Golden History

 

伝統色顔料の歴史
以下は米国で発売されている伝統色シリーズの説明です。国内販売されていませんが、参考資料として掲載していますことをご了承願います。
フルイド新発売:伝統色シリーズの一部の色が含まれています。

The Colors

The History


Naples Yellow Hue

 

ネープルズイエロー、即ちアンチモン酸鉛の温かみのある淡色は画家の間ではとても人気のある色です。色材として最初に使われたのは紀元前1400年頃まで遡ります。本来のネープルズイエローは鉛を含む毒性の高い顔料です。ゴールデンのネープルズイエロー・ヒューはチタニウムホワイトにイエローオキサイドとディアリライドイエローを混ぜた不透明で豊かな色です。鉛顔料の高い隠ぺい力には届かないものの、本物に近い諸性能を達成しています。

*ゴールデンフルイドにて発売


Aureolin Hue

 

コバルトイエローともいわれるオーレオリン(亜硝酸コバルトカリウム)は、19世紀に発見され、それまで使われていたガンボージというアジア産の黄色ゴムである顔料に取って代わりました。オーレオリンは1848年にドイツのN.W.フィッシャーが発見し19世紀末まではよく使われましたが、その後より安価で美しく耐光性のよいカドミウム顔料などに置き換えられました。ゴールデンのオーレオリン・ヒューはハンザおよびオキサイドから3種類の黄色顔料を選んで酸性度のない明るい色に調色されており、イエローオキサイドにみられる濁りなどのない鮮やかで温かみのある色を提供します。


Indian Yellow Hue

インデアンイエローにまつわる話はまるで昔話のようですが事実です。インドのベンガル県の農家ではマンゴーの葉と水だけで牛を育てました。これらの牛の尿は鮮やかな黄色をしており、それを集めて乾燥させたものがインデアンイエローの顔料です。不幸なことに、マンゴーの葉には十分な栄養がないため牛たちは過度の栄養失調になり非常に短命でした。インデアンイエローは生産工程が非人道的であるとして1908年以降は市場から禁止されました。インデアンイエロー・ヒューを作るため、ゴールデン社では極東の古いタペストリーや染色布から着想を受けて、ニッケルアゾ、ハンザおよびキナクリドンバーントオレンジの組み合わせによる豊かで透明性のある確かな色を作り出しました。

*ゴールデンフルイドにて発売


Alizarin Crimson Hue

アリザリンクリムソンの成分である茜植物(ルビア・ティンクトリウム)は何千年もの間、栽培され使われてきました。古代ペルシャ、インド、エジプトなどの遺物から、染料やインクとして職人の間で広く使われていたことが分かります。1868年にドイツ人化学者グレーべとリーバーマンがこの色素に隠された化学を解明し、天然のマダー色よりも大幅に耐光性を改善したアリザリンを作り出しました。ゴールデン社を創立したサム・ゴールデンは、ニューヨーク市のボクー社で働いていた時に安定したアリザリン絵具を開発しました。ゴールデン社創立後、サムは再度の品質向上を目指しさらに耐光性のよいキナクリドン顔料を使って、今でも生産されているキナクリドンクリムソンを作り出しました。今回はキナクリドンマゼンタとオレンジにフタログリーンブルーシェードを加えることで、さらに近い色を作り上げました。*ゴールデンフルイドにて発売


Cobalt Violet Hue

1859年に初めて開発されたコバルトバイオレットは紫色コバルト顔料の一般名となっています。ディープからペールまでの明るさとともにピンクから青みの色までを含みます。コバルトバイオレットは毒性があり高価でかつ弱いために、やがてマンガニーズバイオレットに取って代わられました。弱く鈍い透明なコバルトバイオレットの性質を評価する際、まず明るさに着目し、アーティストにとって再現することが十分に価値のある色調を見極めました。ジオキサジンパープルにキナクリドン、ジンクホワイトの組み合わせにより、近代の顔料にはない微妙で複雑な色調を作り出しています。


Prussian Blue Hue

プルシャンブルーの発見には幸運がありました。1704年頃にベルリンで働いていた顔料メーカーのディーバッハは、砕いた骨と血を混ぜて赤色を作ろうとしました。驚いたことにその実験は赤の代わりに見事な青を作り出したのです。「近代初の顔料」として知られるプルシャンブルーは、最初に作られた年月日とその歴史が知られた初の人工顔料として意義があります。本物のプルシャンブルー顔料を酸性のないフタロブルーで再現しようとしていたアーティストはこの再現色を歓迎するでしょう。フタロブルーレッドシェードにジオキサジンパープル、ボーンブラックを混ぜた深みのあるくらい赤みの青は、やっかいなプルシャンブルーに最も近いアクリル絵具を作り出しています。*ゴールデンフルイドにて発売


Smalt Hue

スマルトは砕いた青色ガラスで、コバルト顔料として最も古いものです。ヨーロッパで発明されたといわれていますが、顔料として使うには粗めに砕く必要があります。あまり知られていないこの色を引き出すには、ウルトラマリンブルーにキナクリドンマゼンタ、カーボンブラック、そしてたっぷりのゲルメディウムを使いました。


Manganese Blue Hue

マンガニーズブルーは青緑の合成顔料で、硫酸バリウムにマンガン酸バリウムを定着させています。マンガニーズブルーはフレスコ画家や職人が漆喰に混ぜて好んで使いました。しかしこの顔料には高い毒性があり、摂取や吸引により神経系疾患を起こすことが分かっています。マンガニーズブルーは調色が難しい色であり、その持ち前の透明性はフタロ顔料にジンクホワイトを混ぜて明るくし、さらにたくさんのゲルメディウムを混ぜることでしか再現できません。出来上がったグレーズのような絵具は冷たくて柔らかい色調を生み出します。*ゴールデンフルイドにて発売


Azurite Hue

安価な緑みの青であるアズライトは、中世からルネサンス期、そしてプルシャンブルーが現れる18世紀までのヨーロッパ絵画では重要な顔料でした。この天然鉱物は世界各地に散在する銅鉱床上層部の酸化物であり、その化学構造からよくマラカイトグリーンと比較されます。今日の他の青に比べ色調が弱いため、フタロブルーレッドシェードにジンクホワイトと微量のローアンバー、さらにゲルメディウムを組み合わせて興味深い色に仕上げています。他の色を殺さない青いアースカラーを作り出します。


Viridian Green Hue
#1469 Series 1

パリのギネーは1859年にビリジャングリーンの製法特許を取りました。鮮やかで非常にクリアな青緑は、古代あるいは近代の全ての緑をやがては駆逐するといわれるほどの人気でした。この青緑を再現するためには、フタロブルーレッドシェードにニッケルアゾイエロー、ジンクホワイト、そしてローアンバーを使いました。その結果、ゴールデン社の単独顔料色には見られない混色性能を持つ緑となったので、この色になじんだアーティストには便利な代用色となるでしょう。


Terre Verte Hue

テールベルトすなわち緑土の最もよく知られた用法は、中世絵画において肌色の下塗りとして使われたことでしょう。肌色の描写に緑色を使う伝統は既に11世紀の書物に見られます。弱くて中性的なグリーンを現在の基本原色で意図的に作ることは容易ではありません。この色には、クロミウムオキサイドグリーンにイエローオキサイドと微量のフタログリーンイエローシェードを混ぜ、そしてカーボンブラック、ジンクホワイト、ローアンバーで色を抑えています。さらにゲルメディウムをたっぷり使うことで透明感を調整して緑土の全性能を再現しました。


Sap Green Hue

サップグリーンは多種にわたるクロウメモドキ属の潅木から採れる小さな果実から作られます。クロウメモドキは近東原産ですが、ローマ時代からヨーロッパで栽培されていました。熟した果実からは紫色の染料が作られますが、未熟果実からはサップと呼ばれる黄色の果汁が作られて染色やサップグリーンという黄色顔料の製造に使われます。この色を作る際には、既に混色で作られているジェンキンズグリーンと明らかな違いがあるのか確かめる必要がありました。ここではトランスペアレントアイアンオキサイド、ニッケルアゾイエロー、フタログリーンイエローシェード、そして微量のカーボンブラックで深みのある黄緑を作りました。原色はやや冷たく暗い色ですが、薄めると暖かみのある鮮やかな色になります。*ゴールデンフルイドにて発売


Hookers Green Hue

この色を作ったといわれる人の名に由来するといわれるフッカーズグリーンは、実際にはプルシャンブルーとガンボージを混ぜた色でした。その後、フッカーズという単一顔料が作られました。ゴールデンでは、この二種類のフッカーズのどちらがアーティストにとって価値があるのかを入念に調査しました。色の再現には、アンソラキノンブルーにニッケルアゾイエローとキナクリドンマゼンタを混ぜており、原色ではほとんど黒に見えますが薄めると豊かな青緑になります。このような性質は風景画には重要な要素であり、この色が望まれる理由がよく分かります。


VanDyke Brown Hue

カッセルアースあるいはコロンアースとしても知られるヴァンダイクブラウンの使用は17世紀に遡ります。元来はドイツのコロンあるいはカッセル地方で採取されていましたが、後には各地で採取されたために地域により色も成分も様々で、色の正確性に混乱を来たすことになりました。ヴァンダイクブラウンはこのように様々な色があるために再現が最も難しい色です。従って様々な歴史的サンプルを厳密に研究し、この捉えどころのない色を特定する必要がありました。バーントアンバーとカーボンブラックを混ぜてヴァンダイクブラウンとする一般的な簡単な方法は採らず、ピートの豊かな植物性の下色を再現するためにトランスペアレントレッドアイアンオキサイドを基本にカーボンブラックを注意深く混ぜて、明瞭なセピア調の色を作りました。

© Golden Artist Colors, Inc.