね)でしたが、戸外で制作中、ある女性の筆がキャンバスの上で乾燥してしまったのです。オープンなら、そんなことは起こらないでしょう。

マーク:なるほど。これが新しい絵具であると話し合ってきましたが、あなたはアクリル画家ですので、塗膜の厚さにかかわらず、素早く短時間に作業するためにあらゆる性質を利用することができます。

ジョン:しかし、この絵具でもそれはできるでしょうし、他のアクリル絵具では得られない乾燥性のメリットも得られるでしょう。つまり、いろいろなことができるのです。たとえば、うまく使えばやり直しのきくステイン画も可能です。

マーク:オープンアクリリックスのステイン画ですか。我々が研究すらしなかったことだと思います。

ジョン:ええ、多くの画家がもっと試してみる必要があると思います。

マーク:その言葉を聞くと、また絵具作りの意欲がわいてきます。初心に戻ったようです。

ジョン:ええ、私もそう思います。より多くの特性を与えればどうか。乾燥時間はその内でも大きな要素ですし、脂っぽい感触もありますね。

マーク:あなたが油のシステムではなく水のシステムで仕事をしていて本当によかった。

ジョン:同感です(笑)。だから65歳にしてまだ生きていられるのでしょう。冗談はさておき、まさにその理由について考えると、安全性は生徒にとっては特に重要ですが、それが創作の邪魔になっては困りますね。

マーク:何人かの教師にもこの製品を見てもらいましたが、かなり興味を持つ人もいます。教師歴は長いのですか?

ジョン:今は辞めていますが、随分長い間教えていました。今なら何の問題もなくオープンアクリリックスの導入を検討するでしょう。初心者にはすばらしい絵具だと思います。油絵具よりはるかに扱いやすく、通常のアクリル絵具より使いやすいのです。つまり、「ほら見て。こんなにすごい技法で描いているんだ」というセリフは聞き飽きているということです。扱いやすくなければ、絵を描くよりもむしろ、絵具をこねくり回すことに時間を費やすことになります。オープンアクリリックスでスタートする方がはるかに簡単です。生徒は油絵にもアクリルにも進むことができます。アクリルからスタートして油絵に転進するより、あるいはその逆の転進よりはるかに簡単に転向できます。

マーク:そうなると面白いでしょうね。今でも同じことを聞きますし、おそらくあなたもそうでしょう。生徒がアクリル絵具で一定水準の習熟度を達成した時なのですが、我々はそれをアクリル拒絶と呼んでいます。「マーク、見て。油絵みたいに見えるでしょ」と決まって言うのです。

ジョン:私にとって、オープンアクリリックスには他の製品からは得られないチャンスがあります。作品に使ってステインの中での反応を見ることができれば、もっと面白かったのでしょうが、その点についてはおそらくあなたも未研究なのでしょうね。

マーク:ええ、まだです。そういう話をしたのはあなたが初めてです。

ジョン:そうですか。大規模な制作をすると面白いかもしれません。

マーク:ステイン画の全体的なアイデアと同時に、セクションごとに分割しオープンな状態、つまり元に戻すこともできます。

ジョン:.塗膜が薄くなっても、思ったよりはるかに長時間、作業可能な状態が保たれました。水彩絵具と同じ時間か、もっと短時間で乾燥する、それだけです。しかし、オープン(作業可能)な状態は保たれていました。光沢の有無など、表面に関して他にいろいろ考えましたが、それはメディウムで調整できる部分だと思います。

マーク:ええ、標準的なヘビーボディのメディウムでそうしたことができるということは当初からわかっていたと思います。

ジョン:オープンアクリリックスと他のアクリル絵具との相性はいいのですか。

マーク:オープンの製品はすべて、当社の絵具やすべてのゲルやメディウムと相性がいいです。

ジョン:それなら、もっと粘度の高い絵具と併用したらどうなるか興味があります。いろいろやってみましたが、それは試しませんでした。オープンそのものがどうなるかを見たい気持ちが強かったので。

マーク:そうですね。全く違う状態になると思います。もっと脂っぽい感じでしょうか。乾燥を速めたいのですね。

ジョン:しかし、他の要素もでてくるでしょう。本当に興味深いです。どれくらい粘りがあるか見てみたいですね。ご存知のように、まだ滑るような感触ですから。

マーク:この製品の使用者の中には、しばらく寝かせておく人もいます。

ジョン:私は身近な画家の中では仕事が最も速いのです。つまり、そうしたいと思った時にはもうできているという状態で、あまりのめり込まないのです。他の人はもっと考えます。

マーク:だからこそ、あなたの視点がほしかったのです。そのことは、いくつかの点で実に重要であったと考えています。一つは、とても長い間、アクリル絵具と制作の関係を持っていることです。アクリル絵具を熟知されたあなたらだからこそ、この絵具に面食らうのではないかと思ったのです。

ジョン:そういうわけではありませんが、この絵具にはある種のインスピレーションがあります。あなたの発想を知ることは刺激的です。どんな色なのか、どうなるのか、そしてそれは使えるのか。アートにおいて反復は死です。工場は同じことの繰り返しですが、芸術家がそれをすれば、もはや芸術家ではありません。オリジナル作品を作らなければ、もはや芸術家ではないのです。オリジナルとは、新規であるための新しさではなく、ガウディは「オリジナルとはオリジン(原型))」への回帰だ」と言った時に彼が意味していたことに近いものなのです。ご存知のように、芸術家は作りたいものを作るために最も簡単な方法を探す必要があります。それ以外のものは愚かな考えということになるでしょう。何かをしようとするとき、それが気まぐれな活動ではなく、本当にやりたいことである場合、困難な道を模索するのは愚か者だけでしょう。ゴールデン社の材料のおかげで新たな絵画制作がより容易になりました。私はそれをインスピレーションと呼んでいます。

ジョン・アダムズ・グリーフェン:1942年マサチューセッツ州ウースター生まれ。シカゴ美術学校ベニントン校、ウィリアムズ校(学士号取得)、ハンター校出身。ベニントン校で教鞭をとり、ウィリアムズ大学、スクール・オブ・ビジュアル・アーツ、アーツ・スチューデント・リーグで客員教員を務めた。
1969年以降、ニューヨーク市、シカゴ、ボストン、ワシントンD.C.など、全米の民間ギャラリーで、またベルリンやオーストラリアのシドニーなど外国で35回の個展を開く。サランダーオレイリー画廊を国際代理人とする。
氏の作品は、ブルックリン美術館、カーネギー工科大学、フォートローダーデール美術館、ハーシュホーン美術館と彫刻の庭、メトロポリタン美術館、ホイットニー美術館など、主要な公的機関のコレクションにも展示されている。

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マーク・ゴールデンとパトリック・フィオーレ
2008年4月15日

マーク・ゴールデン:
パトリック、現在の制作スタイルと手法を説明していただけますか。

パトリック・フィオーレ:アクリルと油との間を行ったり来たりしています。ほとんどの場合、薄いウォッシュから徐々に塗り重ねて不透明にし、最後に直接塗るという同じ手法を使っています。最初にスケッチをすることもあれば、絵具を直接塗ることもあります。その後、ウォッシュで整えます。通常、ジェッソを塗ったパネルやボードに描画します。目指す作品によって、表面にテクスチャーをつけたり、滑らかにしたりします。

マーク:まずアクリル絵具で描き、その後油絵具で仕上げる必要があると感じる画家が多いですが、そうすることもありますか。

パトリック:ええ、私もそうしていました。できる限り、下描き、フォルムの描写、ドライブラッシング、グレーズという手順を取ります。それから油絵具に変更して、グレーズで色を調整し、粘度の高い絵具で直接作業します。

マーク:では、オープンアクリリックスを使った時の第一印象を教えていただけますか。

パトリック:絵具は非常に作業しやすいと感じました。従来のアクリル絵具のように筆痕を引きませんでした。また、はるかに長時間、パレット上で湿った状態が続いたのは確かです。初めて使った時は粘つくと感じました。2度目の配合では、流動性がぐんと高まったように思えました。

マーク:では、制作方法に大きな変更をする必要はありましたか?

パトリック:あまりなかったですね。アクリル絵具の場合も、思い通りに使いこなせるようになるまで、長年、格闘と試行錯誤を重ねてきました。今ではアクリル絵具でやりたいことをほとんどすべてできると思います。私のアクリル画は油絵のように見える部分もありますので、制作中に自然だと感じたところへオープンアクリリックスを導入することは簡単でした。実際、初めて完成させた絵は、まず下描きをし、従来のアクリル絵具を塗って、素早く乾燥させました。テンペラ画のように下描きがある方がいいと思い、その後、制作が進行するにつれてオープンアクリリックスに転換しました。下描きはすでに出来上がり、乾燥していました。何も変更する必要はありませんでしたし、使用を継続する前に乾燥するのを待つ必要もありませんでした。

マーク:見事ですね。作品の中で製品が予想通りにならなかった部分はありますか。

パトリック:最初は暗い部分が濁ったように見えました。絵具にメディウムを混ぜすぎたのかもしれません。暗い部分に絵具を薄く塗ると、乾燥後、すこし濁ったように見えました。2度目は、水だけで薄めた絵具の質に感動しました。油絵具にミネラルスピリッツ(ペトロール)やシンナーを混ぜた感じになりました。メディウムを加える必要を感じませんでした。絵具を水で薄めて制作していましたが、そのうちだんだん、直接チューブから粘度の高い絵具を出して使っていました。

マーク:実に面白いですね。我々と同じ感覚だと思います。水がすばやく働いて絵具を薄め、従来のアクリル絵具に水を加えた状態とは全く違うように感じられました。まだ実験していなくても結構ですので、この製品を使用できる他の方法を何か思いつきますか。

パトリック:ええ。実際、ジェッソを少し塗った紙切れをつかみ、絵具で遊び始めたところでした。前回の実験では絵具をあまり混ぜていません。ほとんどの筆痕は直接塗りつけたもので、混ざっている部分は偶然の産物です。しかし、ご忠告に従った結果、うまく混ざることがわかり驚きました。

マーク:実に面白いですね。というのも、あなたの肖像画を見た時、「すばらしい。パトリックはさまざまな色を混ぜている」と思ったのですが、誤解だったのですね。

パトリック:そうですね。私のアクリル歴に関する話を思い出してください。適切なグラデーションを達成するまで、薄いグレーズ、ドライブラッシング、さらにグレーズという工程を開発した結果、油絵具を混ぜ合わせたように見えます。だから、この絵具を使えばその技法を加速することができると思うとわくわくします。

マーク:なるほど。ということは、このプロジェクトの開始時点からオープンアクリリックスを試すチャンスがあったわけですね。従来のアクリル絵具またはあなたにとってのその潜在的価値と比べて、これがきわめてユニークであるという感覚はありますか。

パトリック:そうですね。油絵具との比較という点から少し話をすると、1つの継続的な絵画媒体と考えると非常にわかりやすいです。ミクストメディアなどの技法の一環として、水彩画やテンペラ画に似せるために、アクリル絵具を調整し、アクリル絵具の使用法を実証しました。再び、多くのさまざまな用途にアクリル絵具を使いました。オープンアクリリックスは油絵具との境界線を曖昧にし、使える技を増やしてくれます。
マーク:油絵画家もアクリル画家も、この製品には油絵具の傾向があるが、明らかに油絵具ではないと言っていました。オープンアクリリックスと油絵具との違いをどのように考えますか。

パトリック:油絵具の特性である加筆(描画)可能性を維持する性質、いわゆるオープンタイムは相対的なものですが、描画中のどの時点であっても布で筆痕をふき取り、再び描くことができるという考え方で、その種の変更可能性のことです。無理やりオープンタイムを伸ばそうとはしませんでした。実際、乾燥時間を早めていました。

マーク:これまでに使用された他のアクリル絵具とどんな風に違うと思いますか。
パトリック:実はまだ話していませんでしたが、最も明白な点は、筆痕の作り方だと思います。どのように筆の流れるか、そしてエッジができないこと、つまり絵具が操作不能なほど早く乾燥するわけではないというという考えです。これは大きな違いであり、アクリル絵具とは全く違います。筆痕を作る前に、パレットを置いて、パレットの上で絵具を混ぜて色を作っておくと簡単です。絵具をコントロールし、完全に混ぜ合わせることができるため、必要な色や明度が出せるような気がします。もう1度言いますが、油絵具に近い特性ですので、アクリル絵具とは異なります。

マーク:絵の教師として、この種の絵具は生徒にとって価値あるものになるかもしれないと思うようなものですか。

パトリック:そう思います。2つの点から答えます。まず教材として、この絵具は、1種類の絵具を使った経験としてはかなり幅広い用途を生徒に提供します。アクリル絵具は応用可能な技法の種類という点では実に柔軟です。実際、アクリル絵具を入れた小さな袋を持って教室を歩き回り、表面の仕上げ、塗り方、あるいは技法を微妙に変えて同じ材料で複数の手法を実演することができそうです。その観点から、オープンアクリリックスは非常に多用途だと思います。次の点、つまり特性は、画材の安全衛生面と洗浄などの使いやすさに関することです。ほとんどの美術学校と同様、私が勤務する学校も生徒の安全な作業環境に非常に気を使うようになりました。オープンアクリリックスは、これまで油性メディウムや溶剤も含めて油性だからこそ達成できた教育目標を容易にします。学習ツールとしては、依然として油絵具に置き換えることはできないと思いますが、実に有益で実践的な絵具になると思います。

マーク:この製品は、本当に、アクリルができることを拡大します。我々にとって、アクリル絵具は多くのさまざまな方向に動かすことができます。ツヤに変化をつけたり、表面のテクスチャーに変化をつけたり、低い粘度から高い粘度までできますし、今度は、作業可能な時間を長くするという意味で時間の方向に動くチャンスを提供してくれます。

パトリック:教えるという点では、まだ分からないことがたくさんあります。もっと試してみないと。私が教える基本事項の大部分はスケッチと描画に関するものです。しかし、あらゆる種類の画材を通じてそうした基本原則の移し変えを経験しました。ある程度までは、アクリル絵具は油絵具の代用品にはならないとおっしゃるかもしれませんが、それは、コンピュータがアクリル絵具の代用品にはならないという類の喩えと同様です。コンピュータを使って見事な作品を作る生徒はたくさんいます。つまり、彼らが視覚的言語、すなわち自らが向き合っている対象をどのくらい吸収するかということです。この画材を使ってそうした原則や技法を実証することができれば、そして実証の事実を見ることができれば、それは有益なことです。

マーク:パトリック、あなたは最初の使用者にふさわしいアーティストでした。率直に言うと、オープンアクリリックスを複数のアーティストと共有し、実験することに関して最も困惑したことはアクリル画家でした。アクリル画家はオープンアクリリックスと抜群の相性を見せるだろうと思ったのですが、実際には扱いに苦労したようで、私にはそのことがいい勉強になりました。なぜなら、アクリル画家であるということは材料の使い方を習得しているのであり、他の画材を使う画家が直面するような事柄を考えないからです。それは問題にならないのです。

パトリック:乾燥時間が短いという事実を利用するというようなことは、あるがままということであって、それは画家としての私の一部です。今、少しギアチェンジしているところです。ある種の表現をするためにはドライヤーを使って乾燥時間を短縮しています。そうすると、グレーズを早めたり絵具を塗り重ねたりできます。こんな風に使っても安全ですか。

マーク:もちろん大丈夫です。一緒に仕事をする画家も同じようなことを言っています。「ペースダウンの方法なんて知りたくない。知りたいのはペースアップの方法だ」ってね。

パトリック:その柔軟性はすばらしいです。大きさもその一部ですから。大きな作品を制作しているなら、絵具で作業するスペースをオープン(未乾燥)にしておくことが必要でしょう。しかし、私の傾向は、伝統的な絵のように重ねていく手法です。油絵具を使い、グレーズをするつもりだったのに、それができなかったら行き詰るでしょう。しかし、この絵具の場合、後戻りしてグレーズができます。適切な計画をたてれば、この絵具はかなり普遍的なツールになると思われます。もちろん、今回は自分の勉強であり、厚く塗らない限りはアクリル画に油絵の技法を応用することは問題なかったのです。今なら、その手法を開発することができるように思えます。

パトリック・フィオーレ:シラキュース大学で美術学学士号取得。ニューヨーク市のスクール・オブ・ビジュアル・アーツで美術学修士号取得。フロリダ州サラソタのリングリング・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインの教員として20年間、人物スケッチとイラストを教えている。全国的に出版されたイラストで評価されてきた。氏の作品は、ニューヨーク州、ユタ州、フロリダ州にサイトスペシフィックなインスタレーション(特定の場所でのみ成立する作品)として存在し、氏の絵画は全米で展示されている。
パトリックが現在取り組んでいるプロジェクトには、ハワード・ジンの現代クラシック「民衆のアメリカ史」をベースとして、約120の絵を25のパセージにまとめられたものが含まれる。コレクションは、完成後、一般に公開されるインスタレーションとともにさまざまな土地の大学のギャラリーを巡回する予定である。

マーク・ゴールデンとバーバラ・ディカーソン
2008年4月28日

マーク・ゴールデン:
バーバラ、あなたの制作方法と作品に使う材料について教えていただけますか?

バーバラ・ディカーソン:通常、油絵具を使います。以前はアクリル絵具を使っていましたが、油絵具にアクリルを併用することもあり、下塗りに使いますが、ほとんどの場合、油絵具を使います。

マーク:なぜ油絵なのですか?

バーバラ:色が混ざり合う性質と色の豊かさが好きだからです。昔は1つの作品をアクリルだけで描いたこともありました。私は12年間生活のために絵画展を開いていましたが、時間短縮に迫られていた場合は速乾性を求めてアクリルで描いたものです。多くの場合、鑑賞者は絵の違いがわかりませんでした。下地にアクリルを塗り、その上に油絵具で描いたこともありました。生徒との共同制作でも同様にするでしょう、特に彼らが透明色を使ってキャンバスを塗りつくそうとしているなら、そうするでしょう。

マーク:バーバラさんはオープンアクリリックスを使って生徒さんとで制作を始めたわけですが、オープンの第一印象はどうでしたか?

バーバラ:初めて試したとき、これほど長時間混ぜることができるのかと驚きました。長年製品作りに取り組んでこられた甲斐あって、かなりいいものができています。

マーク:それはどうも、フィードバックありがとうございます。貴重なご意見です。今の製品はどうですか。

バーバラ:とても感動しました。さまざまなタイプのメディウムを使った経験がある人や、まじめな画家ならこの絵具を手に取ると思います。使いこなすコツと性質がわかれば、いかにすばらしい絵が描けるか言葉に尽くせません。最も感動したのは長時間混ぜられることと、色彩が豊かで美しいことです。新製品のオープンメディウムは最近出たものですね。これもすばらしいです。油絵具と併用するオイルのような働きをします。これを使うと、キャンバスの穴がすべて完全に埋まります。きれいに覆われますので、湿り気のある画面の上で描くことができ、上に塗った絵具は浮き出て、下の絵具に完全に混入するということはありません。その手法だと、とてもきれいに仕上がります。それからメディウムを使ってストリップライナーを使用し、絵具を十分に湿らせておくと、絵具はその上に美しく定着します。私の場合、この方法の方が油絵具よりはるかにいいですね。

マーク:それはよかった。製品が期待通りに働かなかった部分はありますか。

バーバラ:コントロールのコツを学ぶのにまだ少し問題はあります。これまで油絵が主体でしたので、非常に微細な部分の描き方、例えば肖像画の場合などを習熟するのにまだ若干問題があります。

マーク:詳しく話していただけますか。

バーバラ:肖像画においては必要な外観を得るのに苦労します。油絵具では外観が得られるのとは対照的です。今すぐ習得するには、努力や実験が必要だと感じた部分でした。
マーク:この製品には少し調整が必要です。他の材料のように簡単に使いこなせるようになるまでには、しばらくの間努力が必要です。

バーバラ:ええ。全く違います。アクリル絵具と油絵具の両方で制作した経験から言えば、オープンアクリリックスはアクリル絵具よりも油絵具に近いですが、全く油絵具と同じというわけでもありません。色を混ぜても、油絵具と同じようには混ざりません。

マーク:.多くの画家が異口同音に言うのはまさにその点で、我々もそれを学びました。確かに、油絵具の代替品でも代用品でもなく、全く別物です。しかし、とてもよく似た特性を持っているのです。

バーバラ:おっしゃる通りです。非常に面白いですね。特に、油絵具ほどよく混ざらないために学ぶべき点があるという意味では、油絵具より面白いと思います。油絵具なら、背景が乾いていなければ上に塗った絵具がすぐ(混ざって)消えてしまいます。そうした場合は油絵具ほど苦労する必要がないので、面白さも一際なのだと思います。

マーク:そのお話から新たな疑問が生まれました。これを授業で試した教師として、生徒さんと一緒に使ったときのことを教えていただけますか。

バーバラ:教師の立場としては、他の画材の類似品として、それにはアクリルや油も含みますが、そのような画材としては紹介しないでしょう。私が使ってきた他の画材とは違う、そして彼らが使ってきたものとも違う新たな画材として紹介するでしょう。たとえば、ヘビー・ボディ・アクリリクスに使用するリターダーは、オープンシンナーと同じではありません。シンナーの使い方については、絵具を使うたびに筆をシンナーに浸すよう生徒に教えます。シンナーを使って生徒に教えているのはそのことです。

マーク:そうですか。その使い方は初耳です。

バーバラ:はい。生徒もうまくコントロールできるようになりますし、シンナーの使用量は多くても少なくても大丈夫なようになっていますから。そんな風にいろいろ試して実験できるのは素晴らしいことです。

マーク:特に使用されている道具や筆はありますか。

バーバラ:セーブルの筆を使っています。純毛のふさふさしたセーブルの筆や黒セーブルの筆を使うとうまく描けます。ブタの筆で描いたこともありますが、セーブルほどうまく描けませんでした。セーブルを使っている生徒が8人います。

マーク:天然毛の繊維は通常アクリルにはお勧めできないと思っていますが、オープンだと洗浄が簡単ですので、高価な筆も洗浄できることから、安心だと思うのでしょうね。使い方に苦労した生徒さんはいましたか。それとも、使いやすかったですか。

バーバラ:とても使いやすかったです。生徒はとても気に入っています。溶剤を使う必要も筆を心配する必要もなく洗浄できるのがいいですね。筆を使っていないときは、水の入った容器に入れておくだけでいいと言っています。生徒もすぐ乾燥しないことを知っているので、心配しないでしょう。従来のアクリル絵具ではないのですから。これまで、セーブルの筆で何も問題もありませんでした。

マーク:オープンアクリリックスのカラーパレットは現在40色しかありませんが、制作に十分な色は揃っていますか。

バーバラ:はい、揃っています。色彩は豊富でした。どの色とも混ぜられるので、必要な色を出すことができました。

マーク:シンナーとの比較として、新製品のゲルメディウムやアクリリックメディウムを使ってみましたか。使ってみる機会はありましたか。

バーバラ:どちらも使ってみました。ゲルはチューブに入っていて、アクリリックメディウムより硬く、クリーミーでした。もう少し柔らかい方がいいと思いましたが、シンナーを使い出したら、メディウムを使うことはありませんでした。

マーク:興味深いお話です。?ラインを伸ばす力があるからですか?。それともどんな理由ですか。

バーバラ:シンナーのおかげで、かなりコントロールしやすくなったからです。

マーク:なるほど。

バーバラ:キャンバスをうまくカバーするし、うまく混ざりました。長時間湿った状態が保たれ、何時間も他の絵具と混ぜることができました。

マーク:その通りです。我々にとっては、「長時間」と口にすることすら驚くべきことに思えます。アクリル絵具は文字通り数分で乾燥することを知っていますから。

バーバラ:そう、何時間もです。もう一つは、いつも必ずガラス製のパレットを使うことです。色別に手頃な小さいティースプーン程度に搾り出すと、描画中ずっと持続しますので、無駄がなく、かなり節約できます。パレットにラップをかぶせて、ラップと絵具の間に空気が入らないようにして冷凍庫に入れると、3~4週間持ちますので、あと3回くらい使えるでしょう。次の授業まで冷凍しておけば、無駄がありません。チューブから出したばかりの絵具と同様に使えます。

マーク:実に興味深いですね。教室でオープンを使っている生徒さんは節約できることがわかると思います。従来のアクリル絵具なら、混ぜるとパレットの上ですぐに乾燥することは誰でも知っていますから。

バーバラ:生徒はガラス製のパレットを蓋付きのプラスチックの箱に保管しています。絵具をラップで覆い、蓋をして、次の授業まで冷凍しておきます。翌週絵具を持ってきたとき、絵具は新品同様でした。

マーク:すばらしい。本当に節約になると思います。いい考えですね。従来のアクリル絵具では、量が多ければ長時間湿った状態を保ちますが、混ぜた部分はすぐ乾いてしまいます。

バーバラ:この絵具を使い始め、使い続け、コツを習得し、実験した人は他の絵具では得られない美しい仕上がりを実現することができると思います。

マーク:なるほど。

バーバラ:生徒にはこの絵具を混ぜる方法を勧めています。10~15分くらいキャンバス上に放置していて、何かを混ぜたいと思ったとき、この絵具を混ぜると他のどんな画材でも得られなかった抜群の美しさに仕上がりました。この絵具は粘度が少し変化しますね。

マーク:粘りが出るということですか。

バーバラ:そういうことです。

マーク:非常に興味深いです。重要な違いだと思います。従来のアクリル絵具ではなかったことですね。アクリル絵具のウェット感や・・・

バーバラ:ドライ感ですね。おっしゃる通りです。たとえば、風景画の空の上に木を付け加えたいが、色が混ざらないようにしたいという場合にはとても役に立つでしょう。油絵具だとうまくいかないのに、オープンだとうまくいくのはまさにその状況です。空の上に木、あるいは空の上に山を描きたいときなど、まず下地を描いて、その上に別の対象を描くことができるからです。しかし、肖像画の場合は少し違います。私が肖像画を描く方法での話ですが、絵具の粘度が高くならない方がいいのです。細部にわたって時間をかけて描きますので、長時間一定した粘度を維持する必要があるからです。

マーク:いや、着眼点が実にすばらしい。あなたが最初におっしゃったとおり、別のメディウムだと思います。アクリルとも油絵具とも違い、開発すべき手法がまだまだあります。

バーバラ:まさに、そうです。経験豊富な画家がこの新製品を使いこなせるようになればとても面白いことになるだろうと思います。

バーバラ・ディカーソン:1985年、生計の手段として美術を専業とする。教育学部出身の彼女にとって、この職業に就いたことは意外であった。3児の母となった後、趣味で油絵を始め、ヒューストンで授業を受け、ダルハート・ウィンドバーグ(テキサスのアーティスト)の美しいフレミッシュ・オールド・マスターの技法と色彩を学んだ。展示会で成功を収めた5年後、12年間、展示会で生計をたてた。
最終的に、絵の秘訣を人々に教えるという新たな仕事を始めることにした。バーバラは新しい生徒たちに対し、彼女の教育基礎知識をキャンバスに絵を描く形式に組み合わせた。現在、油絵教室はビジネスとして評判となっている。全米の有名なアーティストによるワークショップを数多く受講することで、彼女の美術教育を広げている。過去5年間、ダルハート・ウィンドバーグに師事。ダルハートは、彼女の技術と教え方に感銘を受け、めったにないことだが1週間のワークショップで教えるためにジョージア州を2度も訪れた。

dickersonsfinearts.com

マーク・ゴールデンとジェイミー・グロスマン
2008年4月22日

マーク・ゴールデン:
ジェミー、あなたの作品について教えていただけますか。

ジェイミー・グロスマン:主に風景や日常生活から作品を作るのが好きです。何であれ、直接見ているものからインスピレーションが得られると感じます。写真は臨場感が伝わらない気がするので、写真から制作する方がはるかに難しいです。好きな題材は戸外の風景画ですが、冬に出かけるのは好きではありません。風邪をひいてしまうので、冬は肖像画や人物画、ペット、静物画などを描きます。過ごしやすい気候になったらまた出かけたくなるのが常です。
マーク:作品を見ていて気づいたのですが、ガッシュ、パステル、油、アクリルなど、さまざまな画材を同じくらい使われていますね。ある作品を制作するのに、他の材料ではなく、この材料を使おうと決める基準や理由は何ですか。

ジェイミー:飽きっぽいからと言ったらいいのでしょうか。新たな表現手段が得られる気がするのです。主題の変化を楽しむように、画材の変化も楽しみます。一番好きなのは油絵具ですが、油絵具には決定的な難点があります。乾燥に時間がかかり、メディウムや少なくとも溶剤を携帯する必要があるので、他の材料より持ち運びが厄介だということです。選択の基準は、時によって携帯しやすさだったり、作品の大きさだったり、その時に手許にあるもの、あるいはその時の忘れ物だったりします。

マーク:ミニチュアを描くこともあるのですね。作品の大きさは材料選択の理由になりますか。

ジェイミー:なりますね。12 x 16インチ(30×40cm)より大きい作品を制作するときは通常、油絵具で描きます。アクリルで描こうかとも思いますが、絵具が無限にあるわけではないので、基本的にアクリルでは小さな絵を描きます。切手サイズのミニチュアにはいつもゴールデンフルイドを使っています。

マーク:ありがとうございます。テスト期間は1年近くになりすね。

ジェイミー:はい。8月からだったと思います。

マーク:最初の試作品で作業し始めたときに遡ってお話を聞かせてください。製品の第一印象はどのようなものでしたか。

ジェイミー:. 第一印象として、最初から大きな潜在的存在権があると思いました。いくつかの問題を克服することができたら、きわめて特別な存在になるだろうと感じました。私は油彩画家ですので、顔料の多い油絵具の方がはるかに使いやすいです。最初の感想は「もっと顔料を」ということでした。私がそのセリフを言うたびに技術部のスタッフはうんざりしたに違いありません。しかし、絵具の顔料が増えたと実感できるものが返ってきました。時が経ち新世代の絵具が出たとき、多くの問題が解決しました。昔ほどべたつかなくなりました。今のシンナーは良くなっているので、昔のように表面が突っ張る問題を克服し、カドミウム顔料が使えるようになって不透明度が高まります。

マーク:あなたはもとより、試験初期のユーザーのフィードバックは本当にありがたいものでした。最初から完璧なものは作れないだろうと思っていましたが、お渡しする時には、これは特別なものだと心踊る感じがしました。伝統的なアクリル画家はこの製品に苦労されたことは、以前にも話しましたね。

ジェイミー:この製品についてははっきりした学習曲線があるので驚きはありません。実際、アクリルとも、油絵具とも、ガッシュとも違いますが、さまざまな画材を使って制作する場合、それぞれの中から役に立つものを選ぶことができます。それこそ本当のメディウム、つまり媒体なのでしょう。もちろんメリットもデメリットもあります。他のメディウム単独ではできないことができるという点はメリットです。学習曲線があることを意味するのはデメリットです。油絵のバックグラウンドを持つ身としては、これらの新製品の場合、忘れずに時々パレットにスプレーをしなければなりませんし、絵具をたくさん出すことも忘れてはなりません。油絵具で発生する状態のような汚れて濁ってしまうことはありません。

マーク:では、教えてください。オープンアクリリックスは戸外ではどのような効果を見せますか。アクリルが戸外で使われるのは珍しいことです。

ジェイミー:うまく使えると思いました。忘れずにパレットにスプレーをする必要がありましたが、室内、戸外を問わず、従来のアクリル絵具ではできなかったのに、オープンでならできることがありました。たとえば、色を混ぜてもパレット上で湿った状態が保たれました。非常に限られたパレットで制作している私にとっては、おそらくこれが最重要事項といえるでしょう。いろいろな色を混ぜたとき、それぞれの色が使えるためには、しばらくその状態を保っていてほしいのです。いざ使おうとしたらすっかり乾いていたというのでは役に立ちません。混色ができて、それが湿った状態を保つことはすばらしいです。それらの色の調整が必要なときでも、基本の混色は既に出来ているのです。

マーク:製品が機能しなかった部分で、アーティストが気をつけるべき部分はありますか。

ジェイミー:支持体としてはより好ましいといえるものがありました。ツルツルした表面は好きではありませんでした。

マーク:なぜですか。

ジェイミー:私の場合、絵具が表面に十分定着しなかったからです。表面に十分な絵具が乗りませんでした。油絵具もそんな感じですので、驚くにはあたりませんでしたが。

マーク:ツルツルしたような面とは、興味深いですね。ヘビーボディやフルイドなど、他のアクリル絵具の上でも試して見ましたか。それらの材料の上に塗る手段として試されましたか。

ジェイミー:試しました。戸外で、フルイドのトランスパレント・レッド・アイアン・オキサイド、トランスパレント・イエロー・アイアン・オキサイド、ウルトラマリン・ブルーを使って下塗りをして試してみました。その上にオープンアクリリックスで描画しました。

マーク:描画の際、次の塗り重ねの下地としてはどうでしたか。

ジェイミー:すばらしかったですが、乾燥に時間がかかりすぎて描画できませんでした。だから、光源が移動する戸外の環境で描いたとき、3種類の色と明度で下地を作り、その上に描画するという時間はありませんでした。仕上げるのに余分な作業時間をとる必要がありました。

マーク:制作という点では、現場にいる時間のうち、絵を描く時間はどれくらいですか。

ジェイミー:サイズによって違いますが、通常約3時間です。16 x 20(40×50cm)の場合は5時間くらいかかりますが、主題にもよります。主題が複雑になると時間がかかります。もう一つ言っておきたいことは、この絵具のまさに長所ですが、従来のアクリル絵具で全く使えなかった油絵の技法を使えることです。1週間くらい前、とても不規則な日がありました。制作に着手した頃には10時になろうとしていたでしょうか。もちろん正午には光の方向が変わります。作品を完成させるには非常に厳しい時間帯に入りつつありました。12 x 24(30×60cm)のキャンバスを使っていたのですが、小さいパネルを取りに再び車に戻りたくはなかったので、ボード全体にトランスパレント・レッド・アイアン・オキサイドを使ってウォッシュで描き、湿った布で明るさを引き出したところ、それが下地として大いに役立ったのです。従来のアクリル絵具では決してできなかったことでしょうし、それによって工程が非常に加速されました。2時間で作品を仕上げることができたのです。

マーク:種類の違うメディウムを使うチャンスがあったと思いますが、そのことを話していただけますか。

ジェイミー: はい。戸外の作品はシンプルにしておきたいという理由でメディウムはあまり使いません。油絵でもメディウムは使いません。テレビン油をほんの少し使うだけです。荷物を一杯持って現場に出かけたくはありませんので、必要なときにしかメディウムを使いませんが、時によってはその必要性が生じます。たまに絵具が粘ついたとき、オープンシンナーは筆から絵具を除去するのに役立ちます。普段使っている油絵具ほど顔料の量が多くはないので、絵具を薄めすぎたくないですからね。

マーク:顔料の量はおそらく油絵画家にとって最大の問題だろうと思います。最高のアクリル絵具でも、普通の油絵具ほど顔料を含んでいません。

ジェイミー:同感です。しかし、油絵具の場合、キャンバスに一定量を超える絵具を塗ることはできません。そんなことをすれば、流れ落ちてしまい、逆効果になります。さらに絵具を重ねるために絵具を取り除かなければならなくなります。オープンアクリリックスなら、そういうことは起こりません。支持体に多量の絵具を載せても、適度で加筆可能な粘性が生まれます。作業中、しっかり留まり、上から描画することができます。油絵のバックグラウンドを持つ身としては、厚く塗った場合でも作業を継続することができること、失敗に終わることはないということを覚えておく必要があるのです。

マーク:混色について問題はありますか。

ジェイミー:私の場合はありませんでした。いつも現場で素早く作業していますので。実際、逆でしたね。油絵具
の場合、混ざりすぎる感じがします。厚く塗りすぎて汚く混ざり合った絵具になってしまうのです。オープンアクリリックスはそうなりません。制作工程の後半ではエッジからエッジへと押し拡げることはできないかもしれませんが、いつでも必要に応じて絵具を足すこともできますし、湿らせた筆でエッジを軟くさせることもできます。粘りの出た絵具は、従来のアクリルのようにエッジが鋭くなることもなく、油絵具のように混ざり過ぎることもなく、いい結果が出ることがわかりました。

マーク:いよいよ最後になりました。新材料に関する情報共有の機会という観点から、私が言い忘れていると思うことがあれば、おっしゃってください。

ジェイミー:アーティストはこれを全く新しい画材として受け入れるべきだと思います。最後は皆が自問すべきでしょう。「最良の結果をもたらしてくれるのは何なのか」と。

ジェイミー・ウィリアムズ・グロスマン:ニューヨーク外光派画家協会 (NYPAP)の名誉会員である。ローワー・ハドソン・ヴァリー総会の諮問委員でもあり会長でもある。パトナム美術委員会では油絵とアクリル画を教えてきた。彼女の作品は、USAウィークエンド、ザ・ジャーナル・ニュース、プレインエアー・マガジン(2回)、パトナム郡公報、カッツキル地域ガイド、ポキプシー・ジャーナル、ベッドフォード・レコード・レビューで紹介された。
油絵とアクリル画が中心であるが、パステル、ガッシュ、水彩、カゼインなど、他の画材もよく使っている。肖像画、室内画、人物画から動物画、風景画、静物画に至るまで、日々の生活から主題を得た作品が多い。戸外の風景画(特に、ハドソン川)は最も得意な題材で、ニューヨーク州とコネティカット州の各所の画廊で作品を展示してきた。全米だけでなく、カナダとヨーロッパの個人蒐集家にも所蔵されている。

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