Golden History

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©Eric Grohe “Liberty Remembers

オハイオ州ビュサイラス(Bucyrus)

 Ericは、自分で作って建物の側面にとりつけた金属製コーニス(軒蛇腹)を塗装して、正面のだまし絵と連続して見えるようにしている。

 

 

リサーチフォーカス

MURAL PAINTING

 

壁画

 公共の場にある大きな芸術作品を目にすることはあっても、壁画プロジェクトを始めるときに作家がどんな課題に取り組んでいるのかを考えることはまずないでしょう。壁画や壁面の活用法には様々なタイプがあり、それぞれに独自の挑戦が行われています。壁画作家は適切な方法を実行し、プロジェクトの成否に影響する多方面の要因を考えて壁画の完成度を高めようとします。壁画が屋内か屋外かということは作家の方法論に影響する主要な因子です。屋外壁画の場合は、日光や風雨にさらされることを考え、それにしたがって下地を準備し保護しなければなりません。屋内壁画の場合には室内化学物質や湿気、接触や摩擦にさらされることを考慮に入れなければなりません。

使用する画材もまた屋内か屋外かによって変わるでしょう。色によって、耐光性にすぐれ屋外で多量の光にさらされる用途に適したものもあれば、退色しやすいために屋内用途にしか使えないものもあります。専門家グレードのワニスは多くの壁画に対し最良の保護材になるでしょうが、病院や学校などの屋内仕様では代替案を研究する必要があるでしょう。

大半の壁画は規模が大きいので費用もどんどんふくれ上がってしまいます。いかにして費用対効果を上げるか、あるいは壁画の質を下げることなく費用を抑えるか、その方法を知ることが大切です。また予期しない費用が後で発生しないように必要な資材量について現実的になることも大切です。

さらに考慮しなければならないのが時間です。直感で描く作家や限られた時間で描かなければならない場合は、素早く動き回れるような適切な下準備が特に大切です。あるいは広範囲の調査や準備、多くの団体の認可などが必要なプロジェクトではスケジュールに何ヶ月もの計画時間をとる必要があります。

気候は描画作業に大きく影響します。気候の変化は材料の乾燥性に影響しますし、壁画はその地方特有の天候や極端な温度にさらされることになります。個々のプロジェクトに固有の気候条件を知ることは適切な作業時期と使用材料を選ぶ上で役に立ちます。

多くの人に見てもらえる環境の中に芸術作品を創りだすことは壁画の醍醐味の一つです。これは同時に壁画作家には大きな責任があることも暗示しています。壁画は環境を向上させることが目的であり、環境と対立したり悪化させてはなりません。ふさわしいものでなかった場合には「芸術作品」はまたたく間に目障りなものになりかねません。今日、多くのスポンサーは作家に対し一定期間(大体10年から20年)の壁画保証を要求しています。こうした協定は法的な拘束力をもつことがあり、その場合、作家は期間内に起こる問題に責任を負うことになります。慎重に計画し準備を周到に行い高品質の材料を使用することで、完成壁画は作家の意図を反映したインパクトを持つことになるでしょう。

 

アクリル製品を壁画に使用する

ゴールデン社は壁画用途に関するアクリル製品の試験や研究を行ってきました。以下にゴールデンアクリリックスを使用した壁画についての下地準備や材料の選択、保護仕上げの方法について推奨事項をあげています。アクリルを使った壁画プロジェクトに関する詳しい情報は当社のウェブサイトをご覧ください:http://www.goldenpaints.com/technicaldata/murals.php

 

下地

下地の選択は一般に壁画の場所によって決まります。建物の外部(木材、セメント、石造り、金属など)で作業をする場合あるいは屋内であっても、大切なのは描き始める前にどのように下地を準備するかを知っておくことです。下地が違えばそれに合わせた技術や材料が必要になります。適切に行わないと壁画の寿命も短くなるでしょう。

一般にどの場合も下地を最下層まで取ってしまう方がよいのです。すでにある古い塗装を信頼することは壁画作品を危険にさらす可能性があります。その塗装がこれから使おうとしている材料と合うかどうかを判断するのも難しいことです。

もし古い塗装表面に塗り重ねようというのなら、その塗装のタイプと物理的な状態をよく調べる必要があります。塗装が水性塗料(水性エマルジョン塗料)ならばアクリル絵具が十分に接着する可能性は高いでしょう。高光沢油性塗料(または何かわからない塗料)の場合は、接着させるために表面を荒らす(または剥離する)ことが必要です。もし塗装が劣化しているなら剥離(サンドブラスト、高圧洗浄、スクレーパーなど)するのが一番です。どのような塗装面であれ、たとえ新しく塗った表面でも、アクリルでの描画に先立って石ケン水で塗装面を洗い汚れやススを落とすことが肝心です。

古い光沢塗装は家庭用クレンザー(磨き粉洗剤)を使えば表面の洗浄と荒らすことが一度にできます。クレンザーは清水で完全に洗い流してください。

藻やカビは家庭用漂白剤:水=1:3で混ぜた溶液を使って手作業でこすり取らなければなりません。

注意:漂白剤には、アンモニアやアンモニア入り洗剤を混ぜないこと! 保護めがねと保護手袋を着用して洗浄すること。ブラシでこすり取ったあと、そのまま10分間放置し溶液の効果が出たころに清水で洗い流す。

表面にひびや割れ目がある場合、目止めし滑らかにする方法は下地自体の性質によって変わります。地元の建築用塗料取り扱い店に何が一番適した材料かを相談するとよいでしょう。

表面を洗浄し終わったら、プライマー塗装をすることで絵具の接着性がよくなります。プライマーを選択する上で大切なことは水性塗料を塗り重ねられるかどうかです。これでそのプライマーが水性アクリル絵具に適した表面であることがはっきりします。

制作しようとしている表面に最良のプライマーを決めるには、地元の建築塗料店に相談するとよいでしょう。塗料店は様々な建築資材の塗装について豊富な経験があり、壁画を描こうとしている下地に特に適したプライマーをもっているでしょう。また地域の環境問題にも配慮したものを推薦してくれるはずです。建築用や塗替え塗料は価格競争の激しい商品ですから、同種の商品なら値段の高いものほど性能がよいことになります。

レンガやコンクリート、その他の石材などに塗る場合は、一般塗料店で販売されている専用の浸透性シーラーを塗ることをお勧めします。

場合によっては壁面に直接描くのではなく、パネル(木材やアルミ、ファイバーグラスなど)に描画することを考える必要があります。パネルを使う理由は色々あります。時には既存の下地面では作業が非常に困難なことがあるでしょう。またパネル描画ならばスタジオで作業できて便利ですし、足場やその他の手段がない場合の代替案にもなります。ハシゴの上で一日中作業するよりはずっと楽ですし、子供たちや大人数のグループと作業する場合、パネルは安全で汚れにくい方法です。パネルで作業する場合、作家は状況に応じた正しいパネルを選ぶことに気をつけなければなりません。パネル下地の準備も使用する材料によって変わります。(11頁、壁画クイックガイド参照)

 

絵具の選択

アクリルは屋外用として最も耐久性があり入手しやすい絵具で、すぐれた耐光・耐候性のゆえに多くの壁画作家が使っています。石材やセメント表面に対してもすぐれた接着性があります。油性塗料や油絵具ではコンクリートのアルカリがアルキドや油性塗膜を破壊してしまうので適していません。エチルシリケート塗料はレンガやコンクリート面に対し耐久性のあるすぐれた接着性を発揮しますが、時間や費用がかかる上に作業知識も必要とされます。溶剤系エナメル塗料は耐久性はよいのですが、使用顔料については一般に塗料メーカーは高級専門家用アクリル絵具のような考え方はしていません。

ゴールデン社の商品には壁画に適したものがいくつかあります。どの絵具を使うかはそれぞれの作家のスタイルと描画する下地によります。ゴールデンヘビーボディーやマット、MSA、フルーイド、エアブラシカラー(後述)はどれも壁画に使えます。作家は表面のテクスチュアが制作に影響するかどうか判断しなければなりません。例えばレンガのようなテクスチュアのある面の場合、ヘビーボディーカラーをそのまま使ったのでは滑らかな線を描くのは困難です。この場合はGAC-200(これは同時に塗膜の硬さと耐久性を上げる)で薄めるか、フルーイドカラーに変更した方がよいでしょう。(P.3)粘度が低くサラサラしている絵具はレンガの割れ目に入り込みます。フルーイドとヘビーボディーを混ぜると家庭用塗料と同じくらいの粘度になり、大きな面積を塗りつぶすのに適しています。(絵具の選択は下段のチャートを参照)

退色を最小限にするためには色の選択が特に大切です。ゴールデンの顔料識別チャート(www.goldenpaints.com/pigment.htm)には全色の相対的な耐光性と耐久性のランクが載っています。耐久年数を最大限にするには、耐光性ランクがIで耐久性が堅牢(Excellent)な色だけを使ってください。

注意:カドミウムカラーは屋外ではすぐに退色するので使わないでください。ウルトラマリンブルーとコバルトブルーは屋外では濃色で使わないでください。ただし他の色と混色したりゴールデンゲルやメディウムで薄めれば屋外耐久性はよくなります。

ゴールデンアクリリックスは伝統的なイーゼル絵画(屋内展示が目的)に適した商品になっていますがアクリル樹脂は壁画用途にはやや柔らかいので、硬い目のアクリルメディウムで調整して耐久性を高める必要があります。GAC-200を混ぜると顔料濃度が低くなって樹脂が多くなりますから屋外での耐久年数が伸びます。これはワニスで上塗りしない場合は特に重要です。GAC-200を1に対し絵具を2〜4混ぜることをお勧めします。

屋外でのスプレー塗装の場合は、フルーイドアクリリックスをエアブラシメディウムで薄めたものが耐久性の面で一番です。ゴールデンエアブラシカラーも使えますが、ゴールデンエアブラシ透明エクステンダーと混ぜ、さらに保護ワニスをかけないと耐久性がよくなりません。GAC-200は絵具の粘度が上がりスプレーしにくくなるので適していません。もう一つの方法は、GAC-500:ゴールデンエアブラシ透明エクステンダーを21で混ぜた透明遮断コートをエアブラシカラーの上にスプレーしてトップコートにすることです。

 

仕上げコート

仕上げのトップコートは屋外環境にさらされる壁画の耐久性を増します。仕上がった壁画に対する保護策として壁画作家にはいくつかの選択肢があります。一つは種々の溶剤で再剥離できる専門家用のワニスを塗ることで、落書き除去や一般的なメンテナンスが可能になります。ゴールデンUVLS(紫外線吸収剤)入りMSAワニスがそれに当たります。詳細については後述します。

もう一つの壁画保護策は市販の落書き防止塗料を使うことです。これには、お湯ではがせる保護ワックスコートから2液型溶剤系ウレタンコートまで様々なものがあります。これらは耐薬品性に優れるので塗装を傷つけることなく比較的簡単に落書きを除去できます。また耐候性にも優れるのでメンテナンスも他の塗装ほどには必要ありません。注意:当社は全ての商品を評価したわけではありません。これらの塗装は除去できないので、失敗しないためには製造メーカーからできるだけ情報を収集したり、こうした製品に経験のある壁画グループに相談して自分の目的に最適の塗料を選んでください。

以下に示すのはゴールデンUVLS入りMSAワニスを使った方法です。

2ステップで行ってください。まず恒久的な遮断コートを塗り、次に剥離可能なゴールデンMSAワニスを塗ります。遮断コートの目的は描画面を剥離可能なワニスから物理的に遮断することです(これによりワニスはより容易に、また描画面を傷つけることなく剥離できるようになります)。同時に遮断コートは厚いアクリル層を形成し保護性能と耐久性を高め、描画面を均一にします。

 

遮断コートの塗装

どの遮断コートを使うかは塗装の方法によります。表面のテクスチュアについても考慮しなければなりません。テクスチュアのある面に遮断コートやワニスを刷毛で塗ると泡が立ってしまいます。スプレー塗装の場合はGAC500と透明エアブラシエクステンダーを21で、刷毛塗りの場合はソフトゲルグロスと水を2:1で混ぜるとよいでしょう。

 

壁画のためのゴールデンアクリリックスの選び方

ゴールデン絵具

屋内用

屋外用

ヘビーボディーアクリリックス

マット(ヘビーボディー)アクリリックス

フルーイドアクリリックス

エアブラシアクリリックス

○ VB

○ VB

MSA(ミネラルスピリットアクリリックス)

ゴールデングレーズ

○ V

 

ゴールデンペースト絵具

B

 

○:推奨

V:ワニスがけが必要

B:メディウムを混ぜることが必要

 

© C.Webster, Barnstormers,

 A Hand up for Cameron

 3.56m×5.59m2000

© C.Webster, Barnstormers,

 Cameron” 2.64m×2.29m

 納屋の木版画 2000

ゲスト壁画作家:エキスパートたち

壁画研究を進める過程で私たちは多くの壁画専門家たちと話し合い彼らの経験から技術的な洞察を得ました。それぞれの作家に下地の性質、材料、工程、壁画が地域社会に及ぼす影響についてなど、一連の質問をしました。ここに書かれた内容は多くの人々から提供されたものです。彼らは色々なスタイルで、色々な天候のもとで、それぞれに異なる材料を使って制作しています。総体的に、壁画作家には多くの可能性があるという印象を受けました。刷毛塗りであろうとスプレーであろうと、彫像であれ彫り物であれ、建物に描くのであれパネルであれ、一人作業あるいはグループ作業であれ、彼らの作品は全て壁画の範疇に入るものです。

作家の方々がこうした情報を提供してくださったことに感謝します。以下に述べている材料や技術の組み合わせは作家たちが自分の作品プロジェクトを満足できるものにするために選んだものを反映しています。ただしゴールデン社はここに書かれた材料や技術が個々のプロジェクトに最適なものであると証明するものではありません。

 

ワニスの塗装

遮断コートを塗装し完全に乾燥(1−2日、ただし十分な性能を得るには1週間以内)させたらゴールデンミネラルスピリットアクリル(MSA)ワニスを塗ります。UVLS入りMSAワニスはすぐれた保護ワニスで、強く耐久性のある表面となって耐湿気性・耐汚染性を向上させます。UV安定化(UVLS)は太陽光線の紫外線による劣化を抑え耐久年数を伸ばします。このワニスはミネラルスピリットやターペンタイン、芳香族系溶剤などで剥離除去できる性質があるので、落書き除去やメンテナンスの点で便利です。スプレー塗装を推奨します(1〜3回塗り)。

注:アクリル製品の接着性をよくするには塗膜の呼吸性が大切です。壁画が石材の壁面全体にわたる場合、MSAワニスを薄く塗ることをお勧めします。これにより屋内結露や蒸発性溶剤、気体などの透過が可能になります(作家によっては壁画周辺に無塗装の部分を残して下地の呼吸性を保つことを勧めています)。そうしないと塗膜と下地の接着不良が起こる可能性があります。

屋外にはポリマーワニスではなくMSAワニスだけを使ってください。ポリマーワニスはMSAのような屋外耐久性はありません。

 

 

 

Eric Alan Grohe

Eric Grohe Murals & Design

壁画専門家として40年に及ぶキャリアをもつEric Groheは大規模絵画と建築壁画の作家として全米で認められ、顧客も全米に及ぶ。1994年と1998年にAIA(アメリカ建築者協会)からデザイン賞を受け、全米Signs of the Times壁画コンテストでは2年続けて最優秀賞を受賞した。彼の顧客にはオハイオ州、American Hop美術館、Miller 醸造社、Sierra Nevada 醸造社、Nordstorm社などがある(表紙写真)。

Eric Groheが壁画プロジェクトを実行する場合のプロセスは大体において長期的で詳細なものです。彼のトロンプルイユ(だまし絵)効果は非常に緻密で完成まではかなり長い期間が必要なのです。彼は大企業や政府関連団体のために大規模プロジェクトを実施してきました。顧客の性質上、大抵は高価な材料を用いますし長い計画期間も費用に含まれています。

Ericは大体において一人で制作しますが大規模プロジェクトでは8人もの助手を雇います。過去には壁画制作地近郊の美術学校から成績優秀な生徒を雇ったこともあります。

彼が現在手がけているのはMiller 醸造社の内装壁画です。この絵は稼動中の醗酵室に設置される予定です。20世紀の変わり目に操業している醸造所を描いたもので部屋が他の部屋につながり広がっているようなだまし絵になっています。このプロジェクトのために4.88m×3.05mのアルミパネルをたくさん用意しました。このパネルに決定したのは、暑くて湿気の高い醸造環境にどのような下地材なら耐えるかを考えた結果です。既存の壁面は以前にエポキシ系材料で塗装されたものでした。(P.5)作業しやすくなるところまで壁の表面を削り取るよりもむしろ、その時間と費用をデザインとアルミパネル購入に充てたのです。

アルミパネルの準備は、まず石ケンと水で洗ってから表面を酸洗い(エッチング)して絵具がよく付くようにザラつきを与えます。アルミの酸洗いには2通りの方法があります。一つはオービタルサンダーで表面を物理的に荒らす方法(防塵マスクを着用すること)。もう一つは化学的に酸洗いする方法で、Triangle Coatings社のPre-etch Acid(前処理用酸溶液)Yellow Resin(松やに)の混合液を塗付します。最後にTriangle Coatings社のプライマーMultiblock Vinyl Primer Gessoでパネルを塗装し白い下地面をつくります。

Ericは、このプロジェクトでは油性塗料を使っていますが屋内の場合はアクリルを使うこともあります。壁画が非常に厳しい条件に置かれる場合は描画用エナメルも使いますが、エナメルの作り出すステッカーのような効果も気に入っています。

屋外プロジェクトにおける施工直後のコンクリートに関し、Ericは豊富な経験をもっています。コンクリート表面の準備は水洗、酸洗い(エッチング)、下塗りの3ステップで行います。普通は建設業者を雇って表面の高圧洗浄、清掃、付着物の除去を行います。続いて塩酸で酸洗いを行って表面を粗くします。そしてプライマーを下塗りして描画の準備を終えます。

Ericは石材やセメント表面にはKeim ミネラルペイント(ケイ酸カリウムを用いたフレスコ風の無機塗料)をよく使います。この種の塗料は実際に下地に浸透して反応し珪化(silicify)して飛躍的に耐久性を高めます。「この塗料は高価ですが、私の顧客にとって諸経費の中の材料費というのは大した問題ではないのです。壁画を長持ちさせるのに費用を使いたくないということなら私の提供する事業には関心がないということでしょう」とEricは語ります。

直射日光のあたらない北向きの壁に描く場合やKeimが使えない場合には、屋外用でもアクリル絵具を使います。これまでは専門家用絵具と建築用塗料を混ぜて使っていましたが、今後はゴールデンアクリリックスだけを使う予定です。「現段階では安価で疑わしい材料を使うリスクを犯すことはできません。」

保護コートにはゴールデン技術サポートチームから学んだ2ステッププロセスを採用しました。ワニスのつや消し効果がほしかった彼はそのための試験を行い、次のような方法を開発しました。まずゴールデンソフトゲルメディウムセミグロスを「保護」コートとして一回塗りします。次にゴールデンMSAワニス・マットをミネラルスピリット(スタッダード:Stoddards Mineral Spirits)で希釈して一回塗りします。Ericは薄め液としてはStoddardsが一番だといいます。Keimの「呼吸性」表面には何も塗りません。(注:ゴールデンとしては、このような塗装の場合はソフトゲルグロスとMSAワニス・グロスだけを使うようお勧めします。)

コンクリートについてEricはある問題を経験したことがあったといいます。業者を表面洗浄のために雇いコンクリート面に塗られた離型剤(コンクリート離型剤はコンクリートから型枠をはずしやすくする)をすべて除去するはずでした。しかし建物の隅の小さな部分が一箇所、十分に洗浄されていなかったのです。下地色を塗ったのは他の業者でしたが離型剤が残っていることに気づきませんでした。最終的にEricが養生テープを壁画面からはがしたとき、塗膜の一部がはがれてしまったのです。はがれた塗膜の裏側には明らかに離型剤がついていましたが、これは画面が時とともに剥離してくることを意味しています。Ericは最初に戻って壁画を補修しなければなりませんでした。業者を使うときは仕事が正しく行われたかどうか確かめるのはとても難しいと彼は警告しています。

すでに塗装されている壁面を使う場合、一番下の面まではがしてしまうのが一番だと彼はいいます。今でも思い出すのは、まさに最初の屋外壁画の仕事で新しく塗装された木造建築で起こった問題です。3年後にはEric曰く「ポテトチップ」のように壁画全面が剥離してしまったのです。その原因は壁画を描いた下地塗装の劣化でした。あるいは、事情を知らないために作家たちが立ち去った後で壁画に上塗りをしてしまう人たちがいることにも注意する必要があるといいます。時として上塗りが壁画と合わないために大きな問題となることがあるのです。

Ericは時間と費用の約10%を計画と準備に使います。技術者や建設業者に相談し壁画や建物がどのくらいもつものか判断します。また建築士や公園設計士とも協力して既存の、あるいは今後建てられる建築物との調和を考えます。地域計画を含むプロジェクトではいつも計画や認可取得に時間がかかります。

典型的な壁画の断面図−表面からみえるより多くのものがある。

 

上から:

 ワニス

遮断コート

描画層

プライマー

壁面/下地

 

地域の壁画プロジェクトを手掛ける場合、彼は郷土史を広く調査したり作業を開始する前にその地をしばらく訪れたりします。壁画は環境に「属する」べきだとの思いが強いのです。悪い例として壁画そのものはきれいだが周囲と全くそぐわないことがあります。「そのような壁画には本当に失望させられるし、周囲の誰にとっても良くないことです。よくできた壁画は地域社会を再生し活気を与えるもので、壁画事業全般にとってもすばらしいものなのです。どのような作家の壁画にしろ手を抜いた作品や環境と調和していない作品は見る者をがっかりさせるだけでなく、自分の町にも壁画を、と考えている潜在的な顧客をも遠ざけてしまいます。」

 

Chuck Webster & David Ellis  Barnstormers

Barnstormersは大規模共同壁画を制作するニューヨーク市の作家集団である。グループでは、様々な作家が制作した壁画が時間とともに変化する様子を撮影した2本の映画を作っている。彼らはニューヨークや日本、キューバで、DJやバンドの入ったライブミュージックのための壁画を制作するというパフォーマンスと共同作業を通じて継続的な実験を行っている。

Barnstormersは壁画における共同作業や自然発生的な創造性、公共的側面に強い関心があります。Barnstormersの創設者David Ellisや他の約20名の作家たちは1999年以来毎年、ノースカロライナ州のCameronに出張します。そこで彼らは斜陽になったタバコ産業の残骸である多数の荒廃した納屋に壁画を制作しました。Barnstormersは総勢約45名ですが、一斉にCameronを訪れるのは20名ばかりです。

壁画の寿命は大きな関心事ではありません、というのも壁画よりも納屋のほうが先に倒壊してしまうと思われるからです。彼らにとっては写真や映画の撮影が重要なのであり、それがグループのメンバーにより制作された創造的な壁画の保存方法なのです。

納屋壁画プロジェクトはコンセプト中心の作品なので、作家にとって下地はいつも限定されたもので選択の余地はあまりありません。納屋の多くは木造ですが、金属やシンダーブロック(石炭がらを混ぜた軽量コンクリートブロック)などにも出くわしたとEllisは話しています。木造納屋の多くはアスファルトの屋根板に似たタール紙で覆われ、これは納屋でタバコを乾燥させるための防湿シートの役割をしていました。地元では、壁画のためにタール紙をはがして下地を作ってくれる人もいましたが、Ellisはタール紙が下地として優れていることを見出しました。この紙は壁画の裏側から出てくる湿気を完全に遮断しますし、吸収性がなく絵具が付着しやすい粗さになっていました。タール紙の下にある木材は長年にわたって湿気から守られているので完全に乾燥しています。これらの納屋に最初に塗装したとき、大半の塗料が吸い込まれてしまい塗装が見えなくなるほどでした。6.1m×6.1mの納屋壁面に適切な下地を作るだけで、1938リットルもの建築用塗料が必要でした。

Barnstormersではプロジェクトに対する報酬はないので、コストは重要です。彼らの使う材料は主に塗料メーカーや販売店から寄贈されたものです。ですから、なにが入手できるかによって使う材料も大きく変わります。建築用塗料を多く使いますが、大切な部分やポイントの色を描くときには彼ら自らゴールデンや他社のアクリル絵具を持ってきます。以前には保護仕上げ材には寄贈された油性ワニスをスプレー塗装していました。

メンバーの一人、Chuck Websterは木材下地の壁画で新機軸を考案しました。乾燥ポプラ材でできた5.18m×4.27mの納屋の壁面サイディングに彫刻して木版画を作ったのです。このプロジェクトでは建築用塗料をプライマーに使いましたが、木版画の下地はシェラックとアルコールの5050混合溶液で準備するように勧めています。

納屋壁面に下書きするため、彼はオーバーヘッドプロジェクター(OHP)を使ってスケッチを壁面上に拡大投影しました(作業は夜に行わなければなりません)。そして絵具で壁面に投影像をトレースしました。プロジェクト完成には6日しか余裕がなかったのでOHPを使った拡大投影は作業のスピードアップに大いに役立ちました。

Chuckは普通の彫刻道具も使いましたが、小型軽量のチェーンソーも使いました(保護具を着用すること)。彫刻が終わったあとは壁画(版画)印刷面に710リットルの赤色塗料をロール塗りし、仲間の助けをかりて2.74m×2.29mの紙に版画を刷ることができました。

壁画(版画)を保護するためにはつや有り外部用ウレタントップコートをロール塗装しました。これは最小限しか下地を隠さないので効果的でしたし、無垢の木地につや有り塗装の効果に彼も大いに満足しました。

出張では雨にたたられたことが2〜3度ありますが描画作業は非常に困難でとてもやっかいなものになりました。出張はいつも1〜2週間しかありませんのでとにかく作業をやりとおしました。タープやテントを張ってその下で作業をすることもあったのです。雨の場合は、油性塗料を使う方が好都合でした。アクリルや水性塗料は流れたり垂れたりしやすかったのです。

(P.7) ノースカロライナ州の湿気も壁画の作業方法に影響します。湿度が非常に高いのでアクリルも油性塗料も通常より乾燥に時間がかかるのです。Barnstormersは強行スケジュールで作業しているので塗料が速く乾くことは大切です。アクリルはこの点でより有利であることがわかりましたが、彼らは油性塗料に関してもJapan Drier(金属ドライヤー=乾燥剤の多く入ったワニス)を加えることで乾燥を早めました。時には様々な塗料とJapan Drierを混ぜたためにひび割れたり他の偶発的な効果がでたりしました。彼らは自然発生的な現象を楽しむ方なのでこれは問題ではありませんでしたが、もっと思い通りの効果を狙っている作家にとってはこのような手段には注意が必要です。

彼らは今後も毎年ノースカロライナ州Cameronへの出張旅行を続ける予定ですが、映画撮影や国際活動も続けるつもりです。グループはさらに多くの町や近郊地区、あるいは個人の納屋所有者で壁画プロジェクト主催に興味をしめしてくれる人を探してます。

 

Lenna Kay Weinstein

Mural Masters of Colorado

Mural Masters of Coloradoはフレスコや薄肉彫り(bas-relief、レリーフ)を含む壁画や壁面彫刻に特化した美術デザイン制作会社である。顧客には、劇場やTVプロデューサー、レストラン、ショールームその他多くの個人宅などがある。Lennaの作品はBetter Homes and GardensColorado Homes and Lifestyles MagazineDenver Living Magazineなどの雑誌で特集されている。

 

右写真:Lenna Kay Weinstein

 テクスチュアをつけ彫刻を施したアーチ

 

Lenna Weinsteinの壁画はもっぱらホームデコレーション市場を対象としていますが、単なる壁の塗装の域を超えています。彼女の作品は、何層ものテクスチュアや薄肉彫りのような立体的な面を作り出す点でユニークです。本物のような石壁やレンガ、大理石、丸太、木目、タイルをドライウォール(乾式壁:ボードなどに塗装した壁)や木の表面に描いて、周囲の環境全体を形作ります。壁画に加えて、スイッチ板やメダル、額縁、家具などの彫り物や擬似塗装製品も制作しています。

 

Lennaは現代の建材にクラシックな、あるいはアンティークな効果を作り出すことを専門としています。たいていドライウォールに直接描き込んで下地を風雅に本物らしく仕上げます。つや消しや半つや塗料で塗ってあるドライウォールでは何の準備もいらないそうですが、つや有り塗装の場合は軽くサンドペーパーをかけてゴールデンアクリルグレージングリキッド(AGL)を一回塗りしてから作業にかかります。

レンガや石のようなテクスチュアのある表面を作る場合は、プライマー塗装のあとに漆喰やゴールデンモデリングペーストを塗り重ねます。漆喰はひび割れが起こるといけないので薄く塗り重ねるように、と強調しています。漆喰でテクスチュアを作った上には大体においてモデリングペーストを一回塗りしてから描画します。これらの2つの材料を混ぜることは勧めていません。

装飾を付け加えるには、彫刻テクニックを使って立体的なフルーツや葉、花などを壁画面に作ります。ほとんどの場合、彫刻のように見えるまでモデリングペーストを塗り重ねて盛り上げ、模造のフルーツや葉、花などを形作ります。時には実際に作品上に彫刻することもあり、あるいは2つのテクニックを組み合わせることもあります。ついで立体物をジェッソや家庭用プライマーで下塗りしてからメタリック塗料で塗ったり、石のように仕上げたりします。

大きな壁画を制作する場合はまずゴールデンの絵具を混ぜて色を作り、建築用塗料をその色に合わせます。大半の面は建築用塗料を使いますが、効果を高めたい部分にはゴールデンアクリリックスを使います。大きなプロジェクトでは、絵具に加えて35缶もの塗料を使います。彼女は自分の色にAGLを混ぜて使うので、AGLもたくさん使います。

AGLは内装壁の仕上げにも使われます。AGLをローラーで塗りスポンジで軽くたたいて模様をつけます。ほとんど屋内作業ですので溶剤系塗料、特に強い臭気のものは使わないようにしています。

コロラドの空気はとても乾燥しているので作業は難しいといいます。漆喰や彫刻した作品は急速に乾くとひび割れやすいし、描画効果をだすには塗装がすぐに乾いては困るのです。このような乾燥条件を補う方法として彼女が見つけたのが、自分の色にAGLを混ぜて乾燥を遅らせることです。それでも乾燥した環境の問題を避けるためには作業上の注意が必要なのです。

家庭にしろビジネス環境にしろ、大きさにも関わりなく、作品にダメージを引き起こさないための準備は広範囲にわたります。彼女は作業をする場所をいつもビデオに撮って、もとからあった問題が自分の責任にならないように配慮しています。漆喰で作業する場合は、たくさんのマスキングテープやハトロン紙を使います。いつも最初に床にポリシートを敷きその上に厚手の養生布をかけます。

Lennaは現在、生協の自立生活施設(身障者や老人のための施設)や老人ホーム、画材店、YMCAその他の壁画プログラムを計画中です。

 

Mark Switlik Switlik Murals

Mark Switlik30年にわたり全米でトロンプルイユの壁画をデザインし描画しており、最近は国際的な仕事も引き受けるようになった。彼の作品は、あざやかな澄んだ色合いと深い味わいが特徴でありエアブラシと筆塗りを組み合わせて制作される。顧客には、ナショナルリーグのアリゾナダイヤモンドバックス、Arizona Science Center(アリゾナ科学センター)、Phoenix Arts Commission(フェニックス芸術委員会)、バスケットボールのフェニックスサンズなどがある。

 

右写真:Mark Switlik 1992年頃の製作中の作品

フェニックスサンズのための壁画

 

アリゾナ州フェニックスに拠点をおく壁画作家Mark Switlik30年に及ぶキャリアの間、公共物件の仕事を探すかたわら大企業や民間企業のために壁画を制作してきました。プロジェクトは大きなものが多く、規模に応じて2〜8人の助手を雇います。

彼はスプレーを使うことが多いのですが、それは彼がいうところの空気遠近法を表現するにはスプレーが一番適していると考えるからです。「大気は光と相互に作用する小さな粒子が作り上げるのです。雲も凝集した水滴が空に浮遊しているものです。エアブラシも大きなスプレー器具も同じ絵具の粒子によって画面を覆いリアルな表現を創り出すのです。」

筆のような道具は視覚的なテクスチュアを残すので、彼は筆を使って色を混ぜます。時にはこのテクスチュアが必要なのです。エアブラシによる滑らかな表現と筆による視覚的なテクスチュアの並列効果がだまし絵に必要なコントラストを最大限に引き出すのです。

Markはもっぱらコンクリートやレンガに制作します。下地の準備には業者を雇いサンドブラストによる表面処理を行います。そして表面を洗浄しプライマーを塗装します。洗浄とプライマー塗装は処理を確実にするためにすべて彼自身で行います。細かい点で最も重要なことは小さなひび割れ(構造的な問題ではない)に塗料店で販売されている弾性コーキング剤を使うことだといいます。

大きな面にはアクリル100%の建築用塗料を使い、細かな部分には専門家用絵具を使います。彼が使うゴールデンエアブラシカラーはそのままスプレーできるように配合されています。水で薄めて手軽にスプレーできるゴールデンフルーイドアクリリックスも使います。大きな画面では750リットルもの塗料や絵具を使います。

工業用のアクリル塗料はどれも容易にスプレーができるが適切なシンナーで薄めなければならないということです。メディウムを絵具と混ぜて、スプレー可能なグレーズ絵具を作ることもできます。メディウムを、必要量のシンナーと一緒に使うことで絵具は強化され色の耐久性年数が伸びるのです。

仕上げには何層かの中間層をグレーズで塗り重ねます。最終の保護膜はいつもゴールデンUVLS入りMSAワニスをスプレー塗装します。

彼は自分の作業する環境とそれがどのようにプロジェクトに影響するかを考えます。アリゾナは非常に暑いところなので、早朝5時から作業を始めるか、さもなくば日陰で作業するようにしています。寒くなって気温が5℃以下になると水性絵具や塗料は使えません。もし夏の終わりにプロジェクトを開始したなら、完成は次の春になってしまうだろうと忠告します。これは作家にとって費用がかさむことになってしまいます。

湿気と風は、スプレー器具で壁画制作をする作家が考慮しなければならない2つの環境要因です。湿気は水性塗料では問題になりませんが、溶剤系塗料では塗膜の中に水分が閉じ込められてしまう問題があります。この湿気はたいてい塗膜のフクレとなって外気に放出されます。フクレというのは太陽光線に熱せられて閉じ込められた水分が蒸気となって膨張し塗膜表面を突き破ってしまう現象です。

風も大きな要因として対処しなければならないと彼はいいます。風はスプレーパターンに影響しコントロールを難しくします。またマスキング材料も使いにくくなります。屋外ではスプレーの絵具粒子は風で遠くへ運ばれてしまいますし、屋内では冷暖房換気装置が建物内部のそこら中にスプレー飛散粒子を撒き散らします。塗料が速乾性ならばあまり問題ではありませんが、乾燥が遅い場合は車や家具にこびり付いてしまいます。これは溶剤系のアルキドやウレタンでよく起こることです。しかしフェニックスのようなところでは車体は65℃を超えてしまうので、乾燥した水性アクリルでさえもその上に落ちるとこびり付くことがあります。今日の自動車用塗料の多くはアクリルまたはアクリルウレタンであり高温では分子が架橋する可能性がありますので、こびり付いた飛沫を落とすには車体塗装の表面をサンドペーパーなどで研摩しなければならなくなります。これを避けるためには計画を十分に練り、損害賠償保険に入ることです。

Markの場合、壁画計画には2週間から4ヶ月をかけます。一旦、契約を受けるとデザインにとりかかります。デザインが承認されると契約に従ってプロジェクト計画を作ります。

ひな型のデザインは、壁画と同じ手段(つまり筆やスプレー)で行います。ひな型にスプレーを使った場合は壁画には大型のHVLP(低圧高吐出量)技術を用いたスプレーガンを使います。HVLPのタービンモーターはスプレー飛散が少なく電力も少なくてすみ、普通のエアブラシ動力源のエアコンプレッサーよりも軽いのです。

プロジェクトの資金を得るのは一番難しいことだと彼は語ります。資金の出所によってプロジェクトの完成は多かれ少なかれ込み入ったものになります。今では、税金が資金源の場合はデザインを始める前に近隣の意見を聞かなければならないことを多くの芸術委員会が認識しています。プロジェクトを受け入れてもらうには地域住民の好みを考慮しなければなりません。企業がスポンサーの場合も地域社会の利益を考慮する必要はありますが、大方はそれほど厳しい状況ではありません。

現在、MarkはタイのプーケットにあるHilltop Hotelのためにいくつかの壁画を制作しています。雨季がくる前に屋外作業をすべて終えるべく大急ぎで進めています。このプロジェクトが終了したあとも2つの壁画が控えており、一つはアリゾナ州フェニックス、もう一つはカリフォルニア州パソローブルでの仕事です。またある大学の歴史壁画の制作も計画中です。

 

Susan Togut

Childrens Murals

Susan Togutが世代を超えたグループと制作している壁画は彼女が透明性や重ね塗り、光の変化や季節の変化を追及するうちに自然に発展したものである。Susanは、学校や病院、地域グループなどのためのボランティアや公共指定のプロジェクトに携わってきた。彼女はニューヨーク州ハドソンヴァリー地区に住んでいる。

 

右写真:Susan Togut, Healing Arbor,

 6.7m×3.66m2000

 

Susan Togutは子供や年配者あるいは重病患者などと壁画制作をするようになったパブリックアーティストです。多くの人々と協同して壁画プロジェクトを学校や地域グループ、病院などのために制作してきました。彼女は下地と材料に特に気を使わなければなりませんが、それは一緒に作業する人々のタイプや壁画が置かれる場所の特異性などがあるからです。

下地は一緒に働くグループに大きく左右されます。屋内でも屋外でも、彼女は壁面に直接描くより木製パネルに描く方を好みます。これにはいくつかの理由があります。例えば学校の屋内壁画を描く場合、子供に壁に直接描かせるのは大変でむずかしいのです。子供たちの多くは壁の上の方に手が届きませんしハシゴを使うのは危険です。一度にたくさんの子供や材料がせまい通路にひしめき合うと学校内の通行のさまたげにもなります。

Susanが木製パネルを好むもうひとつの理由は、多くの人々と作業する際の混乱状態を収拾しやすいからです(彼女は500人もの人々と一つの壁画を制作したことがあります)。小さなグループに分けてそれぞれに個別のテーマと場所を与えてやると、彼らはエネルギーを集中するようになるので作業の調整がずっとやりやすくなるのです。

屋内壁画では1.22m×2.44m、厚さ1.25cmMDO合板(中密度オーバーレイ合板)パネル14枚を使ったことがあります。屋外壁画では、同じ大きさで厚さ1.9cmMDO合板を24枚も使いました。プライマーはSherwin Williams社の高耐久性水性塗料を使います。屋内の場合はパネル前面を2回塗ります。屋外の場合は裏表両面を2回ずつ塗り、劣化しやすい端部の木口部分はさらに数回塗り込みます。また彼女がいうにはパネルの四方を枠で囲むと耐久年数も伸びるということです。

 

Susanはゴールデンヘビーボディーアクリリックスを木製パネルに使い、メタリックやイリデッセント、インターフェアランスなどを含む広範囲の色で描きます。

屋外壁画の保護仕上げにはゴールデン社の2ステップ処方を行います。まずゴールデンソフトゲルグロスで遮断コートを一回塗り、次にMSAワニスのグロスまたはサテンを2回塗ります。屋内の場合は、非常に人通りが多いとか直射日光があたると場所でない限り上塗りはしません。

木製パネルの場合に起こりうる問題について彼女からの忠告があります。壁画の成功には絵の大きさが重要です。特に実際の壁面で作業していない場合やその場所から離れたところで作業している場合、適切な大きさに制作するのはやっかいです。作家は作業をはじめる前に絵の大きさに十分に注意する必要があります。

屋外でSusanが使うもう一つの下地材は、レキサン(Lexan:国内では旭化成)という耐衝撃性にすぐれたポリカーボネートです。彼女は、ニューヨークのキングストンにある”Healing Arbor(P.9写真)のような、ステンドグラスに似せたインスタレーションと環境アートを壁画の要素を使って創り出します。レキサンの透明性は屋外では非常に効果的でほとんどの屋外条件に耐える材料だといいます。

レキサンの効果を活かすには透明性が重要なので前処理は不要です。SusanはゴールデンフルーイドアクリリックスとGAC-200を混ぜてこのプラスチックへの接着をよくし、GAC-500と混ぜて粘着感を減らし耐久性を上げます。トップコートにはMSAワニスグロスを最低2回は塗って、レキサンのガラスのような質感をさらに高めます。

Susanはレキサンに塗る絵具をフルーイドに決めるまでに様々な商品を試しました。子供やガン患者と作業するのに毒性のある材料は使いたくないのです。このため、性能には優れていても毒性のために彼女自身も使いたくないような材料は除かれました。あるいはきれいに仕上がる染料絵具も使いましたが、顔料系ではないために屋外での退色が早く、適していません。しかしゴールデンフルーイドは安全で耐久性があり、なおかつ彼女の望む効果を得ることができたのです。

壁画プロジェクトの計画にはプロジェクトの種類や参加する人数により、1ヶ月から6ヶ月もかかるといいます。学校や地域グループと作業する場合は参加者全員にあうので時間が取られます。それぞれのプロジェクトではテーマを統一し多様な年齢層(3歳から100歳にまで及ぶ)をどうまとめるかを考えなければなりません。「いつも挑戦です。どうやってみんなをまとめ混乱なくプロジェクトに参加させるのか考えるのです。だからこそ計画が重要なのです。」

多くのプロジェクトはその場所に特化したもので、特に「ステンドグラス」インスタレーションは太陽の位置と季節の変化との相互作用です。新しいプロジェクトを始めるときはいつでもその場所に適したアドバイスをゴールデン技術サポート部に求めます。これはプロジェクトの寿命を伸ばすのに大いに役立っていると感じており、他の作家にも描画をはじめる前には十分に研究するようにといっています。

 

ゴールデンではアクリルを使った屋外壁画の研究を続けています。みなさんの経験をお聞かせください。またこの研究に対する情報をお待ちしています。www.goldenpaints.com

 

壁画制作クィックリファレンスガイド

 

壁画面:

無垢木材

クリーニング−なし

下塗り−節目やヤニすじはサンディングして部分的に下塗りする。

水性塗料に適したプライマーを塗ること。

描画−ゴールデンアクリル絵具を使用。

遮断コートとワニスの塗装−

遮断コートを塗り、十分に乾燥させる(最低48時間)。

ゴールデンMSAワニス*または相当品を塗る。

塗装木材

クリーニング−はがれかけの塗膜はすべて剥離。高圧洗浄。

非水系塗装面はサンダーなどで粗面にする。

下塗り−節目のヤニがないかよく見る。必要に応じてサンディングし部分的に下塗りする。

水性塗料に適したプライマーを塗ること。

描画−ゴールデンアクリル絵具を使用。

遮断コートとワニスの塗装−

遮断コートを塗り、十分に乾燥させる(最低48時間)。

ゴールデンMSAワニス*または相当品を塗る。

無垢石材

クリーニング−なし

下塗り−石材用浸透性シーラーを塗装。水性エマルジョンプライマーを塗装。

描画−ゴールデンアクリル絵具を使用。

遮断コートとワニスの塗装−

遮断コートを塗り、十分に乾燥させる(最低48時間)。

ゴールデンMSAワニス*または相当品を塗る。

塗装石材面

クリーニング−はがれかけの塗膜はすべて剥離。高圧洗浄。

非水系塗装面はサンダーなどで粗面にする。

下塗り−石材用浸透性シーラーを塗装。水性エマルジョンプライマーを塗装。

描画−ゴールデンアクリル絵具を使用。

遮断コートとワニスの塗装−

遮断コートを塗り、十分に乾燥させる(最低48時間)。

ゴールデンMSAワニス*または相当品を塗る。

無垢金属

クリーニング−表面の油分、ホコリ、溶剤などを取り除く。表面をサンダー等で粗面にする。

下塗り−アルキドまたは水性エマルジョンプライマーを塗装。

描画−ゴールデンアクリル絵具を使用。

遮断コートとワニスの塗装−

遮断コートを塗り、十分に乾燥させる(最低48時間)。

ゴールデンMSAワニス*または相当品を塗る。

塗装金属面

クリーニング−はがれかけの塗膜、さび、油分、ホコリなどをすべて取り除く。表面をサンダーなどで粗面にする。

下塗り−アルキドまたは水性エマルジョンプライマーを塗装。

描画−ゴールデンアクリル絵具を使用。

遮断コートとワニスの塗装−

遮断コートを塗り、十分に乾燥させる(最低48時間)。

ゴールデンMSAワニス*または相当品を塗る。

ファイバーグラス

クリーニング−なし

下塗り−ゴールデンアクリルジェッソ=3にGAC-200=1で混合し塗装。

描画−ゴールデンアクリル絵具を使用。

遮断コートとワニスの塗装−

遮断コートを塗り、十分に乾燥させる(最低48時間)。

ゴールデンMSAワニス*または相当品を塗る。

(屋外の場合は、MSAワニス・ハードを使用。)

*ワニス塗装の詳細はゴールデンワニスインフォメーションシートをご覧ください。

www.goldenpaints.com/varns.htm

 

屋外壁画に推奨されるゴールデンアクリリックスの色

 

ゴールデンアクリリックスには最も耐久性のある顔料を使用していますが、本リストには屋外壁画に特に適した顔料をあげています。遮断コートとMSAワニスの塗装を強くお勧めします。

 

堅牢な顔料−屋外でもっとも安定しているゴールデンの色。

 

Burnt Sienna

Burnt Umber Light

Carbon Black

Cobalt Blue

Cobalt Green

Cobalt Teal

Cobalt Titanate Green

Cobalt Turquois

Graphite Gray

Mars Black

Mars Yellow

Orange Oxide

Phthalo Blue GS

Phthalo Blue RS

Phthalo Green BS

Phthalo Green YS

Pyrrole Orange

Pyrrole Red

Pyrrole Red Light

Raw Sienna

Raw Umber

Red Oxide

Titan Buff

Titanate Yellow

Transparent Red Iron Oxide

Transparent Yellow Iron Oxide

Titanium White

Violet Oxide

Yellow Ochre

Yellow Oxide

Zinc White

 

良好な顔料−安定しているがうす塗りやグレーズは変色の恐れがあるので避けた方がよい色。

 

Cerulean Blue

Cerulean Blue Deep

Turquois (Phthalo)

Diarylide Yellow

Hansa Yellow Opaque

Quinacridone Red

 

本記事の内容はゴールデン社の研究およびテストに基づいており記載製品の使用方法についての基本的な理解を深めるために提供されています。しかし芸術作品創造のための手法・材料・条件はさまざまですので、当社の製品が利用者一人一人の意図にあうものかどうかの確認はできません。つきましては、それぞれの使用方法については個々のプロジェクトにあうかどうかを必ずご自身でお確かめください。ここに掲載された情報は当社で確認しておりますが、商品性および特定目的への適合性について明示的または暗示的保証をするものではありません。また製品使用によって起こり得る(間接的・派生的・その他の)いかなる損害に対しても一切責任は負わないものとします。

©2002 Golden Artist Colors, Inc.

© 2004 GOLDEN Artist Colors, Inc.