革新的な新しい5つの実験製品


スコット・ベネット

※[お断り] 以下の製品は米国での新製品です。国内販売は未定です。



「実験製品」とは何か?
ゴールデン実験製品は、一連の限定生産、特注材料であり、このような開発的素材で実験的制作や技術的な限界を打破しようと望む、プロのアーティストに提供されるものです。限定製品ですが、ゴールデン実験製品は、耐凍結安定性、保存性、耐久性、標準製品に対する接着試験、他のゴールデンブランド製品との一般的な混合性などの、基本的な要求事項をパスしています。これらの製品は、ファインアート用途に適しているものと考えますが、長期間の性能維持、生産ロットごとの均一性、安定供給性などを証明する必要があるため、当社では実験的なものと考えています。したがって、新しい材料はすべて、実際の作品に使用する前に必ず用途に合わせたテストを行ってください。

これらの5つの実験製品が革新的なのは、その画材としての性能と使用感が、既存製品にはわずかにみられただけであったり、望まれながら、さらには可能だとも思われなかった、そしてカスタムラボで新たに発見された原材料と魔術と・・・いや、OK、多くの試行錯誤と困難な作業と・・・そしてアクリル絵具とメディウムが可能にする限界を押し広げる革新的な製品として命を与え、そしてそのうちの一つでは、古代の描画材量を再現するのです。

今年、私たちは新しいシルバーポイントグラウンドと4つの新しいゲル、その特異な粘性と使用感から私たちは、「エキセントリック・ゲル」と呼んでいます。

シルバーポイントグラウンド
この下地材は、専用に準備された画面に様々な金属のスタイラス(尖筆、鉄筆)を使う伝統的な描画技術に、新たな展開をもたらします。

  熱プレス上質画用紙にシルバーポイントグラウンドを塗る。泡は、紙にグラウンドがしみ込むに従って消える。

自作の金属スタイラスは、独自の細密な線と描写を創り出す。
シルバーポイントはメタル・ポイントとも呼ばれ、その歴史は私たちが知っている鉛筆の最初のものが発明されたAD1560年にまで遡ります。最初のメタル・スタイラスの使用は、様々な商取引の記録であり、これがシルバーポイントの起源です。当初は、ワックスや粘土の板に記号が刻み込まれましたが、やがて特別に調整した獣皮、そして最終的に紙になりました。下地は多くの場合、焼成した骨、灰、石灰岩、その他さまざまな固形分の混合物でした。最も一般的なバインダー(結合剤)はおそらく唾液でした。メタル・ポイントは14~17世紀によく使われ、多くのルネサンス芸術家が使いました。

シルバーポイントグラウンドは、塗りやすく平滑になるよう、流動性の良い状態になっています。塗りやすいだけでなく、耐久性、耐光性のよい顔料とアクリル樹脂により、非常に正確な線描ができます。さらに、伝統的な下地素材よりも柔軟性を長期間、保ちます。

簡単な始め方は、質の良い刷毛(天然毛の刷毛がよい)をよく混ぜたシルバーポイントグラウンドに浸し、ホットプレスの絵画用紙に薄く塗ります。刷毛塗りすると、泡の痕に気付くでしょうが、それは製品が紙に浸透すると最終的には消え、薄く均一な被膜となります。十分に乾燥させてから、描画をしてください。

メタル・スタイラスは、銅、ブロンズ、ニッケル、金、銀など、ほとんどあらゆる金属片で簡単に作ることができます(線は、硬いほど軽くなりますが、変色する金属の線は最終的に変色することを覚えておく必要があります。銅は緑に変色します)。回転研磨具、ヤスリ、サンドペーパーなどの金属用具を使って、スタイラスの形を整えます。

シルバーポイントはその耐久性(金属によっては、腐食により変色しますが、その後は安定します)、比類ない繊細な線と細密性により現在でも好まれています。金属片を磨いて尖らせるのは、黒鉛や他の線描用具に比べるとずっと簡単です。

刻印や書法、線描などについては、興味深い歴史が多くあります。以下のリンクをご覧ください。

国内では三浦明範画伯がホームページにて詳細な解説をされています。メタルポイントに関する解説は非常に少なく、特に日本語のものは皆無に近いのでとても貴重な資料です。画伯のご了承を得てリンクを貼っています。

三浦明範 アートスクエア
http://www.koalanet.ne.jp/~miura-a/index.htm
 トップページの上段メニューから、「LIBRARY」をクリック
 移動後、左メニューの「■メタルポイント」をクリック

英文による解説は以下にあります。
http://silverpointweb.com/groundwork.html
http://en.wikipedia.org/wiki/Silverpoint

エキセントリック・ゲル・メディウム
(ロングとショート)
これらのゲルについて、試してみる以外に何といったらよいでしょうか。その性質を理解するためには、このテキストで使われている用語の定義から始めなければなりません(おそらく馴染みがないでしょう)。

レオロジー-応力を加わえた影響のもとでの、物質の変形と流動を扱う学問です。「ロング(long)」と「ショート(short)」がレオロジーの両極端の状態を表す語として使われます。たとえば、水はショートで、蜂蜜はロングです。

ダイラタント-応力によって粘度が上昇する物質を表します。ダイラタント効果の典型的なものは、コーンスターチと水の混合物で(ウーブレックとも呼ばれます)、叩いたり壁に投げつけると、直観的な予想に反する動作をします。

チキソトロピック-振ったり、混ぜたり、何らかの機械的な乱れを受けると粘度が低下し、静置すると元の状態に回復する物質を表します。

さて、これでたくさんの新しく素晴らしい用語が分かりましたから、ゲルに関する性質と扱いについて説明しましょう。それぞれのテクニックについては述べませんが、説明につれて様々な効果やテクニック、可能な使用法がはっきりするでしょう。ゲルにはいくつかの共通点があります。

それぞれに異なりますが、どれも自然にレベリングし(平滑になる)、滴る性質があるため、表面は滑らかになり、筆などの痕が残りにくくなります。乾燥後の表面は光沢があります。それ以外の多くの性質が、それぞれの違いになります。以下に挙げるように、順にロングストランドゲル(クモの巣)からスローレベリングゲルまであり、非常にロングの性質から非常にショートの性質に及びます。残る二つのゲルは相互関係があり、ロングとショートのレオロジーの組合せで、その中間の性質を持ちます。もう一つの共通点は、これらの新製品の使用法を考える場合に大切な性質ですが、これら4つのゲルの内、少なくとも3つについては、その多様な特性を明白にするには取扱のスピードが重要な要素になることです。

ロング・ストランド(クモの巣)・ゲル
このゲルメディウムは、そのロング・レオロジーという点でクリアタールゲルに近いものですが、もっとロングで粘りがあり長く細い糸状になるため、素早い動きで滴らせて「線描」に使うことができます。クリアタールゲルを素早く動かすと切れてしまいやすいのですが、ロング・ストランド・ゲルは長い糸を保って、速く動くほど細く(チキソトロピック)なります。クリアタールゲルよりも白く不透明な外観であり、乾燥後もそれほど透明にはなりません。このゲルで非常に細い線をたくさん作るには、パレット上に少量のゲルをとり、パレットナイフの平らな下側の面を素早く上下に動かしながらゲルに浸しつつ、同時に腕をパレット近くの低い位置に保ちながら前後に動かします。描画面をパレットの横に置けば、この動作をしながら移動することで、ゲルの糸を直接、画面に落とすことができます。素早く動かすほど、糸は細くなり、ある点からはシルクのクモの糸のようになります。乾燥が不十分なうちはガムのように粘りがあって弱いのですが、数日のうちには硬くなり粘着も小さくなります。



ロング/ショート・ゲル
まず、このゲルは、特に容器からゆっくり垂らしたり、パレットナイフでゆっくり引っ張ったりしたとき、セルフ・レベリング・ゲルやクリアタールゲルによく似ています。速い動きをすると、ゲルは固くなって切れることにすぐ気がつくでしょう。かき混ぜると粘度が上昇し(ダイラタント)、パレットナイフで素早く引っ張ると、シリーパテ(玩具)のように「切れ」ますが、このゲルの粘度はソフトゲルと同じくらいに、ずっと低いのです。このゲルが「ショート」あるいはダイラタントな特性を現す時、ギザギザに壊れた形が短時間、現れます。これはなめらかになってすぐに広がり、消えてしまいます。同時に、表面近くでゆっくりした動作をすれば、ゲルの長い糸を作ることもできます。クリアタールゲルやセルフ・レベリング・ゲルに比べると、より粘度は高く感じられます。



ダイラタント・ゲル

ロング/ショート・ゲルやダイラタント・ゲルに見られる多様な粘性からは、興味深いテクニックが考えられます。動きによって粘度が高くなり、やがて広がっていく性質を利用すれば、ゲルと絵具を混ぜ画面上に動かすことで、単純なレオロジー製品では不可能な画面や色彩パターンを創り出せます。このゲルは、ロング/ショート・ゲルよりも粘度が高くダイラタントです。ダイラタントの性質は、ゲルにパレットナイフなどの道具を入れて動かせばすぐに分るでしょう。動かすほどに、抵抗が増して粘度が高くなりますが、そのまま静置すると柔らかく平らになります。ロング/ショート・ゲルにも見られるこの性質は、このゲルでさらに顕著です。筆やパレットナイフで作業をすると固まって荒いテクスチャーができますが、そのまま置くと柔らかくなって平らに広がり、まるで融けてしまったようです。



スロー・レベリング・ゲル

他のゲルと比べ、このゲルはソフトゲルに似ていますが、レベリング性があり、非常にショートなレオロジー性であることが、容器からすくい上げた途端に分かります。この特にショートなレオロジーは、前述の二つのゲルとは違い、シリーパテのようには「切れ」ません。塗ったりした場合、痕が最初は残りますがすぐに融け込んでいきます。最終的には、その痕がわずかに残るだけになり、ゲルは融けたソフトアイスクリームのようになります。その粘性は、ゼラチンを加えたヨーグルトに似ていて、ロング・ストランド・ゲルとは対照的です。


もしこのゲルを三つに分けて、それぞれをフルイド・アクリリックスで着色し互いに重ねていった場合、三つの色は互いに溶けあって、均一で緩やかなカーブを描く面に三つの色の鋭い境界線を持つ、なだらかなドーム状の絵具の塊となります。ヘビーボディーのアクリリックスを混ぜて筆やパレットナイフで塗った場合、乾燥後は、融けたワックスのような素晴らしい表面と外観となります。


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