クラックルペースト


クラックルペーストは、硬化するとひび割れのような深い亀裂が生じるように開発された粘度の高い不透明な割れやすい材料です。亀裂模様の大きさと範囲は、塗付の厚みや乾燥中の環境条件(温度、相対湿度、空気の流れ)など、多くの要因によって異なります。

この製品は膜が形成される過程において生じる欠陥を利用したものであり、その欠陥の出方は不確実です。そのため亀裂のでき方もさまざまで、予測不能な部分もあります。当社はこの製品の使用中に予想されることについて最新かつ包括的な知識を提供していますが、最終的にはアーティストが自らテストを行うことで、より再現的で適切な仕上がりが得られるでしょう。


製品の説明

クラックルペーストはスチレンとアクリルの共重合体エマルジョンをベースにした水性製品で、乾燥塗膜は長期的には黄変する可能性があります。

この製品は従来のフィラーの代わりになる密度の低い白色の固形物を含みます。特定の固形物と樹脂を独自比率で配合することにより、「制御された欠陥」が発生し、その結果、亀裂が発生しやすくなります。粘度はケーキの砂糖衣と同じくらいですのでパレットナイフで簡単に扱うことができます。エッジの高さと外観も保たれるでしょう。GOLDENライトモデリングペーストよりも硬い膜ですが、吸湿性のある表面を持っています。

膜が乾燥すると不透明でマットな仕上がりになり、その上にアクリルの絵具やメディウムを塗り重ねることができます。クラックルペーストはGOLDENアクリリックスやフルイドで簡単に着色することができます。

クラックルペーストで制作する時はあらゆる点をテストすることが絶対に必要です。非常に変化しやすい製品ですので、毎回全く同じ出来ばえになると想定すべきではありません。この情報をよく検討し、作品や装飾仕上げにこの製品を使う場合は事前に試し塗りをしてください。

乾燥時間は膜の厚さによって大きく異なります。ごく薄い膜は数時間で触れられるくらいにまで乾燥しますが、亀裂はあまり生じないでしょう。膜を厚くすると亀裂の傾向が高まり、亀裂やその結果生じるブロックも大きくなるでしょう。亀裂が十分に発達するのに数日かかることもあります。

クラックルペーストを無理に乾燥させたり、リターダーや他の添加物を加えて乾燥を遅らせたりしないでください。いずれの場合も製品の亀裂能力を妨げる可能性があります。相対湿度75%以下、華氏65~75度(摂氏18~24度)で硬化させるべきです。

クラックルペーストの洗浄は石鹸と水で行います。道具に付着させたまま乾燥させないでください。道具は使用中常に湿らせておきます。乾燥した膜を除去する際は道具を石鹸水に浸しておくとよいでしょう。

使用上の注意

支持体

 
柔軟性のない性質‐本製品を塗ったときのキャンバスの歪み方かを示している。
クラックルペーストはさまざまな面に塗ることができますが、紙やキャンバスのような柔軟な素材は、極端な収縮により歪んでしまうことがあり、悪くすると剥落することがあります。したがって、木製パネルや石膏ボード(デコラティブ/擬似塗装仕上げ)やハードボードなど硬い下地に塗ることをお勧めします。

キャンバスに塗りたい場合はクラックルペーストを塗る前にキャンバスを引き伸ばしておきます。こうすることで、乾燥中のキャンバスの歪みを最小限に抑えることができます。支持体として紙を使いたい場合、アクリルメディウム(ソフトゲル(グロス)など)で硬い支持体に貼り付け、乾燥させた後、クラックルペーストを塗ることができます。

支持体を固定する、あるいは硬質の支持体を使うことで、クラックルペーストは望みうる最高のパターンができる機会を提供します。



表面の準備
支持体に下塗りをすると、クラックルペーストと表面との接着が強化されると同時に、膜の乾燥時に生じ得る「カッピング(端部のめくれ上がり)」が減少するため、下塗りは重要です。一般的にカッピングは早期の層間剥離につながり、表面のシーリングが難しく、不均一になります。

表面の準備に際し、ジェッソを1~2回塗ることが理想的です。ゲルメディウムなど、他の製品や絵具もクラックルペーストのすぐ下に使うことができますが、適切な接着を確実にするために必ず試し塗りを行ってください。

準備をした室内壁の装飾的仕上げには家庭用塗料を使うこともできます。ただし、こうした塗料は、収縮すると亀裂や層間剥離が生じる傾向がありますので、柔軟な下地に使うべきではありません。


塗付方法
粘度の高いペースト状の他のゲルメディウムと同様に、クラックルペーストには塗付用具の痕跡が残ります。クラックルペーストの最も実用的な塗付方法はパレットナイフか鏝(コテ)を使うことです。テストで分かったことは、亀裂模様は本質的に不規則ですが、ある程度は畝や角の影響を受けるということです。滑らかで均一に塗付すると最も規則的な亀裂模様が生まれます。

厚みによって違いが生まれる‐厚く塗れば塗るほど亀裂が深くなる。
塗付の厚さは亀裂の大きさや質に直接関係します。薄い被膜に生じる亀裂は非常に小さいため、亀裂が生じたようには見えないかもしれません。有効な出発点となる膜厚は約1/8インチ(約3.2ミリ)です。厚さが1インチ(約2.5センチ)近い膜では亀裂がほとんど発生しませんし、発生したとしても不完全なものでしょう(表面に多く発生しますが、膜の深くまでは及びません)。

 
アクリル絵具との混合

 製品は最大20%着色可能である。

クラックルペーストの特長はアクリル絵具で着色できることです。GOLDENアクリリックスとフルーイドアクリリックスは最も一般的に使用されている絵具であり、体積の10%(重量の20%)以内で加えると亀裂能力を大きく変えることなく適切に使うことができました。絵具を過剰に加えると亀裂が発生しない可能性があります。





 

 製品をゲルで伸ばすことができるが、ゲルの量を増やすと亀裂の度合いに影響する。
ゲルメディウムもクラックルペーストに混ぜることができます。体積の10%(重量の20%)以内の添加を提案します。ゲルメディウムをクラックルペーストに加えるメリットの一つは、膜全体の強度を高めつつ、脆弱性を軽減し、接着を強化することです。ゲルメディウムを過剰添加すると亀裂能力が減少するか、なくなってしまうでしょう。

各ゲルの特性が粘度や流動性やツヤやキメに及ぼす影響を理解することは重要です。たとえば、レギュラーゲル(マット)を加えてもクラックルペーストの外観は変化しませんが、膜全体の強度が高まり、吸湿性は減少し始めます。グロスメディウムを加えると希釈され、レベリングが高まり、ツヤが増すかもしれません。少しだけ混ぜてみて、実際に塗付しようとする同種の準備済み支持体に試し塗りをしてください。


薄く塗りたい場合は単純に道具を使って塗るのが最適です。決して水で薄めないでください。クラックルペーストに水を加えると、パフォーマンスが悪くなり、層間剥離が生じる可能性があります。粘度を下げるためにクラックルペーストに粘度の低いメディウムを加えても構いませんが、体積の10%(重量の20%)を超えないようご注意ください。使用するメディウムの性質を理解することは、仕上がり時の亀裂やツヤや接着の特性の理解に影響します。GOLDENフルーイドマットメディウム(国内未発売)は他の変化を最小限にとどめつつクラックルペーストの粘度を下げる最適な機能を備えています。

黄変の軽減
紫外線耐候性試験装置で塗膜をテストした結果、クラックルペーストは紫外線に曝されると黄ばみ始めることがわかりました。50年にわたるギャラリーの照明状況をシミュレーションした結果(耐候性試験装置で2~400時間サイクル)、黄変度が認められました。100年にわたるギャラリーの照明状況をシミュレーションした結果(耐候性試験装置で4~400時間サイクル)、黄変度は穏やかですが明らかに認められます。

チタニウムホワイトで着色した絵具を加えると(GOLDENアクリリックスのチタニウムホワイトを5~10%加えて試験)明らかに色の変化が減少し、黄変の顕著化を弱めるのに役立てることができます。さらに、紫外線光安定剤を含むワニス(GOLDENグロスワニスまたはMSAワニスなど)を使うと、クラックルペーストまで到達する有害な紫外線の量を大きく減少させることができるでしょう。

黄変をコントロールする方法の追加的試験を現在GOLDENのラボで行っているところです。
 

乾燥時間
アクリル絵具と同様、「温度、相対湿度、空気の流れ、支持体の吸湿性、膜の厚さ」がクラックルペーストの実際の乾燥時間に影響します。

一般的に、ほとんどの亀裂は24時間以内に発生しますが、厚塗り(1/2インチ(約1.3センチ)以上)の場合は、起こり得る亀裂がすべて十分に発達するのに実際に3日以上かかることがあります。

クラックルペーストを無理に乾燥させたり、リターダーや他の添加物を加えて乾燥を遅らせたりしないでください。いずれの場合も製品の亀裂能力を妨げる可能性があります。相対湿度75%以下、華氏65~75度(摂氏18~24度)で硬化させるべきです。

フレスコのような用法
クラックルペーストに湿り気が残っている間、亀裂が始まる前にアクリル絵具を直接塗ることができます。その結果、クラックルペーストだけでなく、上に塗る絵具膜にも亀裂が生じた画像が出来上がります。素早く塗りながら表面に水を霧状に吹き付けることで、劣化しつつあるフレスコ画のような外観を作り出すことができます。亀裂は生じないものの非常に似た外観と感触を持つライトモデリングペーストと併用すると、面白い効果が生まれます。
 

亀裂後の絵具塗付
 乾燥した製品にウォッシュを塗ると亀裂に絵具が入り込む。
クラックルペーストが硬化すると、他の製品を塗り重ねることができます。ただし、絵具を何層にも塗り過ぎると亀裂を「覆い隠す」、あるいは亀裂の「隙間を埋める」可能性がありますのでご注意ください。このようにキメが粗く吸湿性の高い表面には、絵具の薄塗りや、希釈した絵具、ウォッシュ、グレーズ、スプレー状の製品を塗るのが適しています。






 
トップコート
クラックルペーストの硬化した膜は非常に多孔質で吸水性があります。塗付の完了後、表面をトップコートでシーリングすると製品の寿命はさらに延びます。さらに、表面をシーリングすることで亀裂は一層強調され、製品表面の汚染を最小限に抑えます。

筆で塗る場合、ソフトゲル(グロス)と水を2:1で混ぜたものを使うとうまくいきます。ただし慎重に塗る必要があります。筆を急速にまたは過剰に動かすことは避けてください。泡が発生しトップコート層から排出されない可能性があります。この目的で、GAC 500とエアブラシトランスペアレントエクステンダー(いずれも国内未発売)を2:1で混ぜたものをスプレーで塗付することもご一考ください(情報シート「エアブラシを始めるためのヒント1&2」「ワニスカタログ‐遮断コートのセクション」をご参照ください。

クラックルペーストは吸湿性の高い膜ですので、マットワニスを塗る前に、適切なグロス製品を使ってまず膜で遮断する必要があります(上記参照)。これにより吸湿性の高い材料にツヤのないトップコートを塗ったときに起こり得る「霜降り」のような外観が生じる可能性が避けられるでしょう。

すべての作業が完了したら、MSAやポリマーワニスをUVLSと共に塗ることができます。適切な指示に従ってください。
 

よく起こる問題

 柔軟な下地の場合、表面に接着しない事態が生じることがある。
プレートレットのカッピング/表面に接着しない
・ 表面の準備が不適切である。
・ 表面が柔軟すぎる。








 

亀裂が生じない/亀裂が不完全である
・ 適切な温度や湿度の条件下で製品が硬化しない。
・ あまりにも薄塗りであるため、深い亀裂ではなく微細な亀裂が生じている。
・ 混合物にアクリル絵具またはメディウムを加え過ぎた。
・ 支持体が柔軟すぎるか、固定していないため、亀裂模様ができずに丸まってしまった。
・ 厚塗りしすぎた(1インチ(2.5cm)以上)。

製品が割れやすい
・ 表面の準備が不適切である。膜の強度を高めるためにゲルメディウムを加える。
・ 製品に水を加えた。トップコートを使用することで固定できるかもしれない。


免責
上記の情報はGolden Artist Colors, Inc.が行なった調査と試験に基づくものであり、上記製品の潜在的用途を理解する基礎として提供されています。制作の方法、材料、状況は多種多様であるため、Golden Artist Colors, Inc.は、製品がお客様の用途に適していると保証することはできません。したがって、個々のプロジェクト要件がすべて満たされることを確認するために、その都度試し塗りをすることをお勧めします。当社は上記の情報が正確であると信じていますが、商品性または特定用途への適合性については、明示、黙示を問わず、一切保証いたしません。また当社はいかなる場合にも製品を塗付した結果生じる(間接的、結果的、その他の)損害に責任を負いません。

Golden Artist Colors社


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