未来の再発明:
GOLDENデジタルグラウンドとUVLS入りゲルトップコート
 (本製品は、国内では未発売です。予めご了承願います)

by サラ・サンズ

はじめに
印刷は重量のない画像であり、絵画はキャンバスに筆で触れて描画したものですが、その歴史は長く複雑に絡み合っています。20世紀、写真と絵画は全く異なる線に沿って発展し、独自の素材と方法によりそれぞれの居場所に安住していました。手製と複製は別の道に進む必要があると思われていました。しかし、デジタル印刷の出現により、私たちは、交差点というよりもむしろ、一見異なる媒体が実に豊かで興味深い方法で集結する合流点に立っています。さらに時代が進めば、このような伝統をまとめた別の歴史について書く、またとない機会に恵まれるでしょう。その取り組みの中でアクリル絵具には重要な役割があると思います。アクリル絵具はこうした変化と反発し合うのではなく、多種多様な画期性と創造性のホスト役になれる唯一の素材です。あるいは、少なくとも、ゴールデン社がデジタルグラウンドの新製品3種類とUV保護効果のあるゲルトップコート2種類を発売する準備を進めている現在は、そうです。これらの製品は、デジタル画像を市販の印刷媒体がもつ制限から文字通り開放しつつ、PhotoshopRのバーチャルな筆致についに重量を与え、アクリルのゲル、メディウム、絵具でできた豊かな物質界に入り込ませることもできます。これらの素材の機能に関する基本事項、画像の質を向上させる方法、作品に使用する方法について以下にひと通り説明します。

インクジェット対応コーティング(受容層)
デジタル印刷媒体のカタログにざっと目を通すと、世界はアーティストのための選択肢に溢れていると思うかもしれません。光沢のある写真からデジタルアートペーパーまで、また透明なOHPフィルムから印刷可能なキャンバスまで揃う中、アーティストはこれ以上何を望むことができるでしょうか?ところが、アーティストは常にもっと多くを望んでいるのです。
荒目の綿布にモデリングペーストを塗った上に、さらにコーティングした場合としていない場合のインクジェット印刷の例
彼らが望むのは、多くの選択肢だけではなく、ニーズを満たす質感と面を作るための高度なコントロールと自由、さらに、標準A4サイズに入る作品だけでなく、視覚が要求するあらゆる大きさと形です。

印刷用や水彩画用の市販の紙も含めて、平坦で多孔質な面であればほとんど何でもインクジェットプリンタに通すことができますが、印刷した画像は光沢がなかったり、ぼやけていたり、かすんでいたりして、満足できる出来ばえではないのが普通です。ほとんどの場合、その原因は支持体の吸湿力が高すぎることであり、インクをカプセル化する方法も、インクが外側に拡散することや紙面に浸透しすぎることを防ぐ方法もありません。逆に、アセテート、プラスティック、金属など、非多孔質の素材の場合、インクはすぐに溜まって流れ、プリンタの機構とその後の取り扱いによってすぐに汚れてしまいます。このような問題に対処し、色彩と細部を希望通りに美しく仕上げるには、インクの液滴が支持体によって何らかの形で鮮明に、かつ然るべき場所に維持される必要があります。おそらくこれがインクジェット対応コーティングの最大の機能であり、メリットであるといえるでしょう。コーティングは、紙面へのインクの定着をコントロールすることにより、ドットゲイン1と色の濃度に大きな影響を与えます。さらに、空気退色2 の原因となりうる汚染物質からある程度インクを保護することもできます。

インクジェット対応コーティングは、大まかに二種類、すなわち多孔質と膨張質に分類することができます。多孔質のコーティングでは、フィルムは無数の固体粒子でできているため、粒子と粒子のすき間にインクを素早く取り込み、その過程でインクは粒子の表面に広がりコーティングします。そのため、印刷はすぐに乾燥して見えるため、ほとんどのデスクトップ型インクジェットプリンタで使いやすく、耐水性に優れるという傾向があります。短所としては、大気汚染物質に対する保護が弱いため、さらに保護を強化することなく展示すれば、印刷の耐用年数に悪影響を及ぼす可能性があります。他方、膨張質のコーティングは、水に敏感なさまざまなポリマーでできており、水性インクが表面に接触すると膨張します。インクはポリマーのコーティングに浸透し、基本的にカプセル化され、周辺空気に触れないよう密封されます。印刷物にワニスを塗ったり、トップコートをかけたり、ガラスで覆わない場合、これが今度はインクを汚染物質から保護します。最後に、膨張質のコーティングは透明性が高いため、一般に色を鮮明にし、黒を濃くします。しかし、短所としては、乾燥にかなり時間がかかるため、修正を加えなければデスクトップ型プリンタには向いていないことが多いです。

GOLDENデジタルグラウンド
デジタルグラウンドクリアは、ゲルのスキン(皮状に乾かしたゲル)など通常はインクをはじくような吸収性に乏しい滑らかな面に、インクの食いつきのよい「透明」な下地をつくる。
これまで、インクジェット対応コーティングはアーティストにとって入手が容易ではありませんでしたし、一般的な画材の一部でもありませんでした。しかし、ゴールデン社が3種類のデジタルグラウンドを導入したことで状況は一変しました。これらの下地材は、印刷、写真、絵画に関する言葉の意味を著しく拡大する可能性があるだけでなく、予めコーティングされた紙という限られた平面からデジタル画像を開放します。

保存に関するさまざまな問題点
新たな画材や方法と同様、長期保存の問題に関する疑問がすぐに思い浮かびます。アーティストは、将来も良い状態で存続させたい作品に使用する場合、当然使用前にその持続性を知りたいと思うでしょう。しかし、全く新しい分野が生まれると、米国材料試験協会(ASTM)のような認知された団体を通じて耐久性と機能の適切な規格が策定されるには時間がかかります。残念ながら、その合意は未だなされておらず、多くの疑問は疑問のまま残っています。確かに、アクリル絵具と比較し、アクリル絵具業界用に策定された方法や規格と同じものを使ってテストすると、これらの素材は基準に達しない可能性が高く、耐久性があるという評価は得られないでしょう。しかし、最新のデジタル手法だけでなく、伝統的な写真手法にも同じことが言えます。ただ、そのいずれもプロのアーティストにとって今後も重要であることは否めません。したがって、これらの問題にはっきりした根拠のある答えを出すことができれば一番よいのですが、実際には長期間にわたるさまざまな環境のもとでの、これらの素材の耐久性を評価する確立した方法が全くないのが現状です。とはいえ、応用デジタル支持体の分野では、これらの素材が現在の技術で可能なベストであり、間違いなく著しい進歩であることは確かです。当社ではこれからも認定された規格を提唱し、これらの素材や類似の素材に影響を及ぼしうる長期的問題の理解に重点を置いた独自のテストを実施し続けるでしょう。

3種類のグラウンド
デジタルグラウンドホワイト(マット)は多孔質で不透明な白い下地材で、多くの面に使うことができます。他の多孔質のインクジェットコーティングと同様、速乾性があるため、「ピザホイール」やイジェクションローラーがついたままの未修正のデスクトップ型プリンタ用には最も安全な選択肢です。さまざまな素材に最も問題なく使えるものを探している初心者には理想的な出発点ともいえます。

デジタルグラウンドクリアー(グロス)は、ほとんどの吸湿性の高い面に使うことのできるツヤのある透明な下地材ですので、下の素材が透けて見えます。他の膨張型インクジェット対応コーティングと同様、印刷の乾燥に時間がかかるため、イジェクションローラーや「ピザホイール」のついたデスクトップ型プリンタで使う場合は問題が起こることがあります。紙のように非常に多孔質の面に使う場合は滅多に問題は起こりませんが、比較的多孔質ではない支持体にデジタルグラウンドクリアーを塗付したものをデスクトップ型プリンタで使うことは、プリンタの「ピザホイール」やイジェクションローラーを取り外さない限り、お勧めしません。しかし、プリンタの修正はユーザーのリスクであり、それによってプリンタの性能に悪影響が及ぼされることや、プリンタの保証が無効になることもあります。

非多孔質面用デジタルグラウンドは、上記のクリアーに似ていますが、アルミニウムやプラスティックなどの多孔質ではない面への接着力と機能を高めるために最適化されています。プリンタの「ピザホイール」やイジェクションローラーを取り外さない限り、非多孔質面用デジタルグラウンドをデスクトップ型プリンタで使うことはお勧めしません。上にも述べたように、プリンタの修正はユーザーのリスクであり、それによってプリンタの性能に悪影響が及ぼされることや、プリンタの保証が無効になることもあります。


支持体
使用可能な支持体のタイプはほとんど無限にあります。注意すべき主な要素は、支持体の吸湿性、厚み、壊れやすさ、大きさ、形状です。これらの要素はそれぞれ、下地剤の効果や、どの下地剤が最も優れた効果を発揮するかに影響を及ぼす可能性があります。下記事項は、非常に一般的な使用指針に基づき、素材を3つの主なグループに分類したものです。

多孔質/吸湿性
GOLDENデジタルグラウンドは、比較的平らな支持体であればどのようなものでも、印刷可能にする:アクリル絵具のスキンや金属、特別な紙、その他。
このグループには、キャンバス、さまざまな繊維、さらに壁紙や皮や未塗装ベニヤ板などの変わった素材だけでなく、水彩紙、印刷用紙、和紙、その他特製の紙など、さまざまな素材が含まれます。デジタルグラウンド(クリアー)やデジタルグラウンドホワイト(マット)を選ぶとよいでしょう。吸湿性と計画している技法によって、デジタルグラウンドを2回以上塗ることをお勧めします。さらに、これらの素材の中には、GAC 100などの透明のアクリルメディウムやジェッソで最初にコーティングする方がよいものもあります。

非多孔質/非吸湿性
これには、アルミニウム、銅、金属箔、大理石、そしてMylarR、LexanR、PlexiglasR、アセテートなどのプラスティックの素材が含まれます。非多孔質面用デジタルグラウンドかデジタルグラウンドホワイト(マット)を使うことができます。面の汚れを完全に拭き取り、油分を取り除いてください。通常、デジタルグラウンドを2回以上塗ると最も良い結果が得られます。

アクリルスキンと描画面
この素材グループには、思いつくものすべてが含まれます。アクリル絵具、ゲル、ペースト、メディウムで描画または創作した面ならば、3つのデジタルグラウンドのどれかでコーティングした後印刷することができます。こうすると、単にアクリル絵画の上に印刷できるだけではなく、さまざまなアクリル素材に印刷したものを重ねたり、コラージュにしたり、さらに発展させて他の作品に統合したりする可能性が生まれます。透明コーティングには、デジタルグラウンドクリアー(グロス)または非多孔質面用デジタルグラウンドのどちらも使うことができ、通常、2回以上塗ると最も良い結果が出ます。デジタルグラウンドホワイト(マット)は、不透明な白い層の上に印刷したいときに有効です。

UVLS入りゲルトップコート
上記のデジタルグラウンドとともに、ゴールデン社は、2種類の全く新しいUVLS入りゲルトップコートもグロスとセミグロスで発売する予定です。これらのゲルを使って風合いを加え、絵具や他の素材で作業する前に透明な膜を作り、ツヤを加減し、紫外線光フィルターや退色保護安定剤のメリットも提供しつつ除去不能な水性トップコートを提供することができます。広範なテストにおいて、厚みが250ミクロンのゲルトップコートはMSAワニスと同程度のUV保護効果を発揮し、周囲湿度が概ね50%未満、気温が華氏140度(摂氏60度)の条件で、QUV耐候性試験機に1,600時間暴露したテストにおいて、不堅牢染料と顔料ベースのインクでさえ保全することができました。UV積算量は、典型的な室内ギャラリー(照明をつけた状態)で100年以上の間に浴びると思われる紫外線の量とおおまかな相関関係があります。さらに、ゲルトップコートは、全体的な耐水性を改善し、空気への暴露を制限し、耐久性を高めるのを助けます。総合的に、最終層として使う場合、これらのゲルは作業に使用しているあらゆるデジタル媒体の耐久性と耐光性を大きく高めるはずです。ただし、ガラスで覆わずに作品を展示する場合、クリーニングや将来の修復を容易に行うために、ゲルトップコートに加えて当社の除去可能なワニスのいずれかを塗付することを強くお勧めします。

最後に、新製品のゲルトップコートは、もともとデジタルプリント用のトップコートとして開発されたものですが、当社の他のゲルやメディウムやアクリル絵具と完全に併用可能ですので、それらの特性が必要な場合はいつでも使うことができます。たとえば、これらを使ってゲルスキン(皮膜)やイメージゲルトランスファーやデコパージュコラージュの要素を作り、絵具に混ぜたり、または透明度を高めたり、ウェット技法のための層を作って作業をすることもできますし、単に透明の下地としてその上から作業をすることもできます。ただ、これらのゲルに他の素材を混ぜ合わせた場合は常に、下地層に与える保護レベルも下がることになることを忘れないでください。さらに、保護すべき層の上にゲルを塗付しなければ最高の保護効果が得られません。不堅牢素材をゲルに混ぜ合わせても、UV保護力の効果は十分に得られないでしょう。

感水性 (水に対する弱さ)
デジタルグラウンドで作成したものも含めて、デジタルプリントで作業をする場合は必ず、使用するさまざまな素材の潜在的な感水性を知っておく必要があります。たとえば、デジタルグラウンドクリアー(グロス)も、非多孔質面用デジタルグラウンドも、水に敏感で、湿気があると再活性化しやすい性質があります。したがって、アクリル絵具やメディウム類を含む、様々な水性素材を使ってこれらの下地材の上で作業をする前に、アーカイバルワニス(グロス)(国内未発売)で印刷面を保護、または「固定」することを強くお勧めします。そうしなければ、インクが流れたり、画像がにじんだりする可能性があります。しかし、デジタルグラウンドホワイト(マット)は、耐水性に優れていますので、完全に乾燥すると問題は起こらないはずです。それでも、いつも通り、試し塗りをしてください。


注意事項:
ゲルトップコートは、薄めなければ、多くの場合、印刷を損なうことなくデジタルグラウンドクリアー(グロス)と非多孔質面用デジタルグラウンドの上に直接塗付することができますが、この方法に影響を及ぼす因子はたくさんあります。例えば、乾燥時間、インクシステム、下地材とゲルコーティングの厚み、表面の乱れ具合などです。そのため、大切なものに塗付する前には、必ずテストプリントを使って試し塗りをすることは不可欠です。

ピザホイール、パススルー、ヘッドハイト
ピザホイールと聞いてイタリア料理店の設計の話だと一瞬でも思ったなら、何であれ、使用予定の印刷機器について勉強しましょう。一般的に、ジクレー印刷用に製造されたワイドフォーマットのプリンタであれば、こうした新素材を使うことができるほとんどの技術や支持体に対してほぼ問題ないでしょう。その場合でも、高性能プリンタの能力であるさまざまな仕様や調整を熟知しておくことは重要です。多くのアーティストにとって作業に使う主な印刷機は、標準的な家庭用デスクトップ型プリンタか、もしかするとより高性能のフォトプリンタだと思われますので、認識すべき最も基本的な問題に対処することは重要です。厚みがある、または吸湿性がない支持体で作業を計画する場合、どうしてもインクの乾燥に時間がかかりますので、その場合は特に重要です。

ピザホイール
ほとんどのデスクトップ型プリンタには、印刷物の排出時に印刷面に接触するローラー、すなわち「ピザホイール」があるのがわかります。インクがまだ湿っている場合、この機構によって画像がこすれて不鮮明になる現象や、印刷面に筋が走っているように見える現象が起こるでしょう。ホイールの取り外しはとても簡単で、そのやり方を掲載しているインターネットのサイトもたくさんありますが、取り外すと、受けられるはずの保証が無効になります。プリンタを修正せず、ピザホイールを取り外さないことを選択する場合、最も安全で簡単な解決方法は、デジタルグラウンドホワイト(マット)しか使わないことです。ホワイト(マット)はほぼ瞬時に乾燥させるため、インクの筋の問題はほとんど起こりません。さらに、デジタルグラウンドクリアー(グロス)と非多孔質面用デジタルグラウンドは紙のように吸湿性の高い面に塗付する場合にのみ効果を発揮することができます。

パススルー
ほとんどの場合、手造りの支持体で作業をするには、プリンタがまっすぐなパススルー(経路)を通って印刷媒体を取り込むことができることを確認する必要があるでしょう。これは単に、直線経路に沿って素材をまっすぐに「通過させる」能力を意味します。通常、封筒や厚みのあるものなど、直線経路があればきれいに印刷できるものを印刷するときに使います。追加情報についてはプリンタのマニュアルなどをご参照ください。

ヘッドハイト
ヘッドハイトは、プリントヘッドと紙との空間ですので、支持体の厚みの許容限度を制限します。残念ながら、ほとんどのデスクトップ型プリンタでは、これを調整するためにできることはほとんどありません。しかし、可能であるとわかれば、最も高い間隔にセットするのが一般的にはベストです。いずれにせよ、厚みのある素材で作業をする場合、紙詰まりやプリントヘッドへのダメージが生じないようにするために、最大間隔がどのくらいなのかを知ることが重要です。この情報は、通常、プリンタのマニュアルや仕様書に記載されています。あるいは、メーカーにご相談ください。

論より証拠
最後に、デジタルグラウンドの話とそこから広がる可能性を最もよく伝えるのは画像です。以下にコーティングをした面としていない面の印刷を比較する一連の画像があります。支持体は、12号綿布のキャンバス、ファイバーペースト(国内未発売商品)、アルミニウム、アブソーベントプライマー、フルイド・チタンバフなどです。見てわかるように、未処理の面は、程度の差こそあれ、細部や彩度や明度が失われていることがわかります。特にクリアータールゲルのような比較的吸湿性の低い面では、不具合が顕著な場合もあり、インクは文字通り紙面を這い、水溜りのようになり、画像が判読不能な状態になります。アブソーベントプライマーなど、吸収性の面では、ロスはわずかでわかりにくいように見えますが、それでも画像は沈み込み、精彩を欠くようです。ここに示す例はすべて、ゴールデン社の技術サービス部が最近行った塗付テストで使用したテストサンプルからのものです。印刷に使ったのは標準的なEPSONインクカートリッジを搭載したEPSON 1520インクジェットプリンタです。スポンジ刷毛でデジタルグラウンドを塗付しました。コーティングの回数と使用した支持体は記録されています。プリンタのプロパティでは、用紙の種類を「360 dpi Ink-jet Paper」に、印刷の質を「普通」に設定しました。当然ながら、実際に使う印刷機器、インクシステム、プリンタ設定、画像の種類によって、結果は異なるでしょう

コーティングの有無とインクジェット印刷
以下のサンプルはすべて、ゴールデン・技術サポート部において最近行われた塗付試験のサンプルである。
印刷には、EPSON1520インクジェットプリンターとEPSON標準インクを用いた。デジタルグラウンドの塗付には、スポンジ刷毛を用いた。
塗付回数と基底材を記載している。プリンターのプロパティーで、"360dpi インクジェット紙"、印刷品質は"ノーマル"を指定している。
詳細は、goldenpaints.com/mixmoremediaを参照。

 綿キャンバス#12

ゴールデンジェッソ
二回塗り

ゴールデンジェッソ一回塗り
デジタルグラウンドホワイト(マット)
二回塗り


 GOLDENファイバーペースト

そのまま

デジタルグラウンドホワイト(マット)
二回塗り


アルミニウム

そのまま

非多孔質面用デジタルグラウンド
二回塗り


GOLDENアブソーベントプライマー

そのまま

デジタルグラウンドホワイト(マット)
二回塗り


GOLDENクリアタールゲル

そのまま

非多孔質面用デジタルグラウンド
二回塗り


GOLDENフルイド チタンバフ

そのまま

デジタルグラウンドクリア(グロス)
二回塗り



画像の転写
新製品のデジタルグラウンドからすぐ得られる明らかなメリットは、イメージゲルトランスファー(転写)として知られる長い工程が完全に再定義されることです。この技法では、まずトナーベースのコピーをアクリルのメディウムやゲルでコーティングし、乾燥後、水に浸して紙を取り除きます。画像はトナーベースでなければならなかったので、使用できる画像のコントロールとタイプは厳しく制限されました。しかし、今では、インクジェットの画像は、デジタルグラウンドのいずれかでコーティングしたゲルまたは絵具の「皮(薄膜)」に直接簡単に印刷することができ、それによって作業は大きく簡素化され、生み出すことのできる効果も大きくなります。印刷後、皮をコラージュの要素として、または塗り重ねの開始点として簡単に使うことができます。さらに、UVLS入りゲルトップコートを使って皮を作り、画像を裏面に印刷する場合、皮の画像面を下にするとゲルのUV保護の効果を十分に受けることと、画像を保護層で覆うことが一度にできます。

上級テクニック
上級技術デジタルグラウンドを使ってさまざまな支持体にコーティングする以外に、多層の印刷や描画技法、他のさまざまなメディウムとコラージュの要素を最終作品に組み込んだものなど、上級テクニックはたくさんあります。Digital AtelierRのアーティストであるKarin Schminke、Dorothy Simpson Krause、Bonny Pierce Lhotkaは、こうした技法の開発において有益な役割を果たし、デジタル印刷のための新たな下地剤の使用における革新者として認められています。共著『デジタルアートスタジオ』3では、多くの技法が説明されています。当社のデジタルグラウンドは、その技法のほとんどに簡単に適用できます。その件に関して特にご質問がある場合は技術サポート部のスタッフにお電話ください。

最終保護
すべての印刷や写真工程と同様、デジタル媒体は、感水性、紫外線暴露や大気汚染物質による退色、表面の摩擦、汚れなどに脆弱です。作品を枠に入れ、ガラスで覆う予定でない限り、何らかの形で最終的な保護をすることを強くお勧めします。そうしなければ、印刷はすぐだめになり、寿命もかなり短くなる可能性があります。これを達成するために、いくつかの選択肢があります。

ゴールデン・ゲルトップコート
作品の最終層の一部として使用するか、最終的な保護のためにのみ塗付するかを問わず、ゲルトップコートは、環境要素の直接作用や、水や薬品に対する過敏性のリスクを下げつつ、実質的なUV保護効果を提供します。しかし、水性であるため、デジタルグラウンドクリアー(グロス)や非多孔質面用デジタルグラウンドでコーティングしたものも含めて、水に敏感な素材や支持体に塗付するときは注意が必要です。必ず試し塗りをしてください。にじみや色浮きが起こったら、アーカイバルかMSAワニスのどちらかをまず表面に塗って保護するなどの対策を講じましょう。また、ゲルトップコートでコーティングした作品は、取り扱い時や出荷時に生じる表面の損傷は言うまでもなく、時が経つにつれ塵埃が溜まりやすいことに注意しましょう。最もよい方法で実践し、クリーニングや保存に関する長期的な問題に対処するために、最終層に除去可能なワニスのいずれかを塗付することをお勧めします。

 1600時間UV暴露:保護なし  1600時間UV暴露:UVLSによる保護あり
*インクジェット印刷:促進耐光性試験1600時間。
*1600時間暴露は、典型的なギャラリーの照明条件で100年以上に相当する。
印刷条件:EPSON StylusR Photo R2400 printer, UltraChromeTM K3 Inks, Ultra Premium Presentation Matte Paper

当社のワニスはすべて、UV保護効果があり、感水性を低くし、クリーニングと保存のために除去可能であるというメリットがあります。上にも述べたように、保護を強化するためにゲルトップコートと併用することもできます。しかし、トップコートの代わりに使う場合、可能であれば必ず、除去不能な遮断コートを最初に塗っておくのがベストです。印刷面に直接ワニスを塗る場合、まずグロスで表面をシールし、その後希望するツヤに切り替えることをお勧めします。

新製品のデジタルグラウンドとUVLS入りゲルトップコートに関する追加情報については当社のサイトのMix More MediaTM というセクションをご覧ください。印刷に関するヒントや、塗付する用紙や、追加参考資料を記載しています。新製品のデジタルグラウンドとゲルトップコートは2008年3月に発売予定です(米国のみ)。
goldenpaints.com/mixmoremedia

1 「ドットゲイン」とは、印刷時にインクのドットのサイズが大きくなることをさす印刷用語です。
2 「空気退色(エアフェイド)」とは、オゾンや大気汚染物質に曝されることによって絵具が退色することをさします。
3 Schminke, Karin, Dorothy Simpson Krause, Bonny Pierce Lhotka, Digital Art Studio: インクジェット印刷と伝統的な画材を組み合わせる技術Watson-Guptill, 2004

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